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すれ違いとドルクの末路

 真っ暗な部屋の中。

 水の音だけがただひたすら聞こえてくる。

 外の音など聞こえもしない。

 光もろうそくを灯した程度の光源しか無い。

 

 

「くそ……。また気絶してたのか……」

 

 

 そう言いながら、ドルクは目を擦りながら辺りを見回す。

 寂しいくらいに何もない牢獄。

 最悪な状況としか言えない。

 ここで、奴隷に落ちるだけなら良いが、ミュンス行きならば死んだ方がましだと思ってしまう。

 ふと、扉の鉄格子の部分がほんの少し曲がっていることに気がつく。

 

 

「これは……。外れるのか?」

 

 

 そう言いながら、その鉄格子を何度も何度も揺すってみる。

 ほんの少し、ぐらぐらと動く事を確認できる。

 魔拘束具を付けられているせいで、まったくもって非力な人間でしか無い為、かなり時間がかかると思う。

 こんな物普通であれば、一捻りで外せるのにと苦虫を噛み潰したような表情になる。

 しかし、今はこれが最後の命綱といっても過言ではない。

 外れればここから脱出できる。

 その日の晩から、ドルクはせっせとその鉄格子を外すための作業に没頭するのであった。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 朝を迎える。

 幸福の宿屋の一室で何故か薫はうなされながら起きることになる。

 アリシアが何故か上に乗って鼻ちょうちんをふくらませながら眠っている。

 取り敢えず、どいて欲しいのだがまったくもって離れる気配はない。

 と言うより、がっちりとホールドされ身動きがとれない。

 そういえば、昨日の夜寝る前に撫でてコールをしていたことを思い出す。

 スノーラビィも一緒にぴょこぴょこ跳ねながらであった。

 薫は、無視を決め込み布団をかぶって寝たフリをしていたら、しょぼんとした顔で何故かそのままこちらの布団に入って来て、お腹の上に乗ったままグースカと眠ってしまった。

 その状態のまま朝を迎えたということになる。

 

 

「よっこらしょ……」

「うふふ、かおりゅしゃまぁ~」

 

 

 そう言いながら、アリシアは引っ付いたまま薫と一緒に起き上がる。

 なぜ、起き上がったら足も一緒にホールドしてくるんですかねぇ……。

 薫は頭を掻きながら、そのまま体を立ち上がらせると綺麗にアリシアも引っ付いたままの状態を維持している。

 一昔前に流行ったダッコちゃんのようだ。

 ずり落ちていくことはない。

 鼻ちょうちんは、まだ割れることなくふわふわしている。

 幸せそうなだけに、ついついその見事な鼻ちょうちんを割りたくなる。

 そっと、それが一番膨らんだ瞬間に突くとぱんといって弾けた。

 その瞬間、アリシアはす~っとずり落ちていく。

 薫は慌てて落ちていくアリシアを捕まえ抱える。

 船を漕ぎながらうつろな目で薫を見つめる。

 お姫様だっこされているが、今はそれどころではないらしい。

 とにかく眠いのだろう。

 むにゃむにゃと言いながら薫の胸に蹲ろうとする。

 まるで小動物そのものだ。

 ふとベッドを見るとスノーラビィが目を輝かせながらこちらを見てくる。

 薫は、一瞬嫌な表情が出てしまう。

 完全に魔性の手の効果が出ているのは容易にわかる。

 なぜなら、目が薫の手に釘付けなのだから仕方がない。

 ジッと見つめられてるとさすがの薫も苦笑いになる。

 

 

「あ、あとで撫でたるから、そんな目で見んでくれへんかなぁ」

「きゅっきゅきゅー♪」

 

 

 薫の言葉がわかったのか、嬉しそうに飛び跳ねるスノーラビィ。

 そして、直ぐにピタリと止まってから、体が光り輝く。

 スノーラビィのいるベッドに魔法陣が展開され、底から見覚えのある頭が出てくる。

 

 

「どーもー! カオルさん来ちゃいました。呼ばれた気がしたんです! え? 呼んでない? こ、ここ数日、まったく診察してくれてないじゃないですかぁ」

 

 

 そう言いながら、よいしょなどと言いながら、魔法陣から出てくる。

 魔法陣は、閉じることなくそのままの状態で空間をつなげている。

 なんという事をしてくれたのでしょう……。

 その魔法陣から、大量のピンクラビィが顔をのぞかせている。

 耳をピンと立て、期待一杯に揺らしている。

 何これ怖い……。

 さっさと閉じて下さい。

 サタンが降臨してしまいます。

 これは、完全に撫でてほしいから来ただけだろこいつら。

 そして、最後の極めつけが、精霊のサラマンダーとウンディーネもその魔法陣から這い出てきた。

 無垢な表情なだけにこちらは怒ることが出来ない。

 なんとももどかしい状態と化している。

 ウンディーネは薫の前に来て、スカートをちょんとつまみ可愛らしくおじぎをする。

 

 

「カオルさんほんの少しですが、おじゃまさせて頂きます。止めたのですが、行くと言って聞きませんでしたから……」

 

 

 申し訳無さそうにそう言うウンディーネ。

 おっとりした口調で若干溜め息も吐く。

 しかし、薫はふと思う。

 プリシラの完全固有スキルは、ピンクラビィと場所の入れ替えと聞いていた。

 これは、完全に空間移動の受信機にピンクラビィが使われていると言った方が良い。

 こいつは、大嘘を言っていたなと薫は思う。

 薫の目線にさっと目を逸らすプリシラ。

 なんの事だかわから無いと言ったご様子だった。

 無性に腹立たしい表情に、お仕置きが必要なのではないかと思う。

 この部屋に、総勢プリシラを含めピンクラビィが40匹、精霊2人というありえ無い人数になっていた。

 昨日から、なぜこんなに面倒事が増えるのかと頭を抱えたくなる。

 ピンクラビィ達は、行儀良く一列に並んで薫に撫でて貰う為の順番待ちをしている。

 下手に断れば、たらいもしくは運吸収の最悪な展開になる。

 幸運を運ぶなんてとんでもない。

 災厄を運ぶとでも言っておきたいレベルだ。

 取り敢えず、アリシアが起きないうちにこいつらの処理をしなければ、長引くのが目に見えている。

 ふと、サラマンダーがいない事に気がつく。

 辺りを見回すと、フーリのベッドにちょこんと乗っていそいそと横になっていた。

 なんで、フーリの胸を枕にして、幸せそうに寝ようとしてるんですかねぇ。



「もちもち、特等席です」



 薫の方を見て、そのように言う。

 心が詠まれたのか?!

 まぁ、こっちはどうでも良い。

 取り敢えず、フーリが起きたら、また連れて行く! もう離さない! などと言いそうなだけに、絶対に起こすなよと思うのである。

 これか! 昨日の悪寒の正体はと、思う薫なのであった。

 アリシアをベッドに寝かせてから診察に移る。

 診察を終わらせた頃には、げっそりとした表情になっていた。

 プリシラは、にこにこした表情でこちらを見てくる。



「プリシラ、大嘘ついとったな」

「え? 私は嘘はついてませんよ。固有スキルと完全固有スキルの説明を間違えてしまっただけですよ」

「おう、なにかぁ? 『限定転移リミットワープ』は、固有スキルで完全固有スキルは、これって言いたいんか?」

「はい♪ 『限定異空間門リミットゲート』です」



 誇らしげな表情で、言うプリシラの両耳をとっ捕まえて、薫は左右外側に引っ張る。



「はうわぁ!? な、何するんですか!? カオルさん耳が裂けちゃうじゃないですか! み、三又ラビィになってしまいます!」

「いや、下手したらただの人に早変わりやろ。てか、腹たったからついな。今のは仕方ないやろ」

「引きちぎる気だったのですか?!」



 なんという事をと言わんばかりの表情になるプリシラ。

 薫は笑顔でそう言いのける。

 完全に目が笑ってない。

 面倒事ばかり増やしやがって、このダメプリラビィは……。

 プリシラは、耳を労わりながら摩っていた。

 しかし、背中に感じる突き刺さるような眼差しは精神的にこたえる。

 約40匹のピンクラビィの熱い目線。

 もう終わった? まだかなまだかな? といった感じで、ソワソワしながら待ち続けている。

 そのまま、ささっとお引き取りしてくれないだろうかと本気で思ってしまう。

 淡い期待はしないでおこう。

 そう言おうとしたら絶対に空気が重くなる。

 無言の圧力という奴だ。

 取り敢えず、薫は順番待ちをしているピンクラビィを三回ほど撫でる。

 たった三回撫でただけで、服従のポーズをとってしまっている。

 薫は、そのまま転がるピンクラビィをゲートの穴の方へ転がす。

 ころころ転がりながら、すとんっとゲートにピンクラビィはホールインワンする。

 途中、「きゅ?」っと言っていたが気にしない。

 しかし、その光景を見ていた順番待ちをしているピンクラビィ達は、びくんと反応する。

 ある意味強制送還に等しい。

 至福の時を味わいながら、転がされ妖精の国へご案内。

 ピンクラビィ達は、絶対に転がってはいけないと思いながらも、薫の撫でリスト・極には抗えず、次から次へと転がりながらゲートへ吸い込まれていく。

 ちゃっかり、プリシラも順番待ちをしている辺り、なぜか面白いと感じてしまう。

 最後のプリシラの番になった瞬間。



「さあ、カオルさん撫でくりまわしってください!」

「あらよっと! そい」

「え?」



 薫は、プリシラをお姫様だっこしてそのままゲートへポイッとした。

 プリシラは、「ええええええええ!?」っと言いながら、ゲートへと吸い込まれていった。

 いい仕事をしたと思いながら、手をぱんぱんと払う。

 ウンディーネは、薫の行動にお腹を抱えて笑っていた。



「そろそろお開きや。あっちの事も考えたら長居は出来へんやろ」

「はい、カオルさん有難うございました。我儘な姫様ですが、ちゃんと妖精の国を守ってらっしゃるんです。今も結界を張って人に見えないようにしています」

「まぁ、それが仕事みたいなもんやからな」

「適当でいいので、撫でてあげると嬉しいです。あのままだと、あちらで物凄く不機嫌になるので……」



 この通りですといった感じで、胸の前で祈るようにして薫に言う。

 ウンディーネの言葉も最もかなと思い、仕方がないのでゲートから首だけぴょっこり出して、不貞腐れるプリシラの頭を撫でる。

 一瞬と言ってもいい。

 一撫でで機嫌が直り、二撫ででとろんとしてしまい、三撫でできゅっきゅーなどと言いながら屈服する。

 そして、デコピンで妖精の国へおかえり頂く。

 やはり、ゲートに吸い込まれる時に「きゅ〜!?」と言いながら吸い込ませていく。

 ウンディーネは、口元を押さえながら笑うのを必死に我慢する。



「そしたら、二人ともそろそろ帰り。また来てもええからな」



 薫はサラマンダーとウンディーネにそう言う。

 しかし、サラマンダーは、なぜかジタバタしていた。

 よくよく見ると、うつ伏せでフーリの胸を枕にしていたら、そのままホールドされていた。

 がっちりと抱きしめられ、メロンと言ってもいいフーリの胸に押しつぶされるような形で、サラマンダーは呼吸困難になりピタリと動かなくなった。

 薫とウンディーネは、慌ててサラマンダーをフーリから引き離す。

 完全に目を回すサラマンダーをウンディーネはおんぶする。



「もう、本当にこの子は……」

「完全にお母さんになっとるやないか?」

「や、やめて下さい! そんなにまだ生きてませんよ」

「あははは、そうか。すまんすまん」



 頬を膨らませるウンディーネ。

 しかし、この背格好だが軽く50年は生きている。

 人と比べてはいけないのだろう。

 そんなことを考えていたら、ウンディーネが呼んでいることに気がつく。



「カオルさんちょっと屈んでください」

「ん? なんでや?」

「えへへ、いいですから。ほら、早く」



 そう言われ、カオルは屈むと丁度目線がウンディーネと合う。

 ウンディーネの身体が青い光を放つ。

 そして、そのままほっぺにキスをされる。



「なっ!?」



 薫はいきなりの事に少し驚く。



「えへへ、水の高位精霊から祝福です。疲れも無くなったんじゃないですか?」

「疲れが飛ぶ前に、色んな意味でアウトや……。でも、ほんまに気分も軽くなったな……。なんでやろ?」

「よかった。これはお礼みたいなものです。進化させて頂いて、まだお礼も言えてませんでしたから」

 


 そう言って、ウンディーネはウインクをしてから笑顔を作る。

 そのまま会釈をして、ゲートに入っていく。

 波紋のようなものが、ウンディーネとサラマンダーを包み込み沈んでいく。

 二人が沈み、姿が消えるとゲートはスッと閉じて、魔法陣が砕け散るように消滅した。

 あっという間のごたごたに、薫は溜め息を一度つきベッドに座る。

 頭を掻きながら、時間を見るとまだ8時だった。

 二度寝でもするかなと思っていたら、フーリがむくりと起き上がる。

 大きなあくびをして、もう一度布団を被りコロンと丸まってしまった。

 起きないのかよ……。



「お姉ちゃん、甘えん坊……。えへへ……」



 夢でクレハと戯れているのかなと思い、薫も二度寝をするのであった。

 途中、スノーラビィに頬を突かれ、撫でる事をすっかり忘れてたので、念入りに撫でると満足げにその場で横になり眠りについた。

 薫が目を覚ましたのは9時半だった。



「なんで、二人とも起きてないんやろな……。まぁ、寝る子は育つとか言うけど……。違う意味で育ちそうやな」



 ちょっと呆れながら、薫はアリシアを叩き起こす。

 アリシアは、「ふにゃああああ」と言いながらなんとか起きた。

 さっさと目を覚ましてもらわなければ、旅に出るのが夕方になってしまう。

 フーリは、アリシアの声が目覚ましなのか、それを聞いてからひょこりと起きる。

 その時に、見知らぬアクセサリーが首に巻かれてあった。

 フーリは、いつ付けたのか分からず薫に聞く。

 薫は、サラマンダーの事を言うと、「なんで起こしてくれなかったの!」 と言いながら、頬を膨らませる。

 薫は、その時の惨状を耳打ちで話すと何とか納得した。

 プリシラ率いる40ものピンクラビィの大群。

 よくよく考えれば、なぜあのような時間に来たのか理解できた。

 アリシアが、絶対に起きれない時間帯に来ている。

 策士だなプリシラよ。

 そのようなことを思いながら、フーリに何時でもこちらに来れることを話すと、目をパァーッと輝かせる。

 アリシアは、相変わらず船を漕ぎながらまだ覚醒できていなかった。

 スノーラビィが、アリシアの頬にめり込むパンチを食らわせながら、必死に起こそうとしている。

 しかし、アリシアはえへへなどというのである。

 最終的に起きたのは、たらいの落下であった。

 その後は、朝食を取ってから、皆は着替えて新たな旅の為の買い物を済ませる。

 主に、食料を重点的に補充していく。

 回復アイテムは、ほとんど買わない。

 最低限の数だけ購入する。



「薫様、これからどこに向かいましょうか?」

「せっかく冬なんやから、雪も見たいなって事で北にでも向かうか」

「雪、冷たくて気持ちいい」

「す、スノーラビィちゃんが、喜びそうなのですよ」

「きゅ?」



 何故か疑問系な鳴き声で鳴くスノーラビィ。

 凍えるような寒さでなければ問題ない。

 冬は冬の楽しみ方がある。

 一通り満喫し尽くせればいいなと思う。

 薫は、馬車を出して貰いそれに乗る。

 アリシアとフーリは馬車にぴょんと乗り込む。

 そして、馬車を走らせようとした時、猛ダッシュでこちらに向かってくる二人の亜人がいる。

 ミーナとミィシャだ。

 薫は、やばいと思い速攻で馬車を走らせる。



「ま、待ってください! カオルさん! 最後に一撫で! 一撫ででいいですから!」

「もうここに永住して下さい! そして毎日、私の尻尾と耳をグルーミングして下さい!」



 息を荒らげながら言う二人は、本気で怖かった。

 しかし、そんな二人の行動を制止させる者が二人現れる。

 ミーナとミィシャは、脳天にげんこつを一撃食らう。

 二人は、目を回しながらこてんと倒れた。



「たく、どんだけ迷惑をかけるのよ! 妾のギルドが、下に見られてしまうでわないか! それに最近、明日ブラシで念入りに整えてると思ったらこういう事か! たるんでおるぞ!」

「ミィシャ! あんた最近おかしいと思ったら、カオルさんに迷惑かけに行ってたのね。何か魅了されてるくらい行動がおかしいんだから私でも気づくわよ……」



 イズルとマリーがそのように言いながら、目を回す二人を叱りつけている。

 薫自身のせいなだけに、なんとも言えない表情になる。

 一方、アリシアはマリーの行動にきょとんとする。

 いつもなら、薫にちょっかいをかけているが、今回はそのような事は全くない。

 なんでだろうといった感じで、首を傾げながら見つめる。

 すると、その疑問に薫がサラッと答える。

 簡単な事だ。

 からかわれただけという事だった。

 それを知らされたアリシアは、イラッとしたのか不機嫌なままマリーをジト目で見る。

 薫は分かりそうなものだがと思いながら、そんなアリシアを見るが、当の本人はまったくもってそのようなことを感づけない仕様のようだ。

 とても残念なのである。



「ああ、もう行ってしまうのかい? 寂しくなるねぇ。またこっちに来たら手合わせ願えないだろうか?」

「別にかまわへんけど、街がぶっ飛ばん程度に戦うことをしたほうがええかもな」

「あははは、ごもっともだね。しかし、勝てないとわかってるけど、それを超えたいって思うのもいいじゃないの。これから、あんたみたいな奴が出てくることは無いからさぁ」



 マリーは、そういいながら寂しそうな表情をする。

 殆どの冒険者と探求者は、Cランクに上がる時に契約書を書く。

 それによってこれから永遠に帝国に縛られることになる。

 知らずの内に、Sランクに認定されると制限が発生して、Sランクの能力を強制的にAランクへと落とされる。

 限定的に解除はできるが、殆どできないに等しくなる。

 今回マリーは、自身の領土を守るための限定解除でSランクの能力を執行できた。

 出来なければ、相当苦戦する魔物が多かったが、Sランクの次元の違いというものが垣間見れる。



「カオルさん、仲間が大変ご迷惑をお掛けした……。なんと言っていいか。助けてもらって挙句に今度は迷惑をかけるなど……。もうミーナに首輪を付けて手綱をしっかりと持つようにしますからどうか許してやって下さい」

「ぜ、全然気にしてないからええって。そんなことせんでも、大丈夫やろ……。それと、イズルもこれから頑張れよ。噂は何処へ居ても流れてくるからな」

「う、噂……。あ、そ、そうですね……」

「ん? なんか歯切れの悪い感じがするんやけどなんか流れとるんか?」

「え? カオルさん知らないの?」

「うわぁああああ、マリー! あんたやめなさいよ! 言っちゃダメぇ~!」



 イズルが大慌てでマリーの口を塞ごうとする。

 しかし、楽しそうと思ったのか簡単にそれを躱して薫に報告する。

 簡単にいえば、薫のあの妖精の国での一見だった。

 おぞましい魔力と威圧で敵をちぎっては投げちぎっては投げとしていたと言う。

 完全に尾びれと背びれがつきまくっている。

 そして、今回のトルキアに襲ってきた魔物達も薫のせいということになっている。

 これは正しいので、なんとも言えない。

 ちょっとした苛立ちが原因です。

 次からは気をつければオッケイだよね?

 そんなことを思いながら、マリーから今流れている噂を聞く。

 もう、この街では薫に逆らうものはいない。

 自殺行為にも等しいと、本気で冒険者や探求者が思っているみたいだ。

 そして、この噂はもうこの街だけではなく、他の街にも飛んでいっているようだ。

 色んな所から商人などがやってくる。

 人伝でどんどん拡散されているようだ。

 絶対にグランパレスにその噂が入ったら、あいつらが大笑いするだろうなと思うのであった。

 いや、腹を抱えて笑い転げるが正しいのかもしれない。

 薫は、溜め息を吐きながら頭をかく。

 もうどうにでもなれと言った感じが否めない。

 その後は、二人に挨拶を済ませてトルキアの北の門へと向かい出発する。

 新たなる地へ旅行気分で走りだすのであった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 トルキア迄あと10km地点。

 辺りは、だんだん薄暗くなってきている。

 クレハは、全速力で街道を突っ走っていた。

 途中、冒険者達が乗る馬車などをものすごいスピードで追い抜いていく。

 通り越した瞬間突風のようなものが吹き荒れる。

 皆、何が起こったのかわからず、ただ辺りを見回すばかりであった。



「ああ、フーリ。もう少しで会える……。私の可愛いフーリ」



 そう言いながら、クレハはトルキアへと向かうのであった。

 トルキアに着いたのは、日が暮れた頃。

 辺りは、街の光でライトアップされてある。

 要塞とも言えるトルキアの門をクレハはさっさと中に入る。

 門番に、ブラックのギルドカードを見せて素通りする。

 門番も何も言わずに、目を見開きちょっと表情が引きつる。

 クレハは、まず罪人の館へと向かう。

 黒髪ロングヘアを揺らしながらスキップでルンルン気分で歩く。

 炎を纏ったかのような真っ赤な着物のせいか、かなり目立つ。

 そして、面をつけているだけに余計にだ。

 スタイルも良いため、スキップするたびに大きな胸が揺れる。

 着崩してるせいもあるのだろう。

 それを見ていた冒険者は、ちょっとばかり遊んでやるかといった感じでクレハの前に立ちふさがる。



「よう、お姉さん。仮面なんて付けないでその下の顔を見せてくれよ。そんでもって、俺とちょっと遊ばないか?」



 一人の屈強とも言えそうな体つきの冒険者が、クレハにそう話しかける。

 面をかぶってるせいか全く表情が見えない。



「ごめんなさい。ちょっと急いでるんで、どいてもらえますか?」

「は?」



 物凄く柔らかい口調で言うクレハ。

 今日は気分が良いので、このように柔らかい感じで話している。

 フーリに会える。

 それだけで、もう今までの苦労が全てぶっ飛んでしまうレベルで嬉しい。

 いつもなら有無も言わさずに地面に突き刺すか、壁に埋まってもらう事になる。



「てか、すごく可愛い声じゃないか。顔も見せてくれよ。な?」

「急いでるんで、どいて下さい」

「いいじゃないか。減るもんでもないだろ?」



 冒険者は、クレハの手を持ちそう言うと、クレハはイラッとしたのだろう。

 クレハの周りに、真っ赤な得体のしれないオーラが発生する。

 尋常ではない。

 話しかけてはいけない分類の者と即座に理解できる。

 面の目の穴から見える真っ赤に燃えるような目がくっきりと見えた。

 冒険者は死を連想してしまう。

 次の瞬間、



「おお、クレハさんじゃない」



 そう言って、クレハの殺意を一瞬で振り払う者が現れた。

 ピンク色の髪の毛をサイドテールにして、派手な踊り子服を着ている。



「あら、マリーさん」



 そう言って、クレハはマリーを見る。

 冒険者は、その場でヘタレこむ。

 顔面蒼白になり、歯をガチガチと震わせていた。

 四つん這いになりながら必死でそのまま逃げていく。

 クレハは、全くその者を気にすることなく話を続ける。



「今日は、秘書の犬っころはいないの?」

「ん? ああ、ミィシャね。あの子今何かに魅了されてるみたいだからロープで縛って魔拘束具をつけてるわ」

「あら、特殊なプレイね」

「そんな性癖ありません……。いや、今なら撫で放題か……」



 そんな事を言いながら、マリーは顎に手を当てにっこりと楽しそうな笑みを浮かべる。

 しかし、なぜクレハがこの街にいるのか気になるマリー。

 まさかとは思うが一つだけ心あたりがある。

 当たらなければいいなとだけ思いながら一応聞いてみた。



「フーリが見つかったのよ! 私の妹! ああ、やっと会えるの。どれほど待ち望んだことか……。それでね、今悪人の手によって私の可愛いフーリが奴隷にされてるの! だから、骨も残らないようにしてあげるの」

「……」



 マリーの表情が若干引きつる。

 マリーは、心の中で「カオルさんにげてぇー!」と思うのであった。

 完全に勘違いしているが、多分聞いてくれないだろうなと思う。

 今までもそうだった。

 話を聞かずに、かなり極端な解釈をするクレハ。

 そうと思ったら、それが正しいと思ってしまう傾向がある。

 本気で薫の事が心配になるが、トルキアでぶつからなくてよかったと思う反面もある。

 確実にこのトルキアが地図上から消し飛ばされる。

 住民をこっちは守るだけで手一杯と言ったところだろうなと思う。

 とりあえず、クレハがこの街を出て行くまで一緒に行動しようと思うのである。

 何かやらかされても困るからだ。



「そうなんだ。クレハさんはこの街のこと知らないでしょ? 案内してあげるよ」

「あら、マリーさん親切ですね。助かります」

「壊されたくないからだよ……」

「なにか言いました?」

「いや、何も言ってないよ」



 小さな声で悪態をつくマリー。

 感情の昂ぶりからだろうか、クレハは先程の言葉を聞き取れていなかった。

 心はもうフーリ一色といってもいい。



「それで? 何処に行きたいんだい?」

「ええっと、罪人の館ですね。ガッハさんがいらっしゃるところです」

「ああ、じゃあ南の区域だね。じゃあ、行こうか」

「うふふ、ああ、楽しみだわぁ。フーリ♪ フーリ♪ 私の可愛いフーリ♪」

「ちょっと、スキップするのやめなさいよ。恥ずかしいじゃない」

「えへへ、いいじゃないですか」

「はぁ……」



 ちょっと疲れてきたマリー。

 何事も無く終わればいいなと思う。

 フーリと薫はもうこの街を出て行っているから、多分終わらないだろうなと思いながら、重い足を引きずるような感覚に陥るのであった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 薄暗い牢獄。

 必死に何時間も鉄格子をゆすり、やっと外れた。



「や、やったぞ! こ、これで自由になれる!」



 そう言いながら、ドルクは無精髭を生やしにたりと笑みを浮かべる。

 細身であった為、鉄格子をするりと抜けて牢の外へと脱出した。

 武器としても使えそうな外れた鉄格子を手に持つ。



「くっくっく、運を吸い取っても俺の悪運はまだまだ健在のようだな……」



 そう言いながら、こそこそと身を隠しながら廊下を歩く。

 地下から地上へと上がって行く。

 自由への扉を今開けた。

 しかし、そこには絶望が待っていた。

 目の前には、見知らぬ女性が二人とガッハが立っていた。

 ドルクは口をパクパクさせながら青ざめていく。



「ああ、なんということだ。脱走を試みているようです」



 白々しい棒読みでガッハはそう言う。

 笑いを堪え切れないといった感じである。

 ドルクはそれを見て、あの外れそうな鉄格子は、ガッハが仕組んだことだということが分かった。

 希望を与え、その後地獄へたたき落とすといった感じなのだろう。

 ドルクは腐ってやがると思いながら、女二人のどちらかを人質に取って、この館を脱出してやると思う。

 二人共、そんなに強そうに見えない。

 生身でも、なんとかなるのではないかと思えた。

 なんとも愚策だということには気が付かなかった。

 ドルクは仮面をかぶった黒髪の少女の手を掴み、そのまま首に腕を絡め締めるようにして、首元に鉄格子の尖った方を突きつける。



「お前ら、動くんじゃねぇぞ! この女がどうなってもいいのならな」

「おい、待て早まるな!」

「うるせぇ! 俺は生きてここから出るんだ! そして、また地位を上げてやるんだ!」

「本当にはやまるんじゃないよ。この館には、軽い刑罰で入ってる奴もいるんだから! だから、そいつだけ殺してもいいから」

「そうです! この館が消し飛んだら大変なことになるんです!」



 何やら、話が噛み合ってない。

 仮面をかぶった黒髪の少女の心配をしているのではない。

 どちらかと言えば、この罪人の館の心配をしている。

 この時おかしいと気がつけなかった。

 ドルクは、もう後が無いと思い焦っていた部分もあった。

 そして、ドルクの方が優位に立っているのに、まったくもってドルクのことなどどうでもいいといった感じの対応に苛立ち始める。



「お前ら! この状況を理解できないのか!」

「いや、本当にそんなのどうでもいいですから。クレハさん頼みますから罪人の館だけは……」

「あんたなんてどうでもいいのよ! 私はこの街が無くなるか無くならないかの瀬戸際なのよ! 雑魚は黙ってなさい!」

「な、なめんなよこらぁ!!!!」



 そう言って、ドルクはクレハの首元に尖った鉄格子を突き立てようとする。

 しかし、その鉄格子は刺さることなく肌に触れた瞬間ねじ曲がった。



「なっ!?」

「五月蝿い……」

「へ?」

「いつまで、私に汚らわしい手で触っているの……」

「ぐぼはぁ……」



 肘鉄をみぞおちにくらいドルクは階段から転げ落ちていく。

 下まで落ちて、何度も咳をしながらドルクは苦しむ。



「はぁ……。本当に驚きましたよ。一瞬で消し炭にするかと思いました……」

「私は完全固有スキルで、こいつごとこの街を火の海にするかと思ったわ……」

「あら、してほしかったの?」

「「しないでくれ!」」

「感情くらいコントロール出来るわよ。失礼ね」

「どの口が言うのよ! あんた一回私を人違いで殺しかけたじゃない!」

「あら? そんな事がありましたっけ? ああ、たしかフーリを売ったっていう一人の奴隷商人に、あなたと一緒の格好の人が居たからよ。仕方ないじゃない」

「仕方ないで、私を殺しかけるとか本気でおかしいわよ! こっちは制限かかってるのに、そっちは解除してるとか勝てるわけないじゃない! それに、私のフーリを返してとかめちゃくちゃな事言ってたでしょ」

「昔のことは忘れました。もう水に流してください」

「あんたって子は、本当に……」



 溜め息を吐き、もう嫌だといった感じで肩を落とすマリー。

 ガッハは、その話を聞いて表情が引きつる。

 とてもじゃないが、クレハは止めることなど出来ない。

 Sランクの限定解除があっても不安になるレベルだった。



「さて、ゆっくりと拷問して地獄をたっぷりと見せてあげましょうか」

「あ、あとはおまかせしますが、絶対に館への被害はなしでお願いしますよ」

「ええ、あ! 締めに一発でかいのを使うかもしれませんので、その時はご了承下さい」

「おいやめろ! なんで、いちいち高火力なスキル使おうとするのよ。いらないでしょ! そんな雑魚を殺すくらい」

「絶望を味あわせてから、二度とこの世に転生出来ないようにしてやりたいので……」

「なんでそんな可愛く言うのよ! 言ってる言葉が怖すぎるわよ。さすがにミズチの族長とかもう関係ないレベルね」

「……!?」


 仮面越しだが、口元に手を当て笑っているのだろう。

 肩が小刻みに震えているのがわかる。

 ドルクは、絶望の雨が降る。

 先ほどまで人質にしていたのが、ミズチ一族の族長だと今初めて理解した。

 いや、フーリに似ているとは思った。

 同じ着物のような服装に黒い髪の毛。

 そして、真っ赤な炎のような目。

 この者にあった瞬間からもう積んでいた。

 意気消沈として声も出ないドルク。



「では、締めになるまでちょっと時間があるので、マリーさんとガッハさんは上で待ってて下さい。その時になったら呼びますから」



 二人は、うわぁっと言った感じでクレハを見る。

 この時点でドルクの死が確定している。

 いっその事、楽に殺してやったほうがいいのではないかと思う。

 二人は、その場を後にする。

 残されたクレハとドルク。

 死へのカウントダウンが今から始まる。

 それは長い時間を掛け、じっくりとクレハの拷問を受ることになる。

 


「固有スキル『傀儡人形ーー炎鬼』」



 真っ赤に燃え上がる鬼の傀儡が具現化される。

 ドルクは、青ざめ震えが止まらなくなる。

 あまりにも熱を発する炎鬼に大量の汗をかく。



「さぁ、話してもらいましょうか……。フーリを盗賊に襲わせたのは貴方よね」

「ち、違う俺じゃない!」

「嘘はダメよ……。もうわかってるんだから……。ちゃんと答えなさい」

「ぎゃああああああ! ゆ、許してくれ!」



 ドルクの腕を炎鬼が掴む。

 高熱の炎鬼の手はドルクの腕を焼く。

 ドルクは、悲鳴を上げながら苦しむ。

 



「あと、私が貴方を許すと思ってるの? 貴方の罪は重いわ。フーリを奴隷に落とすなんて、最低な事をしてただで済むと思わないで」

「頼む。お願いだ。い、命だけは……」

「それも無理。私の怒りを買った者がただで済むわけない。それ相応の罰を受けてもらう。フーリが受けた苦しみを貴方も受けなさい。そして、最後まで苦しんで死ね」



 尋常ではない魔力の塊を纏うクレハ。

 本気で怒っているのがわかる。

 


「もう、おしまいだ……」

 


 ドルクは、そう言ってクレハの拷問を受け、今までの悪行とフーリに関することを洗いざらい吐いた。

 地獄のような拷問を受けたドルクは、最後にクレハの炎鬼によって跡形もなく消し飛んだ。

 クレハが、マリーとガッハの下へと戻った為、ドルクの最後はわからないままだった。

 マリーとガッハは、念のため地下通路へと行ったが、ドルクの姿は何一つ残ってなかった。



「エグいわ……。私は絶対に悪いことはしないと誓いたくなるわ」

「私もですね。クレハさんが罪人の館の支配人だったら多分、この世は平和になるでしょう」

「あら? そうですか?」



 綺麗で透き通るような声でそう言うクレハ。

 歴代最強と言われるミズチの族長。

 恐ろしすぎて、皆道を開けるだろうと思う。

 素顔は美人で儚く。

 虫一匹すら殺したこともないのではないかと言えるような人でもある。



「さて、二人に聞きたいことがあります。カオルという方はご存じですか?」



 二人は、ぴくりと反応する。

 これはもう確実に薫に矛先が剥いている。

 ドルクがどのようにクレハに言ったかは知らないが、これは絶対にまずいと思う。

 仮面から見える目が、炎を纏ってるかのように揺らぐ。

 二人は、薫には悪いがここは一つ生贄になってもらうかと思う。

 まぁ、どうにかなるであろうとは思っている。

 フーリ自身もいるのだから大丈夫と思う。

 いや、思いたい。

 死んだら化けて出ないでねとも思うのである。



「あ、ああ、知ってるよ」

「あら、じゃあ、その方の情報を全部洗いざらい吐いて下さい」

「まるで、私が何か悪い事したみたいな言い方やめてよね!」



 マリーは、そう言いながらツッコミを入れる。

 若干、隠している部分もあるが、別に言っても良いレベルの部分は全て話した。



「なるほど、治療師ですか……」

「そうよ。たしかフーリって子の治療をしたんだってさ」

「そうやって、私のフーリに恩を売って屈服させたんですね」

「私が聞いたのは沢山良い物を食べさせているようでしたよ。ふっくらしておりましたし」

「餌付けで私のフーリを手懐けるなんてひどい! 粛清が必要だわ……」



 マリーとガッハは、もうダメだと思いながら、あとは全て薫に任せようと思うのであった。

 最後にクレハは、薫たちがどっちに向かていったかを聞きその場を後にする。

 もう、何を言っても聞く耳を持たない為、二人は諦めムード全開である。

 その後、真夜中ではあるがクレハは街道を戻るため、北の門へと向かう。

 マリーは、クレハが出て行くまで安心できないので、きっちりとついていく。

 クレハは、門番にギルドカードを見せて、そのまま猛スピードで薫たちを追う為、来た街道を戻っていく。

 マリーに挨拶などすることすら忘れて、クレハは暗闇の街道に消えていった。

 マリーは、薫に「本当にごめんなさい。本気でやばかったらにげてねー!」と思いながら、から笑いをするのであった。


読んで下さった方、ブックマークしてくださった方、感想を書いて下さった方、Twitterの方でもからんでくれた方、本当に有難うございます。

今回は早かった!

私はがんばったんや!

はい、次回も一週間以内の投稿を頑張りたい。

ではー

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[気になる点] 普通に助けられてたって言えば誤解の仕様もなくないか…
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