わかばの月 三日
忘れていた。
何を?
決まってる。
日記を書くことだよ。
僕は三日坊主だ。
自慢じゃあないけど三日坊主だ。
日本にいた頃からそうだった。
五年日記帳を買って三日分しか書かないんだから笑えるね。
うん、ほぼ一ヶ月ぶりくらいに書く。
何書こうか。
弓は上手くなったな、結構。
カカシに十本中五本は当てられるくらいには上手くなった。
着実に成長している、と思う。
うん、あとは…。
あれ。
あんまり書くことがない。
そもそも俺僕の一日ってどんなんなんだっけ。
改めて考えてみるとパッと思いつかないな。
朝起きて、祖父さんと走って、朝ご飯食べて、祖父さんと弓引いて、そのまま夜まで森の中を駆けずり回って、夜ご飯を食べたら…寝る?
いや、待て、寝る前に日記を書いているじゃないか。
にしてもな、なんかこれじゃあ日記に書くことないなって感じだな。
あーあ、なんか面白いことおこらないかなー、なんて。
平和が一番、かな。
うん、そうに決まってる。
ああ、そうだ。
明日から植物についての講義を受けるんだった、祖母さんから。
薬草とか食用の木の実とか、めっさ実用的なこと教えてもらえるらしい。
祖父さんとの弓の修行は時間が短くなりそうだ。
これで筋肉痛からも少しは解放されるといいな。
なんてね。