オープニング
~大聖堂騎士団イリア・キサラギの軌跡〜の正式な続編です、もう少し後から作成したかったのですが、ストーリーが完成してしまったので投稿致しました。
台詞を修正しました。
ギザ砂漠~Side
リディアSide
ギザの砂漠に朝日が登るのを確認するとボクは時計を確認した。時間は朝の5時半位か? かつてこの砂漠で大規模な戦いがあった、その時はボクのお母さんイリア・ファルゼスが戦った場所だ。
(今は母さんの事を考えても仕方が無い、それよりも……)
急いで丘の陰に隠してある機体〔セイバーマークⅢ〕のコクピットの通信回線を開くと、エクリア・トラストを呼び出す、彼女は母さんの友人で副官だったエレノア・トラストの娘さんでボクの親友の一人だ。
「エクリア、こちら【エンジェルナイトⅠ】聞こえる?」
《こちら、サーペント・アイ、感度良好や、エンジェルナイトⅠはそのまま待機して、エンジェルナイトⅡはどうや?》
エンジェルナイトⅡのパイロットはリーザ・ヴァルゼラートで、元ヴァルゼリア皇国国王陛下のヴァイン様とフィーナ王妃様の一人娘でボク達と親友でもある、今は【ヴァルゼリア自由共和国】に為っている。
《はい、問題は有りません、それより、バックアップは大丈夫ですか?》
《問題は無いで、そろそろゲリラにジャミングが始まるころやな?》
エクリアの言葉通り通信機からノイズが出てきたので確保されているチャンネルに切り替える、そしてハッチを閉じる。
ボク達が使っている機体は〔セイバーマークⅢ〕で全大戦末期に登場した人型機動兵器で大きさは約六メートル位で外見はゲームに出てくる騎士の様なデザインだよ。まあ【ヴァルゼリア自由聖騎士団】の主力機だけどね。
《しかし、武装はアサルトライフルやビームソードでは心持たないわね? リデェア?》
リーザの文句がスピーカーから聞こえて来る、確かにその通りだよ。
「ゲリラはかなり手強い相手なのに…… エクリア、まだ、頭の固い人達に話を付けていないの?」
《いや、話は付いてるけど、何でも今回はうち等は陽動やから、軽装がの方が都合がいいんやて》
《リデェア、リーザ、エクリア、無駄なお喋りは終わりだよ! 作戦開始時間まで、五・四・三・二・一・作戦開始!》
ボク達の会話にフェリオ兄さんが割り込んでくる、フェリオ兄さんは蒼い獣王の一人息子でイリア母さんと私の大切なお兄ちゃんだけど、作戦や訓練の時は【フェリオ鬼教官】にクラスチェンジしてしまう。
フェリオ兄さんの合図でロケット砲が擬装された砂漠の集落に命中して建物や外壁を次々と破壊していく。
(普段のフェリオ兄さんは伊達眼鏡掛けてて格好良いのに…… 魔獣モードだと、すぐ無双始めちゃうよ~~っ)
フェリオ兄さんはロケット砲の攻撃の後、素早く旧式の多脚戦車や無人ロボットを爪や牙に魔導弾で次々と破壊している、ボク達は敵の混乱に上じて擬装集落の西側に回り込むと敵の旧式の人型機動兵器〔アルト・リーゼ〕と遭遇する、重装甲に重武装の黒い重騎士の様なデザインの機体で大型のガドリング砲を装備しているが確か砂漠とかでは余り使われ無い機体の筈だけど?
「セイバーマークⅢのマシンガンだけじゃあ、鉄巨人の装甲を撃ち抜け無い! ならっ」
ボクはマシンガンの照準を敵のガドリング砲に向けると引き金を引く、マシンガンの弾はガドリング砲に数発当たると爆発して敵の右腕を破損させた。
《リデェア、左に回避やっ、サーペントアイの副砲よーい、うてぇぇぇっ!》
サーペントアイは機動兵器を最高三機搭載可能な垂直飛行可能な大型輸送機で戦車砲を腹部の両脇に主砲は低出力のレーザー砲を機首に装備している、元々は双胴式爆撃機の【ヒュドラ】の改良型で自由聖騎士の機動力として運用されている。
敵の機動兵器はサーペントアイの砲撃で大破して動かなくなった、そして、新手が二機現れる、リーザがアシスタントしてくれる、ボクはマシンガンを乱射しながら建物の陰に隠れて反撃を始めた。
※※※
ギザ砂漠ゲリラ基地~Side
アルフレッドSide
僕が閉じ込められている牢の付近の外が騒がしい、どうやら上手く自由聖騎士団に仲間が無事接触出来たみたいだ、鏡を見ると自分の顔が目に映る、金色のショートカットの髪に蒼い瞳だ、服装は魔族の貴族服を着せられているが余り気に入らないな。
僕は先の上級種族間戦争を起こした張本人の【アルゼリアス・ファルケン】の息子のアルフレッド・ファルケンだ、母さんは人間族の女性で父さん僕を身篭った事を知ると母さんの身の安全を考えて信頼できる友人に預けたそうだ、その母さんも一昨日流行り病で父さんの元に逝った。
「父さんに救いがあったとしたら、父さんの味方になってくれる人達が幾人かいたのが幸いかな?」
その時、牢屋の扉が開き僕の友達の単眼族の少女の【プラム】が入って来る、彼女は髪型は紅い色のツインテールがよく似合う紫の単眼の女の子だ、そして僕に向かって状況の報告をしてくれる。
「アルフレッド様、捕らえられている人々の脱出準備とアルフレッド様の専用機【ブラックナイト】の発進準備が整いました」
「ありがとう、所で自由聖騎士団の【シリウス】さんと【アリーナ】さんは?」
アリーナさんとシリウスさんは自由聖騎士団のメンバーで密かに僕達と連絡を取り合って、ゲリラに捕われいる人々の居場所や敵の戦力等を僕達が教えていた。とにかく今回は人質にされている一般人の救助が最優先になるので、敵の殲滅より人質の安全を優先する作戦なので、柔軟に対処しないと取り返しがつかなくなる。
「はい、お二人は既に捕われいる人々の救出に向かわれています」
「なら、僕はブラックナイトの起動させて、自由聖騎士団の援護に向かうよ、プラム君は連中の情報を入手してくれ」
彼女は「解りました」と応えるとゲリラ達の司令官に向かって行った。僕も急いで格納庫に向かおう、幸い此処から余り遠くない所に機動兵器の格納庫がある。それにしても此処の警備は手薄だ。俗に言うザル警備とか言うヤツか? いや、騎士団の攻撃で混乱しているのだろう、こちらにしてみれば有難い状況だ。
砲撃音や銃声に人の喧騒が聞こえる中を格納庫に向かい、機体から迷彩シートを取り外しコクピットに乗り込むと機体の起動させる。そしてゆっくりと機体を立ち上がらせる。
「使えそうな武器はバルカンと右腕のパイクランサーが二本のみか? ちっ、左肩のアーマーに連中のマークが刻んである、最悪だ」
まずいな、このマーキングは【旧ゼウラニアス帝国】の双頭竜の紋章だ。このまま格納庫から出ていったら敵と判断されて撃たれる可能性がある。せっかく何とか騎士団と合流が出来そうなのに敵と間違われたら厄介だ。
「ええぃぃ、今は迷うなっ、アルフレッド・ファルケン、今は捕われる人々の安全が最優先だぞっ」
そう叫びながら、額に拳を打ち付け気合いをいれて倉庫から飛び出すと、二機のアルトリーゼが自由聖騎士団の機体を攻撃していた。
《ブラック……ナイト……だと?》
《オイ、援護してくれ! 奴らは軽装のセイバーが二機のみだ、早くっ!》
口々に僕に助けを求めて来る、ゲリラ兵達なら今のうちに速攻で終わらせる、パイクランサーを繰り出して一機目のアルトリーゼのコクピットを貫きもう一機には至近距離からバルカンを頭に叩き込むと、仰向けになって大の字に倒れ込む。
「降伏しろ、出ないとコクピットを脚で踏み潰すぞ?」
《わ、解った……》
ガラにもない僕の脅しに相手は素直にこちらの降伏勧告に応じてくれたと思った瞬間、一機のセイバーがビームソードを構えて切り掛かってきた。
《そこの所属不明機、お前もゲリラ兵かっ》
「違う、僕は貴方達と戦う意思は無い、今からハッチを開けてこちらに交戦の意思を示すから、撃たないでくれ」
そう言いながら、コクピットのハッチを開けて交戦の意思が無い事を示すと相手もハッチを開けて顔を見せる、年齢は僕より少し年下の女の子で茶髪のサイドポニーがかわいい、紫の瞳の女の子だった。
「……君は、何者だ? ゲリラや傭兵には見えないけれど?」
「僕は、軍人でも傭兵でもない、ただのフリーのランドアーマー乗りさ、の炉そして、僕の名前は、ア…… いや、クレフトだ」
クレフトとは母親の旧姓だ、もしファルケンと名乗ったら、余計にややこしい事になりそうだ、話の解る人物にいずれ本名を名乗った方がいいな?
「クレフト君、了解した。ボクは自由聖騎士団第294特務戦闘隊所属のリデェア・ファルゼス少尉だ、君には、いろいろ聞きたい事があるから、ボク達と臨時司令部まで来てもらう、いいな?」
「ああ、解ったよ、ファルゼス少尉、こちらも貴女方に話したい事がある」
とにかく、自由聖騎士団の司令官のレスター長官かフェンリル少将がいいな? でも、あのリデェアって女の子、少し気が強そうだな? そういえば、なんとなく彼女の雰囲気が、幼いころ新聞の切り抜きの写真の【イリア・キサラギ】にそっくりだ。ただ似ているだけなのかもしれない。
こうして僕達は自由聖騎士団の臨時司令部に向かう事になった。
次回は前作の更新をした後でゆっくりと更新していきます。
これからもよろしくお願いいたします。