SecondStage 店長見習い時代編 肉体的疲労
店長から、問屋での仕入れを引き継いだ後、毎日毎日、俺は問屋に顔を出した。
別に仕入れるわけでもないんだが、商品の流れを見たいのと、自分の感覚を
試したい!という衝動が産まれてきたもんだから、こういう行動に出ていた。
しかし、実際問題、ただでさえ、夜勤の週と昼勤の週を交互にしていくと、
時間の感覚がおかしくなってきて、精神的なものよりも、肉体的に何かがおかし
くなってきていた。
この頃、とにかく、ロートGというすっきり系目薬と、フリスクが手放せないよう
な生活で、自宅に帰るのも面倒くさくなって、車で寝たりもしていた。
出勤時間がギリギリになるだけなら、まぁ許されるものだが、俺の場合、この頃
は、遅刻を繰り返し始めていたし、あまりにも、体力的な負担を感じた俺は、と
にかく、一度、リズムを整える事が最大の問題だと悩んでいたりもした。
朝、とにかく、問屋に行きたい。
これをクリアにする為には、どう考えても夜勤オンリーの生活にし、夜勤明けで
朝に問屋に行き、商品を積んだまま、自宅に帰り、夜に出勤というペースが最善
かな・・・と思い始めていた。
もともと、夜遊びをしていたせいか、昼勤よりも、夜勤の方が、落ち着くし、
体調もいい感じがするし、昼間の明るさよりも、夜の闇のほうが好ましい感じが
あって、このことをどう説明すれば理解できるのか、オーナーは、それをどう
思うのか、とか考えて、かなり悩んでいたりした。
仕事の事を親に相談するとか一瞬は思ったけれど、俺の場合、親父がコンビニと
いう事業スタイルを馬鹿にしていたし、夜に人が働くなんて!という考えがあり
家で、親父に相談するなんて考えられなかったし、母に相談って考えたが、奴の
場合は、基本、なんでもポジティブだし、今、続けて働いているだけで満足!み
たいなところがあったから、そこに相談するのも何か違う感じがした。
決断しようと思ったキッカケを感じたのは、ある夜の事だった。
その夜も遅刻ギリギリで、慌てて車を飛ばし、出勤しようと走っていた。
自宅を出て、数分した頃、さすがに夜なので、ガラガラな道だったから、気持ち
よく飛ばしていたせいで、パトカーに追われることとなってしまった。
[そこの車止まりなさい!]サイレンが鳴っている。
一瞬、全く自分ではない!と思った俺は、馬鹿な奴が捕まってるよ・・・とか
思いながら、少し速度を落としつつ、走行していると・・・
[止まれって言ってるだろうが!]と怒鳴る警官。
あれっ?? それって俺ですかい??
時既に遅しで、スピード違反は俺だった。
[なんで、これだけ飛ばしてて、止めてるの走り続けるのか!]
かなりの勢いで、怒られた。
そりゃそうだろうね、最初の止まれから、信号5つくらいは行ってるし。
[ん?お前、あそこの店の店員違うかっ?俺、買い物に行ってるよ]
はい、そうです。そこの店の者です。
[今から出勤か?遅刻なのか?]
はい、そうです。止められたので完全に遅刻です。
[だからって、これはいかんやろぉ]
無意識でした、すいませんねぇ。
[ってか、お前、さっきから、すいませんしか言ってないじゃん!!]
俺は、同様していたせいか、何を言われても、ただただ、すいませんを連呼し続
けていた。後から聞いたら、名前を聞かれても、すいませんって言ってたらしい。
すると。
[事情はわかったわ。反省もしてるんだろうし、俺達もお世話になってる店やし]
はい?何かお考えでもありますかい??
俺的には、とっとと切符をきってくれたら仕事に行けるんですが・・・
[今日だけは、見逃しといてやる!店まで、送ってやるから着いてこい!]
と言って、サイレン鳴らしたパトカーの後を着いて行く事に・・・
今回だけはと、切符は切られていない
店まで、このパトカーに着いて行った結果。
店の目では、スタッフは出てくるわ・・・お客も集まってくるわ・・・
俺は、車を店の前に止めていたから、降りた瞬間の恥ずかしさっていったら
かなりのものだった。
この日は1時間の遅刻だった。
俺が無断状態で遅刻したもんだから、俺が来るまでは!と、オーナーが出勤して
いたので、仕方なく、事情をオーナーに説明した。
オーナーは大爆笑していたが、俺的には笑い事ではなかった。
これはチャンスかと、思った俺は、この時、オーナーに今の状況を説明した。
少し考えさせてくれ・・・とだけオーナーは言い、帰っていった。