ギザ砂漠の戦いへ
次話更新です。
自由聖騎士団ギザ砂漠駐屯地Side
リデェアSide
そういえば、今日はリムル・フェンリルさんとエルフリーデ・フェンリルさんの二人がボクたちの部隊に合流してくるんだった。リムルさんは明るくて元気な女性だけど、リムルさんのお姉さんのエルフリーデさんはサラさん以上に厳しい人でそしてボクたちの上官でもある。
「な~、な~、リデェア、エルフリーデ隊長やっぱりカッコええなぁ~」
「エクリア~ 何一人で萌えてるのよ?」
「い”っ」
え″ 確かに一人でエクリアは【萌え上がって】いた…… しばらく放っておこう、うん、アルフレッド君はかなり引いているし、プラムさんは戸惑ってしまっている、そこへガレスさんがボク達の所にやって来て、エクリアを見ると【はぁぁぁぁっ~。】とため息を吐いてから一言。
エクリアは【凛々しい女性】に憧れている、その表示はまるでゆるキャラ系アニメキャラクターを観ていて何だか和む~ 的な表情をしている。時々、エクリアはゆるキャラぽくなる、それも凛々しい女性やカッコいいイケメンさんを見たときに。
「エクリア、毎度毎度、よく、萌えるな? 愉しいか?」
と、実の娘を可哀想な生き物を見る目で、見つめてから【親として育て方を間違えたな?】と明後日の方向を遠巻きに見詰めていた。ガレスさんは遠い目で自分の娘を見ながらぽつりと呟いているのをボクは聞いてしまったが敢えて聞き逃しておこう。
「それで、おとん何しに来たん?」
「ん、まあ、うちのやんちゃ娘が人様にご迷惑を掛けてないかな? と言うのはただの冗談だ、さて、次のお前たちの任務に関してだ」
その一言で、エクリアの目付きがガラリとボク達のリーダーの目付きに変わる、そして、ガレスさんも何時もの娘を溺愛するお父さんからボク達の上官の顔付きになり、そして、ボク達を見渡してから。
「よし、全員揃ったな? では、全員ちゅうもーくしろっ! 此れよりギザ砂漠北部の状況を説明する 」
そして、ミーティングが始まった。なおギザ砂漠の北部では、ゼウレニアス帝国軍の残党が密かに集結して、反攻を企てているらしい、そして急遽エルフリーデ隊長達が先発隊として先にギザ砂漠北部に向かったらしい。
「と、言う訳で俺達も、北部に向かうことになった。また、一部の信頼できる筋からの情報では【ギザ砂漠の亡霊】が現れたらしい、ともあれ、こちらから敵対行動をとらなければ仕掛けてはこないと思うが、奴が出たからには、残党にそれなりの腕の立つ奴がいると考えた方がいい、各自気を引き締めてかかれ、俺からは以上だ」
ギザ砂漠の亡霊……確かフリーの傭兵で噂ではかなりの凄腕のAS乗りらしいけど…… そんな事をかんがえていた時だった、急に、がたっ! と物音がして、アルフレッド君が自分の席から立ち上がった、 ん、どうしたんだろ? アルフレッド君の表情が少し引きつっている。
「お、アルフレッド少尉、何か付け加える事でも有るのか?」
「い、いえ、す、すみません、皆さんとの実戦は初めてなので、少し緊張していただけです」
うーん、変なアルフレッド君? 何時もは至ってクールな雰囲気なのに今は動揺している何があったんだろう?
※※※※
自由聖騎士団ギザ砂漠駐屯地Side
アルフレッドSide
うーん、いつか姉さんや妹達に出会う日がくると思ってたけど、こんなに早くやって来るなんて…… 正直顔を遇わせにくい…… とくに姉や妹は生粋のバトルジャンキーな姉に何の前触れもなく爆弾発言をする妹…… なんてステキな兄弟なのだろう。
「大丈夫ですか? アルフレッド様、お気分がすぐれないなら、疲労回復の魔法で疲れをとりさってみますが?」
「うん、大丈夫だよ、プラム…… ちょっと、ね」
ブリーフィングの後で少しぐったりしながら、プラムの心配そうな表情に何でもないよと笑顔で返す、さて、姉さん達の事もそうだけど、アレックスの勘の鋭さには驚いたな? 彼の頭の切れには驚かされたよ
もしかしたら、プラムに好意をよせていたから、僕の事を警戒していたのか、それともバレバレだったのか、とにかく他のメンバーには今は知られたくないけれど、いずれバレるのも時間の問題だったけどね?
そうなったら、その時はプラムに害が及ばないように頑張ろう。
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回想~Side
それはプラムの荷物を借家に置いて行った後の事だった。アレックスはプラムに「僕と大事な話が有りますから、プラムさんすみませんが、彼と二人きりにさせて下さい」と言ったので、僕も彼女に「少し、長い話になるから、プラム、先に休んでていいよ」と言って彼女を休ませた。彼には敵意が無かったので、僕も彼とはお互い腹を割って話がしたかった。
「さて、二人きりになった所でアレックス、君の要件を聞こうか?」
「ああ、あまり長いと、プラムさんが心配するからね、俺も手短に用件だけ済ませよう」
余りプラムに心配は掛けたくないので、此方から本題を切り出した、アレックスはソファーに深く座って、僕を見つめる。その視線は例えるなら【弓矢】を構えて放つ前のハンターの様な鋭い目付きだった。
「そうだね、余り時間が掛かってはプラムが心配するからね?」
「じゃあ、俺から本題に入るよ、単刀直入に君に聞くけれど、君の本当の名前はアルフレッド・ファルケンで合っているかい?」
まさか、こうもすんなり見破れる奴がいるなんて噂通りだね? 自由聖騎士団は流石の情報力だ。 さて、どうするかな? いや、今更はぐらかしても無駄なので、素直に彼の疑問にに答える。
「ご名答だよ、アレックス、僕はアルフレッド・ファルケン、つまり、君たちのご両親とは敵対していた男の子供だよ。でも、今名乗っているクレフトは母さんの旧姓なんだ。でも、どうやって解ったんだい? IDはかなり精巧に偽造していたのだけれどね」
「それは簡単な事さ、君が名乗っていた、アルフレッド・クレフトと言う人物は種族は人間族で生きていれば、齢190歳の老人だよ、そんなお爺さんがこんな若作りを通り越して、少年なんてまず在り得ないことだ、ついでに言うと、闇のIDは色々問題が多いから、正規のIDで戸籍情報を取得するのが安全だよ。実際俺も正規のIDで戸籍情報を取得しているしね」
なるほど、何時、何処で気付いたのかを教えて欲しいと彼に説明を頼んだ。すると彼は少し神妙な顔つきになって。自身の生い立ちを僕に語ってくれた。
「そうだな、まず俺も半魔神の家系なんだけど、其ほど魔神の血が強くない。、でも、君から何かしら【異質】な感じの力を感じるんで、知り合いに頼んで少しだけ調べたんだ。例えば君の身分証明書とかね? それから、君の君の顔つきが何となくゼウレニアス帝国軍の総帥のアルゼリアスにそっくりだった。だから、アルゼリアスの顔と君の顔写真を比較して調べたら……」
成る程、彼はかなりの洞察力が在るようだ。しかし、彼からは敵意は感じない。ただ、何故、正体を隠している? と言う疑問が伺える。
「ん、まあ、いきなり自己紹介で【僕は皆さんと敵対していた男の息子です、これから宜しくお願いします】って言えるかい?」
「うん、まず、そんな奴は居ないよな? いたら、リアクションに困る、だけど、仲間にするにはいい条件だよ、これからの世界を造るのにかっての敵味方関係なく共に戦えるなんて、そんなこと稀だからね」
彼は穏やかな顔をしながら僕にそう言いと、改めて、自分の僕に右腕を差し出した。
僕も彼の腕を握り締めて
「これからもよろしく、アレックス」
「ああ、俺の方こそよろしく、アルフレッド」
そうお互いに固い握手を交わした。母さんから父さんの事はよく聞かされていたから、父さんが何をしようとしていたのかも良く分かっている。
さて、問題は姉さん達がこの場を引っ掻き回さないか、それだけが心配なんだよな。
僕は戦いの後の波乱の嵐を感じていた。そして僕らは一時、騎士団本部に戻ることになった。
軍の警備部隊がギザ砂漠の防衛を引き継ぎ、僕を始めとする騎士団は一時、本部に帰還する命令が出たためであった。
次回不定期ですが更新を頑張ります。