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エルフの女の子と薫争奪戦会議!?

 目を覚ますとそこは見知らぬ天井であった。

 ところどころにつるなどが部屋の壁をはっていて、人が久しく住んでいないようなそんな雰囲気を醸し出している。



「ここは……どこ?」



 ふわふわと肌触りのよい毛布が、体を優しく包んでいる。

 ぼんやりとそんな中眺めていると、レイディルガルドでのトラウマが蘇る。

 酷く冷たい牢獄の中、自分ではどうすることもできないあの忌まわしき地獄の日々を。

 自身が純粋なエルフというだけで……。

 体が震えだし、猛烈な吐き気がする。

 胃が空っぽなのか、何も吐き出すことができずに自身の体を抱きしめるように縮こまる。



「やだよ……もう……」



 そう小さく呟くことしかできない。

 そんなとき、1人がその部屋へと入ってきた。



「なの? 気が付いたの? まだ寝てるの?」



 胸をたゆんとさせ、ドリアードは眠そうな表情を浮かべながら縮こまっている者へと近づく。

 そのまま目を覚ましたのかを確認しようと、覗き込んだ瞬間いきなり毛布がドリアードを襲う。

 ちょっとびっくりした表情になるが、すぐに飛んできた毛布を躱して目の前で怯える者に目を向ける。

 エルフ特有の長い耳に、エメラルドクリーンの瞳。

 そして、ストレートロングの綺麗な金髪。

 十人が十人この者を見れば綺麗だと目を奪われるだろう。

 そして、彼女の額に赤いエンブレムのようなものが浮かび上がり、恐怖で表情を歪めている。



「やだよぉ……。酷いことしないでよぉ……。何もしてないのに……私をいじめないで……」



 譫言のように膝立ちになって顔を覆うエルフの女性。

 ドリアードは、どうしていいかわからずにあたふたとする。

 現時点で、ドリアードにはどうすることもできない。

 下手に刺激をすれば、襲いかかってきそうなのだ。

 少し考えながら、部屋を出ようと後ずさりする。

 一旦引いて、薫に相談したほうがよさそうだと思い至ったからだ。

 しかし、エルフの女性はうつろな目でドリアードを見つめる。

 明らかに感情のこもってない目線を向けた



精霊・・よ……力を貸して」



 エルフの女性がそう絞りだす感じで口にすると、窓際をふわふわと楽しそうに浮いていたサラマンダーの小精霊が、1匹引き寄せられるように近づいてくる。

 ドリアードもエルフの女性のつぶやきに一瞬心が揺らいだが、意思を強く持つとその誘惑のような感覚はなくなった。

 そして、ドリアードはエルフの女性の動向を見守る。

 すると、手首から二の腕にかけて3つの魔法陣が複雑に絡み合う。

 次の瞬間、エルフの女性の腕に炎が纏わり付く。

 ぎょっとした表情を浮かべるドリアード。

 ピンポイントで弱点属性を纏ったため、どうにかしなくてはと思うが薫から患者として預かっているため、手を出してよいものか一瞬だけ悩む。

 しかし、このまま放置しているのはさすがに不味いと思い、行動に移す。



「やあああああ!」



 エルフの女性は、そのままドリアード目掛けて走りだした。

 そこまで早くはないが、転んで怪我でもされると困るため、ドリアードは両手に魔力を集めたあとに床に手を付く。

 すると、部屋に侵入しているつるが高速でエルフの女性へと目掛けて動き出す。



「『リーフウィップ・バインド』……なの」



 一瞬でエルフの女性を拘束し、宙に浮かせる。

 そして、炎を纏う腕をつるでぐるぐる巻きにして鎮火させる。



「ふぅ……危なかったの」

「離して……、やだよぉ……」



 つるに拘束されて、もがき涙を流すエルフの女性にドリアードは言う。



「何もしないの。あなたが襲ってきたから対処したの」

「うぅ……ひぐっ……」

「わ、私が悪い子みたいなの! いじめとかじゃないの。とりあえず、何も抵抗しないのならすぐに下ろすの」



 泣き始めてしまったエルフの女性に困った表情を向けるドリアード。

 そんなとき、ドアが開いた場所をピンクラビィがとことこ通過する。

 のんびりと歩いているところを見ると、日課のお散歩の最中なのだろう。

 一瞬中の様子を見て、サッと目線を逸らして何食わぬ顔でやり過ごそうとする。



「ちょっと待つの……」

「……きゅ~」



 ピンクラビィにドリアードは威圧を放ち、話があるからちょっとこっちに来てと言わんばかりに優しい笑顔を向ける。

 それが怖かったのか、片耳と片目だけを覗かせるピンクラビィ。



「きゅ、きゅ~」

「こっち来てほしいの」

「きゅ……」



 タイミングが悪かったと言わんばかりに耳をへにょらせて、とぼとぼとこちらに近づいてくるピンクラビィ。

 道連れとして、なぜかもう1匹増えている。

 2匹のピンクラビィは、ちょこんとドリアードの足元で見上げる。

 ドリアードは、膝を曲げてピンクラビィを見つめながら溜め息を吐く。



「面白半分で言いふらしたりはよくないの。いいの?」

「きゅ~」

「きゅ?」



 1匹は反省といった感じで俯くが、もう1匹は何のことだかわかってないようだ。

 関係ないのだから仕方がない。

 2匹の頭を優しく撫でるとドリアードはエルフの女性を見る。

 どうにかつるから脱出しようとするが、ドリアードの魔力をもらって強化されているつるは簡単には解けることはない。



精霊・・よ……助けて……」

「!?」



 また、エルフの女性がそう言うと、ドリアードの心を揺がさぶられる。

 ドリアードは、そのエルフの女性の言葉に支配力があるのではないかと錯覚してしまう。

 助けたくなる衝動が抑えきれない。

 動悸が激しくなるドリアードは、胸に手を当てたまま何度も深呼吸をする。

 そんなとき、エルフの女性が苦しみだす。



「……くる、しい……」

「なの? ど、どうしたの?」



 急いで駆け寄るドリアードは、どうしていいかわからずにつるで縛っているのを解く。

 その場に倒れたエルフの女性を急いで抱えてベッドの上に寝かせる。

 ピンクラビィたちもあたふたとそこらへんを右往左往する。

 どうしよう、どうしようといった感じでぴょこぴょこと跳ねる。



「お、落ち着くの! そ、そうなの! カオル様を呼ばないといけないの」

「「きゅっきゅ~!」」



 ドリアードの言葉に同調するようにピンクラビィたちも鳴く。

 だが、今現時点で薫の所在がわからない。

 草木に念を送るドリアードに、薫はいないと答えが返ってくる。



「と、とりあえず、フーリちゃんたちがいるからそっちに向かうの。ピンクラビィたちはプリシラ様に連絡をとってほしいの!」

「「きゅ!」」



 ドリアードの命令に2匹は耳でビシッと敬礼をする。

 そのまま、ピンと耳を立ててからプリシラに情報を送信した。

 ドリアードは、それを見てから急いでフーリたちの下へと向かった。



 廊下を勢いよく走るドリアード。

 胸がじゃまと言わんばかりにムスッとした表情になる。

 ようやくフーリたちの部屋へとたどり着き、勢い良く扉を開ける。



「大変なの? カオルさんいるの?」



 ドリアードはそう叫ぶと、フーリはびっくりして目を丸くしてクレハに抱きついたまま見つめてくる。



「カオルさんが連れてきたエルフの子が大変なの! 直ぐにカオルさんに知らせないといけないの! 私にはどうすることもできないの!」



 そう言って、フーリたちに言うとクレハが直ぐにフーリの体からスルリとぬけ出す。



「カオルさんなら……今、遠くへいってる」

「な、なの? ど、どうしようなの……」



 珍しくあわあわしているドリアードにフーリもつられる。

 医学のイの字もわからない状況なのだから仕方がない。

 クレハはそんな2人をどうにか落ち着かせる。



「プリシラさんにお願いすれば……直ぐに呼び戻せる」

「なの! 今、ピンクラビィたちが状況を報告してるの。カオルさんにそれが届くはずなの」

「ク、クレハお姉ちゃん、大丈夫なのかな?」



 クレハは、ここで取り乱しても仕方ないと思い、笑顔を向けてフーリの頭を撫でて落ち着かせる。

 自分たちがどれほど焦っても、何も変わらないのだから。

 今は、薫の帰りを待つだけしかできない。

 そう思いながら、3人は一度エルフの女性の下へ一旦集まることにした。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ゴロゴロと折りたたみ玉座でプリシラはお昼寝中だった。

 天然のピンクラビィ毛布でぬくぬくと気持ちよさそうな表情をして眠っている。

 そんなプリシラに、1匹のピンクラビィが足早に謁見の間へと入ってきて、眉を潜めて近づいてくる。



「きゅ~……」



 なにか言いたげなその顔で溜め息1つ吐いた後、ぴょんと折りたたみ玉座の上に乗っかる。

 そして、気持ちよさそうに眠るプリシラの顔の上にちょこんと移動して、口と鼻をふさぐ形で体をぐりぐりとよじる。



「はぅ……、ふぐぅ……、うっ……はふぅ………し、死ぬ……!」



 そう言いながら、プリシラはガバッと起き上がる。

 顔は青ざめ、何度も深呼吸をしているのである。

 勢い良く体を起こしたため、ピンクラビィたちは雪崩のように転げ落ちていく。

 そして、抗議の声を上げるのである。

 プリシラは、転がるピンクラビィたちにちょっと申し訳ない顔をしながら頭を掻く。



「きゅ~」

「ん? どうしたのですか」



 1匹のピンクラビィがぴょんぴょん跳ねてプリシラへと報告をする。

 寝ていたため、完全に一方通行になってしまいまったく内容が入っていなかった。



「まぁ……、それでは直ぐにカオルさんを呼ばないといけませんね! 任せて下さい! ご褒美を貰うべく……じゃなかった! 全力でいきますよ」



 やる気満々のプリシラに、大丈夫だろうかとピンクラビィ一同が心配な目線を向ける。

 その視線に気がついたのか、ちょっと頬を膨らませて唇を尖らせながら失礼なといった雰囲気を出す。

 今までが今までなだけに、心配になるのは当然なのだが言い返せないジレンマがプリシラを襲う。

 居心地が悪くなったプリシラは、そそくさと謁見の間を出ていき、エルフの女性の下まで向かう。

 薫を呼び出すのも近いほうがいいと考えたからだ。

 プリシラのそんな行動をピンクラビィたちは、生暖かい目で見つめる。

 たぶん、何かしらの不祥事を起こして薫の制裁を受けるのではないかと予測する。

 確実にやらかすと期待も込めて……。

 そして、どのようになるのか、ちょっと興味のあるピンクラビィはこっそりとプリシラのあとを追うのであった。



 プリシラが部屋に着くと、ドリアードとクレハとフーリが集まっていた。

 プリシラの姿を見ると、安堵したような表情を浮かべる3人。

 ベッドの上で、小刻みに体を震わせるエルフの女性を見て、プリシラは一瞬首を傾げる。

 どこかで見たことがあるようなと、頭の中で引っかかるようなものを感じた。

 ボロボロの状態のエルフの女性は見たが、回復した女性の姿を見るのは今回が始めてであった。

 だが、苦しんでいるため直ぐに薫を帰還させる連絡をスノーラビィにとると、即座に返事が帰ってきた。

 勢いよくゲートを開き、薫の方へと頭を出すと、そこには小さな女の子が頬を染めてプリシラの頭の上の耳とティアラに釘付けになっていたのであった。



「あれ? えっと……、カオルさんは小さな女の子になったのですか?」



 目をパチクリさせて、何ともとぼけた表情をする。

 そんなわけがないだろとツッコミでもまっているような感じだ。

 薫は、そんなゲートから上半身だけを出したプリシラの頭に、チョップをゆっくりと乗っける。

 プリシラは、マヌケな声で痛くもないのに「痛いですぅ~」とチョップを乗っけられた頭を撫でる。

 おねだりのような上目遣いで、Mっけに目覚めた眼差しを向けるのだ。

 薫は、大きな溜め息を吐いた後に、小さな少女に向かって「すまん」と言う。

 子供の衛生上よろしくないプリシラの行動に、どうしてもその言葉が先に出てしまう。



「あれ? ルルちゃん?」



 アリシアは、ルルのちょっとトロンとした目でジッとプリシラを見つめていた。

 まるで、夢で見た人物が実在した喜びのようなものを感じる。



「ピンクラビィちゃんのおひめさまだ!」

「きゅ!?」



 いきなり抱きつかれて焦るプリシラ。

 薫の方を向いてどうしようという表情で助けを求めるが、薫は苦笑いを浮かべてまずはゲートからプリシラをスポンッと引っこ抜く。

 ベッドの上で抱きしめられたままのプリシラは、ルルのしたいようにさせていた。

 拒めば、一瞬で奈落の底へと叩き落とされたといわんばかりの表情をしそうだったからだ。

 薫は、ちょっと面倒見といてとプリシラの肩を叩くと、絶句し置いてかないでと言わんばかりに白衣を手に取ろうとする。

 どうしてそこまで悲痛な表情をうかべるのだ、このダメプリンセスラビィは……。

 そんなプリシラに薫は、ちゃんと面倒見たらご褒美をあげようの一言で、目を輝かせながら、耳だけで敬礼をする。

 ああ、こいつはあの国の奴ら(ピンクラビィ)と一緒であったと再確認する。

 相変わらず扱いの楽なプリシラに、ただただ呆れてしまう。



「じゃあ、俺は一旦戻るからな。落ち着いたら連絡入れるから戻ってきてくれ」

「はーい♪」



 元気のよい返事をするプリシラに、アリシアも苦笑いを浮かべる。

 耳と尻尾がぴょこぴょこと動いて、嬉しさを最大限に表しているのが容易に見て取れた。



「ルルちゃん、ちょっと私たちはここを離れますが、後で返ってきますから安静にしててくださいね」

「うん、いってらっしゃい」



 そう言って、プリシラに抱きついたまま手をぶんぶんと手を振るルル。

 ゲートをくぐった2人を確認すると、プリシラはその場でゲートを閉じる。

 こちらから、向こうへと誰かが入ってしまっては困るからだ。

 それに、プリシラ不在のときはドリアードが妖精の国の警護をすべて任せてあるから心配のしの字もしていない。

 薫にまんまとのせられてしまったが、それ以上のご褒美を請求してやろうと密かにニヤリと微笑むのであった。

 おっといけない。じゅるり……。



「あ、あのね……」

「きゅ? どうしました?」



 目の前でようやく抱きつくのをやめて体を離したルルは、頬を真っ赤にさせてプリシラを見つめる。

 プリシラは、急かすことなくルルの言葉を待つ。



「あなたは、ピンクラビィのおひめさま……ですか?」



 期待いっぱいの言葉に、プリシラは優しい笑みを浮かべて頷くとルルはパァーッと表情がさらに明るくなる。

 眩しい……、穢れが浄化される……、ぐふぅ……。

 などと、心の中で悲鳴をあげるプリシラは、子供のこの笑顔に危機感を覚えながらも優しく壊れ物扱うように対応していく。

 人の子とは壊れやすいということは、はるか昔から言われているためである。

 それに、プリシラはこんなのでも幸福を司る姫でもある。

 妖精のピンクラビィ族の最上位種として君臨する。

 最近は煩悩で頭がいっぱいなのは言うまでもないが……。



「えっと、えっと、なまえをおしえて……ほしいな」



 キラキラした眼差しでそう聞いてくるルルに、ピコーンと何か楽しいことを思いついたプリシラは、ゆっくりとベッドから降りて真っ白なワンピースをひらりと靡かせてからスッと姿勢をよくする。

 息を一度深く吐いてから、ベッドの上にいるルルに目線を向け、言葉遣いを選ぶ。

 そして、ワンピースを手で摘み優雅に一礼をする。



「妖精の国フェアリルデリズを納める現王女、プリンセスラビィ族のプリシラ・フェアリル・リズ・プリンセリスです。長いからプリシラでいいですよ」



 そう言って、にっこりと笑みを浮かべた。

 ルルは生唾を飲み込んで、息をするのを忘れるくらいに見とれてしまっていた。

 プリシラはこの眼差しに、久しく感じなかった王女としての尊敬という部分を存分に体に浴びる。

 ああ、満たされる……。

 大変ご満悦なプリシラは、ゆっくりとルルの側に近づいてからそっとルルの頬に手を添える。

 プリシラに釘付けのルルは、うっとりした表情で心が奪われてしまっていた。



「人の子よ、早く体を治してこれからの人生幸せに生きなさいね」

「……はい」



 プリシラはそう言いながら、優しくルルの頭を撫でてあげる。

 敬意と尊敬の眼差しで大いに心が潤ったプリシラは、ルルが可愛くて仕方がなくなりだしていた。

 最近のあの国では、そういった眼差しはほとんど皆無である。



「うへへ、かわいいわぁ~、きゅ~♪」

「え?」

「な、なんでもないよぉ~。さて、あの2人が帰ってくるまでお話でもしましょうか♪」

「い、いいの!?」

「はい、問題ないですよぉ~」



 先程までのキリリとした威厳が一瞬にして崩れてしまい、にへらぁっとプリシラはいつも通りの口調に戻る。

 十分堪能したからもういいやといった感じで、その後はルルに質問攻めにあうのであった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 薫とアリシアが妖精の国に帰還すると、ドリアードとフーリはあたふたしながら薫に近づいてくる。

 まず、この2人を落ち着かせないといけないと思ったが、クレハが魔糸でくるりと2人を拘束して落ち着かせる。



「ナイス、クレハさん。んで? どういうふうにしてこうなったんや?」



 そう言いながら、薫はエルフの女性に近づく。

 体を抱きしめ、震えながら目をぎゅっと瞑っている。

 薫は、自身のステータス画面でエルフの女性の心肺などの情報を見るが、若干早いくらいで命には別状はない。

 元々、外傷と疲労が原因だった。

 だが、このまま放置しているわけにもいかないため、過程を聞く。

 聞いてる間に、クレハとフーリには水とタオルを持ってくるように指示する。

 大量の汗をかき、服が肌にひっついているからだ。

 指示を聞いたクレハは、魔糸を解いて早速行動に移して部屋を後にした。

 アリシアは薫の横へ行き、ひょっこりと一緒に診察をするため見つめる。

 フードの横からスノーラビィもアリシアの真似をして耳をぴょこりと動かす。



「なの……。目を覚ましたらいきなり襲ってきたの! それで……炎を纏ったからつるでぐるぐるしたの……ごめんなさいなの」



 申し訳無さそうに俯くドリアード。

 薫から患者と言われているのに、手を出してしまったことを謝る。

 しょんぼりしたドリアードの肩を軽く叩き、不可抗力だから問題ないと言うとちょっと安心した表情を浮かべた。



「実害はないんやけど、ラケシスから聞いた話やとレイディルガルドの地下でずっと囚われていたようやったからなぁ……。精神的にも参ってるんやと思うわ。眠らせて落ち着かせるのが一番ええかもな、今は」



 薫は、顎に手を当ててから睡眠に効果的なものはないかと考える。

 そんなとき、ドリアードが口を開く。



「カオルさん、私の能力で眠らせるのがあるの。役に立つの」



 名誉挽回と言わんばかりにちょっと頬を蒸気させて、眠そうな目でこちらを見てくる。

 薫は、薬などに頼らずにできるのならそれが1番よいと思い、ドリアードに頼むことにした。

 ドリアードは、苦しむエルフの女性に手を翳してから紡ぐ。



「木樹よ、我に従え……『メイプル・スリープ』」



 とろりとした飴色の膜がエルフの女性に纏わりつくと、先程まで苦しんでいたのが嘘のように規則正しい寝息をしていた。



「うーん、やっぱりこういった魔法はほしいんやけどなぁ……」



 薫は、ドリアードの魔法を見て呟く。

 薬にはやはり副作用が付きまとう。

 小さいながらも害があったりと、使用するのに躊躇してしまうものが多々ある。

 それに比べて、こういった魔法があればそういったことに気を使わなくてもよいと感じてしまう。

 無い物ねだりをしても意味がないので、薫は考えるのをやめてからエルフの女性に『診断』を掛ける。

 ここに来てから二度目だが、やはり病気などはない。



「そういえば、バタバタしとったから『解析』使ってなかったなぁ……」



 そう小言のように呟くとサッとエルフの女性に『解析』を掛ける。

 すると、結果が表示されて薫は頬が引きつり、額を片手で覆う。



【エリーゼ・アイン・ド・フェルビリス】

 ・種族、エルフ

 ・年齢、180歳

 ・エルフの国フェルビリスの第3王女・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・LV 50

 ・HP 950/1000

 ・MP 750/5000

 ・特殊固有スキル、精霊支配

 ・完全固有スキル、精霊王召喚【光】



 薫は、これを見て面倒事が1つ増えたと思う。

 レイディルガルドの件もまだ中途半端な状況で、このエルフのエリーゼを抱えることがどれほど危ないかがわかる。

 追撃として、完全固有スキルの欄がもうなんか危ないってレベルではない。

 人ではない精霊の王を召喚してしまった日には、この妖精の国が吹っ飛んでしまうのではないだろうかと容易に想像できてしまう。

 ドリアードやウンディーネもそうだが、自然の脅威を軽くやってのけるのだ。

 あのレベルで上位精霊だ。

 その上である精霊王となると、もうどれほどのレベルなのかわからない。

 薫自身でなんとかなるならいいが、人以外だとカウンタースキルは通用しない。

 今までの者は、人であったから対処の仕様があった。

 周りの者まで守ってどうにかできるかと言われると、正直未知の領域というのがある。

 だから、今はとりあえず眠っていてもらうのが吉かもしれない。

 下手に刺激して、破滅など御免被りたい。

 薫自身、精霊王など会ったことがないため、対処できるかあやしすぎる。

 ここは、一度レイディルガルドにいるディアラに相談したほうがよさそうだと思い、引きつった頬を片手でほぐす。



「カオル様、大丈夫ですか?」



 薫の顔色の変化をアリシアは不安そうに見つめる。

 エリーゼに何か重大な病気があったのかという顔だ。

 薫は、そっちじゃない《・・・・・・・》と苦笑いを浮かべて、アリシアに伝えるときょとんとしたまま首を傾げる。

 聞いたこともない国の名前にアリシアはお手上げ状態だ。

 だが、王女ということがわかったのと、完全固有スキルの危険性だけは理解した。

 精霊王とはどのようなものなのか、ちょっと興味津々といった怖いもの見たさが薫に伝わってくる。



「ワクワクしとるところ悪いんやけど、どれくらいの能力なのかははっきり言って俺もわからんから、ここで力を使わせたくはないんや」

「はぅ……。ふ、不謹慎でした……。反省です……」



 アリシアはかくんと肩を落とす。

 地味にフードの耳もしゅんっと連動しているのが可愛い。

 薫は、とりあえずドリアードにこのまま暴れたりするようだったら、また眠りの魔法を掛けてもらうことにした。



「俺は一旦レイディルガルドへ向かうから、アリシアはこの子を見とってくれると助かる。体を冷やしたりしたらあかんから、服も着替えさせてやってくれるやろうか?」

「はい、わかりました!」

「それと、スノーラビィを貸してくれるやろか?」

「はい、スノーラビィちゃんGOです!」

「きゅ~!」



 ぴょんっと薫の肩に移動するスノーラビィは、直ぐにプリシラに連絡を入れてゲートを出現させる。

 仕事が早いことはいいことだ。

 ほめてほめてと言わんばかりに薫をつぶらな瞳で見つめてくる。

 薫は何をご所望かわかったので、とりあえず耳の付け根を撫でてやると嬉しそうに鳴く。

 満足したような表情のまま、薫とスノーラビィはゲートをくぐる。

 一旦、ルルの部屋経由なのは仕方がないかと思いながら。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 レイディルガルドの会議室。

 白い妖精たちが物凄い勢いで城を直したおかげで、今主要人物がそこへ全員集まっている。



「とりあえず、カオルさんはうちで預かることでいいかしら?」

「「「「「駄目に決まってんでしょ!」」」」」




 ディアラの先制パンチに、この場にいる者がほぼ全員反対を表明する。

 それぞれ、最高権力者がここにいるのだ。

 炎の国ナイトハルバの女王、ユグウィ。

 氷の王国クラスハイドの女王、シュカ。

 風の国スピカの王女、スピカ。

 雷の国トライトライドの女王、ディルシュ。

 魔導大国シャルディランの第一王女のラケシス。

 そして、軍事帝国レイディルガルドの皇帝、ガラドラ。

 円卓会議のように皆席について今後のことを話し合っているのだ。

 アレスとラグアンツは、ニアとマーニャを見ている。

 というよりかは、難しい話をしているため飽きてフカフカの毛布にくるまってピンクラビィと一緒に眠っている。

 もふもふーっと2人はピンクラビィを抱きしめる形なのである。

 未だに外ではミィシャが白い妖精と共に何とか修復作業をこなしている。

 もちろん、マリーは魔力タンクとして側に控えている。

 風の国に属しているマリーは、スピカに逆らえなかった。

 今現在完全に国が復活ためだ。

 あれと戦おうなどと思わない。

 第一に、同じ系統でも完全に威力で負けるのは目に見えているからだ。

 マリーは、頭を掻きながら大きな溜め息を吐いて渋々同意するしかなかった。

 ただ、これが終わってから国が落ち着けば、マリーのお願いを聞いてくれるとの一言で、掌クルックルしたのは言うまでもない。

 揉み手でヘコヘコしたのだった。



「まぁ、冗談はさておき……。新貴族が多くなったのが痛いわね……」

「そうなんだよ! 私の国に属する領を、あのクソガキ皇帝とクソ軍師が勝手に迷宮を制覇した奴らにやったのがいけないんだ! それでなくても、面倒事をこっちがすべて抑えているのに……。無駄に面倒を増やすだけ増やしてあとはそっちでってバッカじゃないの? って思うのが普通だよね」

「……」



 スピカは頬を膨らませて鬱憤も溜まっているのか吐き出す。

 ガラドラは、その言葉に渋い顔をするしかなかった。

 息子がしでかしたことだ。

 自分は関係ないとは言えない。

 ここ数年で、かなりの領土を新貴族に渡したり、元々貴族だった者たちが納めていた場所を渡すこともあったのだ。

 そのたびに、国の最高権力者である皆にその皺寄せが回ってくる。

 頭の痛い問題として、どうにか処理はしたもののかなりの不興を買うことになっていた。

 その問題ももうこれで終わりだ。

 だが、今現在渡した領土に関して直ぐ様どうにかできるというわけでもない。

 無能で自身の私欲のために民を虐げている領ならば、手を下しやすいのだが堅実に頑張ってもらった領土を繁栄させている者もいるのだ。

 そういった者たちには民も付いてきている。

 だから、ないがしろにすると民が矛先をこちらに向けかねないというのがある。

 そうなってしまえば、戦になるのは目に見えている。

 弾圧などできはしない。

 迷宮が疎かになれば、国が滅ぶ。

 だから、これらの決め事を今主要人物が集まるここで話し合わなければいけない。

 しかしエクリクスは、ここに当てはまるが呼び出しには応じなかった。

 エクリクスは、医療の面で完全に地位を勝ち取っていた。

 領土もそのときに自国分は取替していたのだ。



「私は皆の用件をすべて飲む……。敗戦国なのだからな……」



 すべては失わなうことはない。

 契約と制約の紙は、今のこの大陸ではなくてはならないものだからだ。

 それがなくなれば、混乱が起こる。

 それがわかっているからだ。



「シャルディラン領の返還もね。随分と派手にやったのね貴方の息子は」

「……」

「私の祖父があのとき決断したのは、力で抑えこんだら必ず民は爆発してしまうことを危惧していた。我が国が、あのときレイディルガルドを攻めなければ、振り上げた権力は絶対にとどまることをしらないからだと私に言ってくださったわ」

「そうでしょうね。現にすべてを支配し、想いのままにする気満々だったのをシャルディランの王が決断して戦争を起こして止めたのだから……。私も知っているわよ、ラケシス王女」

「ユグウィ様……、ありがとうございます……。祖父の思いは他の方に届いていたのですね」



 赤い髪を揺らし、優しく微笑むユグウィ。



「元々の国に領土が戻るのだけど……。レイディルガルドはどうするの?」

「首都だけ残す?」



 ユグウィがそう言うと、横からティルシュが口を挟む。

 バッサリとぶった切る気満々な発言だ。

 ガラドラもその言葉に若干青ざめる。



「流石にそれをすると面倒が増えるのは確実かと……はぅ。統一していたことによって、傲慢になってる人たちもいるはずですから」



 眠そうに伸びをして頬杖をし、ガラドラをジト目で見つめるシュカ。

 押さえ込めるどうか微妙だといっているようなものだ。



「見えない部分は、ラグアンツ頼めるかしら」

「ディアラさんから頼まれたらするしかないですよ。貸しがありますからね」

「あれ? ディア姉、貸し使っちゃうの?」

「ええ、いいわよ。その方が確実に目が届くもの」

「ふーん、まぁ、ディア姉がいいなら俺は構わないけどさ」



 そう言って、眠っている2人の女の子に目を向ける。

 幸せそうな表情に優しい笑顔になる。



「といっても、あと2個くらい残ってるし1個ここで使ってもいいでしょ?」

「……、そんなに作ったか?」

「あら、言ってもいいわよ?」

「うむ、後2個だな……。任された」



 何か本気で探られたくない部分を感じ取ったのか、ラグアンツは苦笑いをディアラに向ける。

 アレスは、上下関係がはっきりと目に見えて「ようこそラグアンツ、こちら側へ♪」と言うと、物凄く嫌そうな顔をするのであった。



「密な条件は個々で入れていくとして、荒れることは許さないわ。レイディルガルドは、その中でも領土として5つをそれぞれの国に譲渡すること、いい?」

「それは、どこだ?」

「砂漠の桃源郷アンリズ、大河の都ヨヴェイル、魔工都市エルギル、鉱山都市アルフリード、白亜の森エルフリル」

「っ……」

「あら、苦い表情になるわね。私が何も知らないとでも思ってるのかしら?」

「ん? どういうことだ、ディアラ姉」



 アレスが皆の疑問を代弁する形でディアラに言う。

 皆、ディアラに視線が行く。



「この5つにはね、レイディルガルドが重要視していて制限が多い領土なのよ」

「制限が多い? ……っ! なるほどな……そういうことか」



 アレスは少し考えてからその意味を把握した。

 ラグアンツもそれに気が付いた。

 それ以外の者は気がついていない。

 それもそのはず、冒険者として自身で大陸を歩きまわった者にしかこれはわからないのだ。



「特殊固有スキルを継承する種族が暮らしているな。もっとも……、1種族は残り4人になってるはずだが。それをうまいこと使っているからか……」

「ええ、かなり特殊なものよ」



 ディアラの言葉に、目を見開く。



「レイディルガルドの未開の地の散策で、必ず情報規制の契約を組まされたからな」

「小さな里があったのは俺も覚えている」



 アレスとラグアンツは、頷きながら呟く。



「はぁ……、早めに手を打たないと元のレイディルガルドの首都が火の海になりかねない一族がいるじゃない」

「え? ディア姉、何その物騒な種族……。そんな種族……いたか?」

「ん? ほらいるじゃない。その種族の女の子は貴方も知ってるはずよ」

「……」

「地下に居なかった?」



 アレスは見る見る表情が引きつる。



「あれって、普通のエルフの子じゃないのか?」

「あの子は白亜の森の奥にある小国の子よ」

「ディア姉……どこまで見えてる(・・・・)んだ」

「ほんの少し先よ(・・)



 茶目っ気たっぷりにウインクする。

 だが、ガラドラはその言葉に見る見る青ざめた。

 なぜ白亜の森の奥にいるエルフがこの城の地下に居たのかが理解できない。

 あの種族は、契約によって絶対にあの森から出られないようにしているからだ。

 精霊を言霊で操り、精霊王を召喚することできる特殊の中の特殊種族。

 生まれた子に継承され、精霊に愛されている。



「今、契約はないに等しい……。これがどうなるかなんて考えるだけで……」



 ディアラはそこで言葉を切り、ガラドラを目を据える。

 その目は、この先何が起こりえるのかを見通しているかのようだった。



「でも、何でいるのかがわからないんだよな」

「モーリスにでも聞けばわかるのではないかしら? ユリウスの能力を使えばどうにでもできたはずよ」



 ディアラの大ヒントにガラドラは答えが一瞬で結びつく。

 いや、最悪の答えが導き出されたと言った方がいいだろう。

 ハーフエルフのモーリスにとって、半人前と言われることがコンプレックスであった。

 このことは、レイディルガルドの誰もが知っている。

 今現在、エクリクスの十賢人としているオーランドにも嫉妬の眼差しを向けていたのだ。

 国が滅ぶのはもう目前だと理解するほうが早かった。

 あの一族とは、諍いなく今までやってこれた。

 外の世界に興味がない。

 のんびりとした温和な正確なのだが、一族が傷つけられた時だけは鬼と化す。

 迷宮が発生し、穏やかな日常をぶち壊した挙句に一族の子供が傷ついたとき、その迷宮内で精霊王を全属性召喚して1日立たずに崩壊させたのだ。

 中級迷宮だったと言われているが、そんなに早く攻略など普通はありえない。

 そして、レイディルガルドの領内だったため、白亜の森内であれば完全固有スキルの開放はしてよいが、それ以外は制限とされているし、悪用されても困るため森から出ないようにさせていた。



「まぁ、モーリスを底に引き渡したらいいんじゃないか? 命の保証はないけど……な。それに、あそこまでひどい状況だったから、軽く3回は死ねるくらいにはいたぶられるんじゃないか?」

「まぁ、今のところカオルさんのところに居るから問題はないとは思うわよ。完全固有スキルの枷が外れているのはちょっと怖いわね。私はどうにかできるだろうけど……。カオルさんだと結構苦戦するかもね」



 ちょっとした爆弾と言わんばかりの報告に、ユグウィが立ち上がる。



「ちょっと、ディアラ! そんな呑気にしてる場合? カオルさんに何かあったらどうするの! やっぱり、私が保護するわ」



 今がチャンスとばかりに、ユグウィはまくし立てる。

 その言葉に、最高権力者の皆が一斉に立ち上がるのはしかたのないことだと思う。

 ラケシスは、椅子に座りながらも小さく手を上げる謙虚な姿勢で参加表明している。

 Sランクの皆についていけるとは思ってもいないが、薫の能力を知っているからこそ、欲しいと思ってしまう。

 助けられたこともプラスされているのは言うまでもない。

 そんな中、ゲートから出てきた薫は頬を引きつらせて唖然としながらその光景を見て、そっとその場から帰ろうとする。

 いきなり出てきて、自身の争奪戦を繰り広げられているのだから仕方がない。

 普通に逃げたくなるのは当然の権利だと思うのだ。

 しかし、それを許してくれない者がいた。

 アレスである。

 しっかりと薫の白衣を掴んで離さない。

 アレスは大変よい笑顔を薫に向ける。

 薫は逃げられないと悟ったのか、額を手で覆う。

 このカオス状態な会議室を肩を落として見つめることしかできなかった。


読んで下さった方、ブックマークしてくださった方、感想を書いて下さった方、Twitterの方でもからんでくれた方、本当に有難うございます。


えー、更新がくっそ遅れて申し訳ないです。

いろいろと本業の仕事が立て込んでおりまして、手がまわらない状態でした。

本日から、通常通りできると思いますので更新がんばります(`・ω・´)ゞ


そして、『天才外科医が異世界で闇医者を始めました。』の2巻が今月末に発売されます。

ウェブ版では書けてなかった部分70p以上、実際何p書いたか覚えてない!?+新キャラも登場します。

3巻出せるならその子が……どうなる!?


はい、ちゅーことで活動報告にも新キャラとカバーイラストをのっけときますのでよろしかったら見て下さい!

てか、ディアラさん可愛いんだよなぁ……。


では、次回の更新でお会いしましょう! ばいならノシ


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