SecondStage 店長見習い時代編 何かが変わり始めた
翌週、いよいよ、店長からの最後の引継ぎである本部への発注作業が始まった。
当時は、発注台帳にバーコードが書いてあって、専用の端末でスキャンすれば、
商品名がPC上に出るので、欲しい数字を入れるというシステムであったので、
単純に、在庫を確認し、必要数を予測し、オーダーーするというもので、さほど
難しいことではなかったが、自身の予測で、数字を決めないといけないという
物で、今のように、想定数が画面に出て、参考にするという事ではなかった時代
だったので、すべて自分の判断にかかっていた。
オーナーは、当面の間、弁当やパンなどの日配品は、すべて自分がするから、
他をまずはやってくれ!その上で、慣れてきたら、全部任せるという方法にする
という事だったので、俺としては、少し楽だった。
発注単位を間違わなければ、極端なことにはならないから、好きにしたらいいよ
と店長は、そう言っただけで、特に何かを教えてくれたわけではなかった。
だから、全てが独学でやらなければいけなくて、自分で体感してきた感覚で、
判断するしかなかったものだった。
思い起こせば、いわゆる発注ミスで、馬鹿みたいにガムがきたし、馬鹿みたいに
ミネラルウォーターも届いた。
普通に考えて、問屋側も、この数字はおかしいだろう?と思うはずであっても
本部へのオーダー分は、絶対なので、多かったとしても、確実に納品してくる。
一度は、バックヤードスペースに入りきらず、仕方ないから、店頭キャンペーンで
処分したこともあった。
発注ミスは、逆手にとって、事情を説明し、常連さんに頼めば、なぜか、買って
くれたから、完売してしまう、つまり、それだけ売れる力があるのかも・・・とか
勘違いした俺は、あえて、発注ミスをかけて、テストしたりもした。
コンビニというスタイルは、基本、スーパーと違い、値段からして明らかに高い。
客の特徴も、何かの目的や、これを買いたい!と思ってくるわけでもないので、
ついで買いの衝動を持った人がやってくるから、買わせるための努力を何かすれ
ば、意外に売れるので、発注をしだした頃には、なんだか、面白くて仕方がなく
なっていた。
当時は、あまり見かけなかったのだが、どうしても棚をあけたくて、新商品をいれ
たい場合、見切りで、値段を下げ、処分コーナーなども設置したし、とにかく、
どこよりも早く新商品を並べてやる!と思っていたから、問屋からの仕入れ額も
増えていった。
結果、2ヶ月した頃、お客さんに言われた。
[ここは、どこよりも早く新商品があるよなぁ]
そりゃあそうでしょう。
[この前買ったの、同じチェーンに行ったらなかったなぁ]
自店仕入れで発売日には並べてますもん。
なんだか、こういう声が聞こえだすと、俺の中での面白さが加速していった。
その頃から、明らかに、給与が増えていった。
当然、売上げが上がったから、歩合が増えてついていったからだ。
6ヶ月くらいした頃には、50万の店が、70万の店になっていた。
今思えば、オーナーはウハウハだったことだろう。
気がつけば、もともと、売上げは、早朝オンリーの店だったものが、気がつけ
ば、夕方も忙しい店になっていた。