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最悪を止めに……

ファルグリッドの夜。

全ての治療院にインリケの死が伝わった。

治療師の皆は、青ざめる。

この情報は、患者には伝えないようにと全員に釘を刺す。



「まさか……死人が出るなんて……」

「どうするんだ? 俺らも危ないんじゃないのか」

「げ、元気な内にブルグにでも逃げたほうが……」

「いや、もう手遅れだろう。腹をくくらなければならない。それに、逃げた所で助かる保証はない」

「「「……」」」



そう、助かる保証はないのだ。

ヘタすれば、ブルグにも情報が伝わっている場合は、受け入れてくれない可能性もあるのだ。

八方塞がりとはこのことだ。



「皆、頑張ってるんだ。患者が、死んだとしても、責めたりはしない」

「「「……」」」



皆、無言で頷く。

寧ろ、そう思わなければ治療は出来そうにない。

心が、砕けそうになる。

今までに、経験したことのないこの状況に、精神も追い詰められる。

生産者も、可能な限り回復アイテムを精製している。

このまま、維持できればなんとか数日はもつ。

ブルグに応援を要請出来ないか、治療師ギルドで現在会議中なのだ。

薄い頼みの綱だが、コレに賭けるしかないと思う治療師の面々なのであった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ベッドの上で、うつ伏せになり、ピンクラビィをじっと見つめる。

ピンクラビィの丸まった身体をつんつんと突くアリシア。

この癒しの塊について、脳内で熱い討論をしているようだ。

表情は、終始笑顔である。

薫は、ラックスティーを飲みながら、そんなアリシアを観察する。

うとうとするピンクラビィの首元をクイクイと撫でていた。

気持ちよさそうに、睡魔に負けていくピンクラビィ。

そのまま、規則正しい呼吸になり、眠りに落ちた。



「んんーーー! 可愛すぎるのですよ~」



ご満悦なアリシア。

そのまま、ピンクラビィを起こさないように、ゆっくりベッドから降りる。

そして、ちょっと気まずそうに、こちらを見る。

視線に気付いていたようだ。

アリシアは、薫の横に座る。



「か、薫様、じ、ジロジロ見てどうしてたのですか?」

「うーん、弄りどころ探しかなぁ」

「な、ないですよ。どこもないのです!」



からからと笑いながら、ラックスティーを飲む。

頬を膨らませるアリシア。

薫は、膨らんだアリシアの頬を指で突付き空気を抜く。



「ふにゅ……」



シューッと頬に溜め込んだ空気は抜ける。




「薫様は、私を誂って楽しいのですか!」

「アリシアの事、好きやからな。めっちゃ楽しいで」

「……そ、その返しは卑怯ですよ! そ、そんな事言われたら……」



最後の方は、ゴニョゴニョ言ってて聞こえなかった。

だた、好きと言われ、アリシアは真っ赤になる。

薫には、こういう言葉は、あまり言われなかった為、アリシアには破壊力抜群であった。

アリシアの心を満たす言葉でもある。

そっと薫に寄り添う。

上目遣いで、薫を見る。

期待しているような目である。

それに応えて、アリシアに口づけをする。

唇が重なり、アリシアは薫の首に手を回す。

ちょっと大胆じゃないか?

なかなか、離してもらえない。

気が済んだのかやっと離れた。

吐息は熱く。

妙に、アリシアが艶やかに見える。

アリシアは、するりと薫の膝の上に乗る。

その動きで、ワンピースが少し捲れて、太ももが露わになっていた。

そして、まだ足りないといった感じで、唇を重ねてくる。



「ん……」



薫の膝の上で、もじもじと動く。

そうしていると、治療院のドアがバタンと開く音が聞こえた。

二人は、ビクっと驚く。

そういえば、鍵を閉め忘れていたことを思い出す薫。

ドタドタと涙声を出で入って来る者が居た。



「だーずーげーでぇーよぉー! がぁーおーるぅうー」



ニケであった。

滝のような涙を流しながら入ってくる。

三段重ねのたんこぶと、引っかき傷とアザをこしらえて、やって来たのだ。

居住スペースに入ってくると、薫の上にアリシアが乗っている光景を目の当たりにして、「あ……」という声が漏れる。

気まずい空気が流れる。

ニケは、空気を読もうとしたが、体中が痛くて、それどころではなかった。



「うぅ……いい感じの所、悪いけど治療して欲しい……んだけ……ど」



薫は、頭を掻きながら、ちょっと助かったと思うのであった。

アリシアの冷徹な目つきにニケは、脂汗を掻く。

またとないチャンスだった。

良い雰囲気で、薫と結ばれる可能性の高い状況。

殆ど、躱されることの方が多いから、アリシアも頑張った。

あのまま、流れに乗ればいい感じになれたのにと思うと苛立ちを隠せない。

薫からスッと降り、ニケに近づく。

アリシアは、いつも通り笑顔であったが、目が笑っていなかった。

威圧を発しているわけではないのに、ニケはアリシアにビビるのである。



「どうして、こんな怪我をしたのですか?」

「え、えっと……ティストを誂って……」



最後まで言う前にアリシアは、目で殺すかのような殺気を灯す。

そんなどうでもいい事で、良い雰囲気をぶち壊したのかと思う。

ニケは、まだ死にたくないよ~と言った感じでプルプル震える。

声を出すことすら出来なかった。

治療院で、治療師から命の灯火を消されるという状況なのだ。

魔力を込めた威圧ではないため、薫はその事には気が付かなかった。

過ぎてしまった事は、仕方ないと思いアリシアは、溜息を吐きながら治療をする。

前回、ダルクが居たからこうならずに済んだのだが、ダルクは家族サービスのため、一緒に居なかった。

そのため、酒が入り、気持ちよくなったニケは、また同じ失敗をしてこうなったのである。

自業自得であった。

アリシアにペコペコ頭を下げるニケ。

帰り際に、アリシアの耳元で、「今度、何でも協力するから許して」と言うと、アリシアはきっぱりと「二度と邪魔しないで下さい」と、笑顔で言うのであった。

釘を刺され、「はい」という返事しか出来なかった。

怪我は全て治り、ニケはとぼとぼと帰って行くのであった。

アリシアは、薫の方を見る。

少し、しょんぼりした表情になる。

そんなアリシアに、薫は頭を撫でる。



「こ、こういう時もあるって……」

「……」



まだちょっと不機嫌なアリシアに、もう一度軽いキスをすると、機嫌を取り戻すのであった。

もっと、と言った感じで薫に引っ付き要求してくるが、夜も更けてきた為、「また今度」と言って躱すのであった。

アリシアは、ぐぬぬと言った感じで、コレ以上言って来なかった。

明日も仕事がある為、しぶしぶアリシアは、ベッドに飛び込み丸まるのであった。

薫は、最後の仕上げが残っていた為、それを片付けてから寝ると言った。

アリシアは、チッと舌打ちをして眠るのであった。

何かするつもりだったのかと思う。

だんだん、大胆になってませんか?

そんな事を思いながら、ペンを走らせるのであった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



朝を迎える。

偶に瞬間的に土砂降りの雨が降る。

雨音で目を覚ます薫。

机で寝てしまったようだ。

腰が悲鳴をあげる。

うつ伏せで寝ていた為だろう。

 立ち上がり、伸びをする。

 徐々に、痛みが引いていく。

 若いって良いななどと思いながら、ベッドで丸まって寝るアリシアを見る。

 幸せそうに寝ている。

 少し服がはだけていた。

 この雨のせいで、湿度が上がった為、暑かったのだろう。

 ブランケットは、床に落っこちていた。

 薫はそれを拾いアリシアに掛けるのであった。

 アリシアが起きた頃には、雨も止みカラッとした天気になっていた。

 朝の治療を終え、居住スペースでのんびりとしていた。

 そうしていると、治療院の扉が開く音が聞こえる。

 アリシアは、治療の患者かと思いパタパタと治療スペースに向かう。

 そこに居たのは、ニケであった。

 耳をしゅんとさせ、アリシアに近付きアイテムを渡す。

 昨日のお詫びだろうかと思うアリシア。

 受け取った物に目を落とすと、何やら薄いゼリーが圧縮されたような物が入った正方形の箱であった。

 あるに越したことはないと言い、物凄くいい顔でサムズアップするのであった。

 クエッションマークが、アリシアの頭の上に浮かぶ。

 ニケは、アリシア耳元でごにょごにょと説明すると、アリシアは顔を赤らめ、ニケの顔面に勢い良く投げつけるのであった。



「にゃふん……」



 アリシアは、言葉にならないような感じであった。

 ニケは、又やらかしたと思い、脱兎の如く逃げ帰るのであった。

 床に散らばったブツを見て、アリシアはササッと周りを確認してから、いそいそとそれを回収し、アイテムボックスへと収納するのであった。

 途中、薫から大丈夫か? と声を掛けられたが、問題ないと即答する。

 その後は何事もなく、お昼になるのであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ファルグリッドのキディッシュの屋敷では、慌ただしく治療師と使用人が走り回る。

 キディッシュが、意識を失い危険な状態になったからだ。

 ファルグリッドの領主であり、この街の地位の高い者に、金などをばら撒き、その他の勢力を力で捩じ伏せていた。

 キディッシュが死んだら、後ろ盾の無くなる者が続出する。

 そうなっては困る。

 私腹を肥やす事が出来なくなる。

 それに、今まで見過ごされていた事がバレれば、残りの人生が詰むのだ。

 だから何としても、回復して貰わなければ困るのだ。



「やばいやばいやばい……このままでは、かなりやばい」

「落ち着け、まだ死ぬと決まったわけじゃないだろ」

「お前知らないのか? インリケが死んだんだぞ」

「……」

「今の内に逃げるか……いや、もしもキディッシュが回復して、逃げた事がバレれば、首をはねられかねん……」



 そう呟きながら、屋敷の応接間で話をする亜人。

 衣服は、高級な素材で作られた物を着用している。

 光り輝く刺繍が嫌味ったらしく散りばめられていた。

 そして、もはや自分の事で精一杯といった感じだ。

 この街だからこそ、その地位を確立できた。

 他の街に行けば、ただの住民にまで落ちる。

 そんな事できるはずがないのだ。

 此処まで、悪事に手を染めて来たのだ。



「何かいい方法話ないのか……げほ、ごほ」

「お、お前もまさか……」

「ち、違うに決まってるだろ! ただの迷宮熱だ!」



 そう言って、焦るのである。

 然し、二つの病気が重なり、迷宮熱での咳に乗って経口感染して行っていることなど、誰も知る由もないのだ。

 刻一刻と、この街の全ての亜人に感染していく。

 取り返しの付かない事態へと陥っていく。

 ファルシスも同じように、広がりを見せている。

 もはや、誰も止めることなどできないのであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ビスタ島では、時刻がお昼頃になり、ダルクとバッド達は島につながる道で待つ。

 然し、待っても誰一人来る事はなかった。

 不思議に思うダルク達。



「おかしいな、彼奴らだったら、遅れたりとかしないはずだぞ?」

「そ、そうですよね」



 そう言って考え込む。

 何かあったと思うのが普通だが、こちらからわざわざ出向く必要はない。

 寧ろ、関わりたくない。

 これが本音である。



「もう少し待ってみますか?」

「そうだな」



 そう言って、日が傾く時間まで待ち、来なかったので一度村へと戻った。

 ダルク達の帰りを見つけた者が、駆け足でやって来る。

 そして、うまくいったかを聞いてくる。

 こればかりは反応に困るが、ダルクが説明すると、その者はキョトンとした表情で、二度聞き返してくるのだ。

 彼奴らの陰湿さは、ここに居る住人の殆どが知っている。

 だから、このような反応になるのだ。

 有り得ないと。



「明日、雪でも降るんじゃないか?」

「それは言い過ぎですよ」



 皆、笑いながらそんな掛け合いをしてしまうのである。

 何となく嫌な予感もしたが、誰一人その事は口には出さなかった。

 そして、真相を知るのは、その日の夕刻であった。

 空に、一頭のワイバーンが現れたのだ。

 偵察で、ビスタ島の様子を見に来ていた。

 全くもって、異常が無いところを確認し、聞き込みも兼ねて、降りてきたのだ。

 それもそのはず、何時ものパターンで、宴会をする探求者達が目に入り、新種の病気など微塵も感じさせなかったからだ。



「楽しんでいるところすまない。聞きたい事がある」



 神官服の男がそう言いながら近ずいてくる。

 皆、一瞬で何者かが分かった。

 独特の刺繍で不死鳥が描かれてある。

 エクリクスの神官。

 それに、ワイバーンと契約した者は、この世界に一人しかいない。

 十賢人のダニエラの護衛部隊という事は、すぐ分かった。

 一瞬で、騒つく。

 治療師としても、B〜Cランクが当たり前。

 おまけに冒険者としても、C以上のランクというエリート集団だ。

 何の騒ぎだと、バッド達も出てくる。



「此処に治療師はいるか?」

「三人いるがそれがどうした」



 そうバッドは返す。

 臆する事なく、普段通りだ。



「ああ、伝えなければならない伝言がある。呼んで来てもらえないか?」



 そう言われ、面倒くさそうにバッドは、治療院へと向かう。

 先ずは、薫達に言った方が早そうと思ったからだ。

 ワトラは、現在宿屋の一室を貸し与えられている。

 そちらには、カールを行かせた。

 暫くして、薫とアリシア、ワトラが連れてこられた。

 アリシアは、薫の後ろに隠れる。

 ワトラも一緒で、カールの後ろに隠れるのであった。

 二人とも、エクリクスの者が嫌いなのだ。

 一度、嫌な思いをしているからだ。



「これで全員だな?」

「そうや」

「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は、ランドグリフ。十賢人のダニエラ様に仕える護衛副隊長だ」

「俺は、薫や」



 そう言うと、ランドグリフは顎に手を当て考える。



「カオル? お前もしかして、アシヤ・カオルか?」

「いや、カオル・ヘルゲンや」



 そうしれっと笑顔で返す。

 アリシアは、ドキドキものであった。 

 薫の服を掴み、震える。

 そんなアリシアの頭を撫で、落ち着かせる。

 まだ、ランドグリフは信用していないようだったので、薫は冒険者ギルドから発行されたカードを見せながら言う。



「これでええか? 誰かと勘違いしとるみたいやけど」



 それを見て、ようやく信用した。

 薫の、何もやましい事などないと言わんばかりの態度に、騙されるのであった。

 アリシアは、ポカーンとした表情で薫を見る。

 よくそこまで、疑われないように、嘘がポンポン出るのかと思う。

 寧ろ、ここまで出来ると清々しいと思うのだ。



「すまない、話が逸れたな。今回来たのは、ブルグとファルグリッドそしてファルシスで、原因不明の病気が発生した。ここは、まだ大丈夫のようだが、安心はできない。外から、この島に入る者は拒否しろ」



「「「「「!!!!!」」」」」



 皆、驚き騒つく。

 バッド達は、何故今日インリケが来なかったのかを理解した。

 病に罹っていれば、来れるはずがないのだ。



「それで、その症状に特徴とかあるんか?」



 薫はそう聞くと、まだはっきりと分かっている部分が少ない。

 だから、ランドグリフは説明しにくいのだ。

 然し、説明しなければ、症状が分からず見逃してしまう。

 なので、ランドグリフは、今わかる範囲で話してくれた。



「嘔吐、下痢に迷宮熱と同じ症状を出していた。後は、ダニエラ様が言われた仮定の話だが、亜人に罹りやすいのではないか、と仰られていた」

「仮定の話の根拠はあるか?」

「部下が、ファルグリッドに偵察に行った時、倒れていたのが殆どが亜人達だったという報告からだ」



 ランドグリフはそう言って説明した。

 アリシアは、薫の服をちょんちょんと引っ張る。

 皆には聞こえない小さな声で、薫にパイン細菌かと聞いてくるのであった。

 薫は、無言で頷く。

 アリシアは、嫌な汗を掻く。

 薫から聞いていた。

 このパイン細菌がもたらす今後の未来を。

 早めに手を打たないと大変な事になるということもだ。

 どうにかしなければ、どんどん広がっていく。

 ましてや、恐怖に怯え別の街に逃げたりしたら、そこから莫大な感染力で広がる。

 何もしなければ、七割は死に至る。

 そんな病が、現在三つの街で発症しているのだ。

 下手に動きたくはないが、そのせいでかなりの死者が出ると思うと、我慢ならないのだ。

 医者として、出来る事はしたいと思ってしまう。

 アリシアを見ると、ジッと真剣な表情で薫を見ていた。

 薫がする事に付いて行くといっているのだ。

 それに、アリシアも救える命は救いたいと思っている。

 薫とアリシアは、頷き行動に出る。



「その病気もしかしたら……」



 そう言うとランドグリフが食いつく。



「知っているのか!!?」

「この目で見てみんとわからんけど……何か分かるかもしれへん」



 アリシアは、嘘をつく才能があるんじゃないかと思うのであった。

 何故なら、声のトーンや仕草など、アリシアが普通に聞いていても、嘘などついていなさそうな感じなのだ。

 薫の発言にバッド達も騒つく。



「薫、わかんのかよ! すげーじゃねーか」

「見てみん事には、どうも答えれんよ。ただ、知ってる病気に似てるってだけや」

「こ、これから一緒に来れるか?」



 ランドグリフは、是が非でも来て欲しいといった表情であった。

 手探りで、現在隔離している者に対応しているが、全くと言っていいほど、解決策が見つからないのである。



「ああ、構わへんよ」



 薫は笑顔でそう言う。

 それを聞いて、ランドグリフは薫の手を取り、「助かる」と言うのであった。

 エクリクスにも、ちゃんとした奴がいるのだなと思う。

 前に、グランパレスで会った奴と比較すると、天と地の差がある。

 纏うオーラはキツいが、話の分かる者もいるようだ。

 薫はそう思いながら、ランドグリフと話をする。

 ビスタ島を離れる際に、条件を言う。

 先ず、アリシアとワトラも連れて行く。

 これは、この後に薫の考えてあった事を遂行する為に必要だからだ。

 ランドグリフは、構わないと言う。

 それに伴い、ビスタ島に治療師を一人派遣して貰う。

 薫達がいない間、ビスタ島の治療院を回して貰うためだ。

 話がどんどん進んで行き、ワトラはポカーンとした表情をしていた。

 口を挟む事すら出来ずにいた。

 カールは、その顔を見て、口に手を当て笑いを堪えるのであった。



「以上や。できるか?」

「ああ、問題ない。ただ、このワイバーンは、一度に運べるのは三人までなんだが、一人待ってて貰ってもいいか?」

「それは、そっちに任せるわ」



 そう言うとランドグリフは頷く。

 まず初めに、薫とアリシアを運び、その後にワトラという順番になった。

 薫達は、準備をする為、一旦ランドグリフと別れる。

 薫にバッド達が付いて来て言う。



「おいおい、マジで大丈夫なのか? 新種の病にお前が罹っちまったら元もこうもないぞ」

「まぁ、上手くするから大丈夫やって」

「はぁ……お前の大丈夫は、本当に大丈夫だから怖えよ」

「つーか、薫お前完璧超人じゃねーかよ! こんな可愛い嫁さんがいて、尚且つ治療師の腕前はピカイチとか……勝てる気がしねぇ」

「薫、気にしないでいいわよ。いつもの病気だから。それにしても、本当に大丈夫なの? エクリクスが知らない病気よ。ここ数年、全く大きな成果を出せて無いって聞いてるわ」

「そんな簡単には成果はでえへんよ。こう言うのは、いろんな研究があって、初めて結果が出るんや。まぁ、出るかどうかは運もあるやろうけどな」



 薫はそう言う。

 皆、ポカーンとした表情で薫を見るのだ。

 此処まで、真剣な表情を見るのは初めてなのである。

 そして、薫の言ったことは、新たに特効薬を見つけるには、それ相応の研究機関がいるという事。

 病原菌の特定が出来なければ、薬を作るスタートラインにすら立てない。

 今まで、この世界は、どのように病を乗り越えてきたのかと思う。

 かなり、綱渡りをしているんじゃないかと思うのだ。

 エクリクスの研究も気になるが、今は目先の病に集中する。

 拡大すると、カールやニケ、ダルク達にまで被害が及ぶ。

 それだけは、阻止したいのだ。

 然し、手の届く範囲を超えかけている。

 今この世界で、これらの病を治せるのは、薫ただ一人しか居ない。

 時間が経てば、何かしらの解決策が見いだせるかも知れないが、その前に始末するという選択肢の方が早い気がする。

 脳をフル回転させ、これらの問題を全てクリアする工程を考え、構築していく。

 最悪、エクリクスにばれても仕方がないかと思う。

 その時は、アリシアがどうにかするであろう。

 そう思い、アリシアを見ると、いい笑顔で返してくる。

 よく分かってらっしゃる。

 薫が、『異空間手術室』を使用すると、一週間のペナルティが掛かる事をアリシアに話している。

 なので、動けない間アリシアに迷惑をかけるのだ。

 


「そうや、バッド買い出し頼んでええか?」

「そうだな。何がいるんだ?」



 薫は、回復薬などを口頭で伝え頼むのであった。

 バッド達は、了解といい薫と別れる。

 薫達は治療院に戻り、薫はアリシアに私物はまとめておくように言う。

 もしかしたら、このビスタ島に、帰ってこれないかもしれないからだ。

 少し、寂しそうな顔で頷く。

 部屋の中の私物は殆どない。

 生活必需品は、ダルクが揃えてくれているからだ。

 なので、クローゼットの中の衣服を、アイテムボックスに詰めて終わりだ。



「馬車はどうするのですか?」

「そうやな……そこら辺は、おいおい考える方向で」



 薫は、そう言って話を切る。

 アイテムボックスに、薫も私物を入れていると、アリシアは後ろから抱きつき言う。



「無理だけはしないで下さい。私は、薫様が心配なのです」

「ああ、なるべくな」

「本当ですか?」

「本当や」

「なら……良いのです」



 そう言うとスッと離れる。

 ある意味良いストッパーになってくれている。

 守るべき者がいるというだけで、心も少し楽になる。



「ピンクラビィちゃんは、どうするのですか?」

「連れて行くわけにも行かんからな。ここで、サヨナラになりそうやな。病気ももう治ったみたいやし」

「わ、わかりました。もう、会えないかもしれないので、もふゅもふゅ〜! あふん」

「「きゅー」」

「相変わらず、欲望のままに行動したな」

「さ、流石に、今のは効いたのです……」



 ピンクラビィに頬擦りをし、撫で回した結果、鍋が脳天落下し、頭にたんこぶが出来た。

 頭を摩るアリシア。

 そのまま薫は、ピンクラビィをスッと抱える。

 窓を開けてそこから逃すのであった。

 初めはキョトンとしていたが、別れという雰囲気が分かったのか、一度小さく丸まり、青白い光を纏う。

 薫とアリシアに一匹ずつ引っ付き、その青白い光を分け与えるような感じで、放つのであった。



「ほう……これが、『運超上昇ハッピーストライク』か」

「?? 何なのですか?」



 くりくりとした目で言うアリシア。

 薫は、ピンクラビィの幸運の話の元となるこのスキルをアリシアに教える。



「わ、私も、ピンクラビィちゃんの奇跡の加護を受けたのですね!」



 むふーっとちょっと浮かれた感じでいた。

 余りにも嬉しかったのか、ピンクラビィの首元をクイクイと掻いてあげるのであった。

 ピンクラビィは、嬉しそうに喉を鳴らす。

 撫で終わったアリシアの手を、名残惜しそうに見ながら、ピンクラビィは向きを変え、窓から飛び出し草むらへと消えて行った。

 アリシアも名残惜しそうにピンクラビィの消えた草むらをじっと見つめているのであった。

 アリシアは、気持ちを切り替える。



「それじゃあ、行こうか」

「はい」



 荷物をまとめ、治療院を出る。

 広場に行くと、ランドグリフが待っていた。

 バッド達から、揃えて貰ったアイテムを、アイテムボックスに入れる。



「それでは、行きますので乗って下さい」



 そう言われ、薫は先にワイバーンに登り、鞍の付いた部分に座る。

 そして、アリシアの手を取り、薫の後ろに座らせるのだ。

 鞍には、落ちない為の足掛けと、手綱らしき物が付いていた。

 薫はそれを握り、ランドグリフに準備完了というのであった。

 アリシアは、薫の背中に抱きついていた。

 説明では、しっかり掴まっていれば、大丈夫という言葉通り、アリシアは薫にべったり引っ付くのであった。

 薫は、何も言わずに流す。

 そうしていると、ワイバーンは大きく羽を広げ、羽ばたき大地から浮く。

 皆、口々にすげーなどという声が漏れる。

 ワイバーンは、ニッと笑ったかのような表情で、一気に上昇していく。

 そのまま、とんでも無いスピードで、飛行するのであった。

 あっという間に見えなくなってしまった。



「凄いな、こんなに早く移動してるのに、全くそう感じへん」

「風の加護を纏ってるから、乗ってる者は、風の抵抗を受ないんだ」

「成る程、障壁か何かが張ってあるちゅう事か」

「まぁ、そう言う事だ。それに人を乗せなければ、此処からエクリクスまで、一日掛からないからな」

「うわぁ、ちょっと嫌なこと聞いたわ……」

「?」



 ランドグリフは、如何したのかと思うのであった。

 薫は、これに乗られて来られれば、逃げようがないと思うのであった。

 空という最高の移動手段。

 グランパレスから、約一ヶ月馬車で走ると着く距離のエクリクス。

 そして、ここビスタ島からだと、二倍の距離がある。

 それを、こんな短期間で、移動する手段があるなんて聞いてなかった。

 若干溜息を吐きながら、上空から下の景色を見る。

 綺麗な緑の森が見える。

 アリシアと二人で、のんびり旅をした道が見えるのだ。

 アリシアも下の景色を眺めながら、驚いているのだ。



「薫様! 凄いですよ。全てが小ちゃく見えます」



 楽しそうで何よりと思いながらブルグの街まで飛んで行くのであった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 時間は少し遡る。

 午後三時頃、エクリクスの大聖堂の屋上で、ほわほわの敷物をひき、ゴロンと日向ごっこをする者が居た。

 大神官ティナである。

 神官服は艶やかで、不死鳥の刺繍が、細かく豪華に縫われてある。

 ブーツは、綺麗に揃えて置かれ、神官帽も畳まれてある。

 うつ伏せで気持ちよさそうに眠る。

 白く綺麗な髪の毛は、優しい風に撫でられ、緩やかに揺れる。

 ぴょこんと出た耳は、鳥の囀りに合わせ、ぴくぴく動くのであった。



「はぁ……ダニエラ様になんと報告すればいいのやら……ティナ様早く起きて下さいよぉ〜」



 神官服を着た者は、頭を抱えるのであった。

 一応、今日の治療は終わっている。

 魔力の使いすぎで疲れたと言って、ティナは手慣れた手つきで敷物を抱え、大聖堂の屋上へとまっしぐらしたのだ。

 ティナは途中、付き添いの神官に止められそうになったが、素早い身のこなしで、それを撒いた。

 捕まると、新たな仕事が増えるからである。

 せっかく早く終わったのだから、少しくらい休みたいのである。

 そして、ティナは一度寝ると、魔力が回復しきるまで起きないのだ。

 バサッと敷いて、ブーツと神官帽を置き、ゴロンと寝っ転がった瞬間、スヤァーっと眠っていた。

 付き添いの神官は、起きるまで待つしかないのである。

 四時頃になり、日が傾き沈んでいく。

 付き添いの神官は、頬杖を突き待つ。

 ティナを見ているとこっちまで眠くなる。

 ウトウトしてしまって、目がうつろになっていく。

 そんな時、日の沈む方角に小さな黒い点が見える。

 それは、段々大きくなっていく。

 気付いた時には、もう目の前まで来ていた。

 ダニエラのワイバーンだ。

 風圧で、眠っていたティナは、コロコロと壁際まで敷物に巻かれ、簀巻き状態で到着する。

 付き添いの神官は、その光景を見て、吹き出し大慌てて駆け寄るのであった。

 然し、ワイバーンの方が先にティナに近付く。

 簀巻きになったティナの敷物の色が赤かった為、肉と勘違いしているようだ。

 カプッと口で挟み、持ち上げようとする。

 大慌ての付き添い神官は、ワイバーンを制止させる。



「た、食べちゃダメですよ! それ大神官ティナ様ですからぁああ!」

「グルルル?」



 首を傾げ、簀巻きをポロンと地面に置く。

 これ程、周りがうるさいのに、全く起きる気配もない。

 寧ろ、よだれを垂らして寝ているのだ。

 呆れるしかなかった。

 ワイバーンは、ティナの頬を鼻で突く。

 すると、簀巻き状態のティナは、むくりと起き上がる。



「ダニエラ? 帰ったのかにゃ?」



 そう言いながら目を擦るのだ。

 ワイバーンと目が合う。

 ティナは優しく撫でる。



「ダニエラの魔力を感じたのにゃ。優しくて力強い魔力なのにゃ」

「グルルルルル」



 唸りながら、ダニエラから預かっていた包みを渡す。

 それを開け中を確認する。



「こ、これは一大事にゃ!」

「ど、如何されたんですか!!?」

「い、一大事にゃ〜」

「って、ちょ、ちょっとティナ様! はっや!」



 ピューッとティナは、屋上を後にする。

 置いてかれる付き添いの神官。

 涙目になりながら、ティナの後を追うのであった。

 ティナは、十賢人の一人である者の下に行く。

 ダニエラからは、どうしようもない時以外、絶対に頼ってはいけないと言われている。

 この男とは、あまり関わりたくないのだが、今回ばかりは、頼まなくてはいけない。

 ドアを叩き、返事が返ってきたので中へ入る。

 本の山が積まれていた。

 馬鹿でかい部屋なのに、物凄く狭く感じる。



「大変にゃ!」

「おや、ティナ様そんなに慌ててどうしたんだい?」



 のんびり話をするエルフ耳の男が居た。

 ダニエラと同じで、神官服はティナの物に劣る仕様の物を着ている。

 パイプを加え、少しダンディーな叔父様風な雰囲気を醸し出していた。



「オーランド、ダニエラが大変なのにゃ!」

「まぁ、少し落ち着きなさい。ほら、オーランドおじさんの膝の上で、落ち着いてもいいんだよ」

「え、遠慮しとくにゃ……」

「そうか……若い太ももを味わえると思ったのだが……老い先短いおじいちゃんの頼みも聞いてくれないか……」

「それは、色んな意味でアウトにゃ!」



 先ほどまで、慌てふためいていたティナは、落ち着きを取り戻していた。

 オーランドの軽いセクハラ発言で。



「何だ……昔は、あんなにオーランドおじちゃんと言ってくれてたのに……大人になるというのは、寂しいものだねぇ」

「いつの話にゃ! むしろ言ったことないにゃ!」

「うーむ? そうだったかな、最近呆けてきたのかねぇ。年は取りたくないものだよ」

「な、なんか無性に疲れるにゃ……」

「ここに丁度いい膝枕が……」

「結構にゃ! そろそろ引退するにゃ! もう500歳超えてるにゃ!」

「そうかい……でも、まだまだ私も現役だからねぇ。今何歳かもう数えてないから分からんよ?」



 オーランドは、笑いながらティナを揶揄う。

 そして、スッと真面目な雰囲気になる。



「それで……ティナ様。今日は何用かな?」



 独特の雰囲気を纏うオーランド。

 それに飲み込まれないようにするティナ。

 そして、ティナは、先ほど届いた手紙を渡しながら言う。



「ダニエラが、新種の病を発見したにゃ。今、それを食い止め中とのことにゃ。応援を要請してるのにゃ。助けて欲しいのにゃ」



 目を細め、何かを考える。

 そして、目を開けてから言う。



「ティナ様の頼みだ。私も重い腰をあげるとするかねぇ」

「助かるにゃ。オーランド」

「こんな、老いぼれを頼るんだから、期待に応えないとね」



 そう言いながら、眼の力はギラギラとさせる。

 500歳を超える者とは思えない。

 そして何より、オーランドの持つスキルが、今回は必要なのだ。



「ワイバーンがあるんだね?」

「あるにゃ。大聖堂の屋上にいるにゃ」

「じゃあ、ダニエラに仕える者を全員送ってあげるよ」

「助かるにゃ」

「でも、それ使った後は、私が役立たずになるから、私は行かないけどね」

「そうかにゃ……」

「ダニエラなら大丈夫だよ。あの子は強いし、何よりティナ様の為でなければ動かないからね。今回も、私だったら普通に見過ごすレベルだよ? なのに、その場で指揮を執るということは、何か絡んでるんじゃないかな?」

「……」



 ティナは、返す言葉が出なかった。

 そんなティナに、オーランドは立ち上がり、ティナの前で跪き手を取る。



「ダニエラとは、違った形だが、私もティナ様が大切なんだよ。だから、適度に頼ってくれた方が嬉しいよ」

「適度にでいいのかにゃ?」

「毎回来られると、ダニエラに殺されるからね」

「成る程にゃ」



 ちょっと悪い顔をするティナ。

 然し、寂しそうな顔で、見つめられてた事に気づき、ティナは首を傾げる。



「じゃあ、準備しようか。呼べば全員集まるだろうし」

「ダニエラの部隊にゃ。一声で集まるにゃ」



 二人は、部屋を後にする。

 そして、本当に一声かけたら、大聖堂の前には、ダニエラの部隊が100人集まっていた。

 全員が、エリート集団。

 そして、敬愛するダニエラの剣でもある。



「それじゃあ、サクッと始めようか。老いた体をあまり見せたくないからね」



 そう言って前に出たオーランドの姿に皆騒つく。

 元帝国最強のパラディンと言われ、恐れられて来た男が目の前にいるのだ。

 全盛期の力は無いが、今でも冒険者ランクAの認定を受けている。

 生きる伝説とまで言われている男なのだ。

 オーランドは、手を翳し魔法陣を展開させる。

 100人の部隊を、馬鹿でかい正方形に収め、白色の禍々しいオーラで包み込んでいく。



「『小さな箱庭リトルガーデン』」



 そう言うと一瞬で、100人いた者たちは圧縮され、小さな手の平に乗る大きさの箱になった。

 その箱をティナに渡す。



「ティナ様、あとは頼みますよ」

「はいにゃ!」



 ティナは、素早い身のこなしで、ワイバーンにそれを預ける。

 そして、ワイバーンに魔力を与える。

 ワイバーンは、元気良く羽ばたきブルグへ向かうのであった。



「さあ、帰りましょうか。良からぬ事を考えている者もいる事ですし」

「にゃ?」



 首を傾げるティナ。

 オーランドの言ってる事が分からないでいた。

 オーランドはその間、威圧を放ち牽制していた。

 全く、臆することがないところを見ると、同じ十賢人の誰かだろうと思うのであった。



「うーん。今日は危ないから、オーランド叔父さんと一緒に寝ようか」

「そっちの方が危ない気がするにゃ。だから嫌にゃ」

「反抗期が来ちゃったか……オーランド叔父さんショック」



 バカな事を言いながら、戻って行くのであった。

 柱の裏で、身を潜める者が居た。



「いやー、流石に怖いほどの威圧じゃなぁ。っておい! 何を気絶しておる情けない」



 そう言って、気絶してる者にビンタを二発入れる。

 朦朧としている。

 使えない奴だと思いながら考える。

 一応、ダニエラの部隊の中に、潜り込ませているから、情報が入り次第動けばいいかと思う。

 然し、気になる事がある。

 ダニエラの部屋から、拝借した書類を見ながら思う。

 たった一つだけ、全く進行していない案件があった。

 アシヤ・カオルについてだ。

 ダニエラは、かなり慎重に動いているようだ。

 これには、何かあるのではないかと思いたくなる。

 ニヤリと頬を釣り上げ、少しかき混ぜてやろうと思い、その者は空中で書類を書く。

 その書類は、全ての治療師ギルド宛にだった。

 アシヤ・カオルという男。

 エクリクスの名を使い、悪質な治療を繰り返した。

 この者は、エクリクスにも治療師ギルドにも所属していない資格の無い者。

 高額な治療費を払えと言ってくる。

 払えなかった場合、体で払わされることもある。

 庶民にも、同じ手口で多大な被害が出ている。

 この者を見つけた者には、賞金有り。

 捕まえた者には、更なる賞金有り。

 上記共に生きていなければならない。

 死んでいる場合は、賞金は無しとする。

 このように書いたのだ。

 書いた空中の文章は、一瞬で鳥の形になり、分裂していく。

 数十羽にまで膨れ上がり飛び立って行く。



「このくらいしないと、あぶり出す事すら出来やしないというのに。甘いんじゃよ若者はな。ひっひっひっひ」



 そう言って、これから楽しい事が、起こりそうだと思うのであった。


読んで下さった方、感想まで書いて下さった方、Twitterの方でも絡んでも絡んで下さった方、有難うございます。

相変わらず進みが悪いですね。

好き勝手書いてますから、仕方ないかなと思ってます。

はいというわけで、次回も一週間以内に投稿できるように頑張ります。


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