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第三話

 そして次の日――

 ピンポーン。チャイムが鳴る。

「はいはーい」

 僕は玄関に向かい、開けた。

「こんにちは」

「よぅ。いいよ。上がりなよ。寒かっただろ?」

「はい。おじゃまします」

 彼女の服装は私服にジャンパーを羽織ってきたものだった。

 ――そういえば、こうやって学校以外で会うなんて初めてだろうか。なんだかドキドキしてきた。

「先輩?」

「う? あ、あぁ! そうだね。行こうか」

 僕は自室にへと案内する。

「意外ときれいな部屋ですね」

「意外とは余計だよ」

「あっ、すいません……」

 僕は部屋を暗くするために雨戸を閉めた。すると本当に真っ暗になって何も見えなくなった。

「痛っ!」

「ごめんなさい!」

 春香さんが僕の足を踏んだようだ。足が痛い。というか、早く電気をつけないと――

 パチッ

 部屋が明るくなった。

「「ふぅ」」

 二人でため息をつく。

「先輩、その機械ですか?」

 春香さんは僕の横にある機械を指さした。

「そうだよ。ちょっとまってくれ」

 僕はプレートをセットし、スイッチを入れた。

「電気消すよ」

「はい」

 僕は電気を消す。すると天井や壁に白い点々が映し出された。

「わぁ……」

 暗くて表情は見えないが、たぶんすごい喜んでいるのだろう。

「あれが、てんびん座で、こっちがとかげ座……」

「とかげ座? そんなんもあるのか?」

「はい。いろいろありますよ」

「そうなんだ。……ここ、座りなよ」

「あ、ありがとうございます」

 僕はベッドにもたれかけるように座った。その隣に春香さんが座る。

「なんだかいいですね。これだけの数の星なんて、よほど空気がきれいで明かりがない田舎でないと見れませんよ」

「そうなのか? うーん……」

 そんなことを言われても、わからない。まぁ、とにかくすごいと言うことはわかった。

「……」

「……」

 無言で僕らは天井を見上げていた。

 聞こえるのは隣にいる春香さんの息づかいのみ。

「あのさ、別のプレートもあるみたいなんだけど……」

 僕は立ち上がった。なんか行動を起こさなければ、と思ったのである。

「そうなんですか? じゃあ、冬のがみたいです!」

「わかった……けど、暗くて見えない……」

「電気、つけますね」

 ぱちっ 電気のつく音がする。

「うっ……」

 いきなり明るくなると、目が開けなくなる。

 しばらくすると、目が慣れてきて目が開けるようになった。

「どれだろう」

 僕は箱の中からプレートを探し出す。どうもわからない。

「これじゃないですか?」

「うわっ?!」

 すぐ隣に春香さんがいた。近い近い近い!!

「ん? どうしたんですか?」

 きょとんとした顔でこっちを見上げてきた。

「ど、どうもしてないよ……」

「そうですか。……あ、これです」

 そういって差し出してきたのには『冬の星空』と書かれていた。

「おぉ、サンキュ」

 礼を言って受け取り、機械にセットする。

「電気、消すね」

 再び部屋が真っ暗になった。

 そして、僕は機械のスイッチを入れる。再び、天井や壁に星が映し出された。

「きれいですね……」

「そうだな……」

 僕らは天井に映し出された星をただ、ぼーっと眺めていた。

 時間が進むのを忘れて――


「先輩! 起きてください!」

「うーん……。まだ……」

「せーんーぱーい!」

 ばしっ! 左の頬に痛みが走る。

「あいったーっ!」

 目が覚める。なんか白い点が見えるぞ。なんだ、たくさんあるじゃないか。いったいここはどこだ?

「大丈夫ですか? おーい!」

「うぅうん? 春香さん?」

「そうです! 私です!」

「暗くてよく見えないなー」

「電気つけますね」

「んあぁ?」

 ぱちっ 電気がつく。

「ぬぅう……」

 目が眩む。そして、それと同時に一気に現実世界に引き戻された。

「あれ……? 僕はなんで? 春香さんと?」

 やばい。記憶がないぞ。頭がぼーっと……。

「先輩! もう六時です!」

「ん? おはよう」

「違います! 十八時です!」

「じゃあ、こんばんは――っじゃない! なんでこんな時間なんだ?」

「先輩が寝ちゃったからですよ!」

「起こしてくれたっていいじゃないか?」

 そうだ。そんなことを言うなら起こしてくれたって――

「……私も寝ちゃっていましたから……」

 赤面しながら春香さんは答えた。なるほど。そういうことか。

「それじゃ、そろそろ帰らないと……」

「はい。今日は本当にありがとうございました」

「ん。いいよ」

「それで、また今度、来てもいいでしょうか?」

「うん、いいよ。待ってるからさ」

「はい!」

 彼女は微笑んでから「それでは」と言って部屋から出て行った。僕もそれについて行く。

「じゃあね。春香さん」

「はい、さようなら」

 ぺこんとお辞儀をしてから出て行った。

 それと入れ替わりに両親が帰ってくる。

「誰? 今のかわいい子」

「何をしていたんだ? 余所様の子に変なことをしたら承知しないからな」

「わかってるって! 二人とも!」

 僕はその後、部屋に戻った。

「ふぅ……」

 さっきまでそこに座っていたところに座る。まだ温もりが残っていた。

「春香さん……ね」

 なんだか、彼女のことが頭から離れなかった。

 その夜からずっと――

こ、こんにちは。まなつかです。

まずはじめに報告があります。

HP始めました。

http://manatsuka.web.fc2.com/

まだ更新していませんが、明後日くらいから更新予定です。


この小説の感想があったら、どんどん書いてください!

楽しみにしています。


それでは。

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