第49話
[ダイバー隊より陸上団CP、Line9-8-9への爆撃終了。引き続き近接航空支援を実施する、随時要請してくれ]
[CP了解、感謝する]
「はぁ………重傷者から移送準備を開始しろ。もうしばらくは脱出に時間がかかるぞ」
「了解しました。とりあえず、現状前線を張っている部隊に対して適宜休息を取るよう支持しておきます」
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26年 8/24 6:00:封鎖海域:西部海峡
ダルアが閉鎖している海域の西部には、その西の海とつながる海峡が存在する。
ここを封鎖すれば、ダルアは西部から艦隊を東へ回せなくなり、制海権が確立できる。
「Captain、間もなく海峡です」
「そうか。敵艦隊の動向は?」
「依然進行中、このまま行けば海峡まで来るでしょう」
閉鎖するために派遣されてきたのは、在日米海軍。
いや、今は諸国連合海軍 第七艦隊である。
揚陸艦と旗艦ブルーリッジは日本艦隊の撤退戦支援へ向かっている。
それ以外の主要水上艦艇。
第十五駆逐隊と第五空母打撃群の全力出撃である。
最近は気軽に外洋に出れなくなったり影響でつまらない日が続いていた。
クルーは全員ぶち殺してやるぜと大騒ぎしていた。
「ハープーン、射程に入りました」
「全艦射撃。1隻は残せよ?あいつらが地獄を報告してくれなくなるからなぁ」
既にジョージ・ワシントンからはF/A-18Eが12機発艦して制空・対艦戦闘に向かっている。
レーダーの情報によれば、敵は相応に大艦隊だ。
西の主力艦隊でも引っ張ってきたのだろう。
攻勢計画でもあったのかは知らないが、どうやら頓挫らしい。
アーレイ・バーク級からハープーンが射撃されていく。
確実に射撃数が多い気がするが…………まぁ、多少血気盛んでもお許しはくるだろう………
多少過剰に撃ち込んでも………まぁ心理戦効果ってやつだ。
とんでも火力を叩き込んだほうが現場は地獄のなってくれるだろう。
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26年 8/24 6:50:ヴ第二共和国:孤立地
撤退の支援には、第五武装偵察中隊。
アメリカ海兵隊武装偵察部隊、Force Reconの一部隊と言ったほうが分かりやすいか。
米海兵隊の中で特殊作戦能力を持つ部隊である。
彼らも出撃している。
彼らはその性質上、多少の抵抗や困難が予想されるような戦域にも投入される。
まあ、今回の任務は彼らからすれば、海上支援あり・航空支援あり、おまけに陸上部隊の支配地域での戦闘だ。
あまりにも簡単な任務だろう。
「随分敵が多いな。軽機で薙ぎ払え、ついでにアパッチの支援も要請しておけ」
「30mmはいささか過剰火力じゃぁないですかね?」
「いいだろ、上の連中にも手柄をやらんとな。それに、過剰火力は俺らのお家芸だろう?ほら、さっさとスモーク炊け、30mmでミンチになりたいのか?」
「へいへい…………[グリズリーよりグランドマスター、現在地より50m前方へのアパッチの掃射を要請する]
[こちらグランドマスター、了解した。1分後に掃射を開始させる]
正面の敵兵がミンチになっていく。
やはり攻撃ヘリという存在は偉大だ。
上はなぜこんな優秀なものを全廃しようとしていたのか。
これがわからない。
確かに、MANPADSやSAMが脅威であるのは確かだ。
ドローンという存在が強力かつ損害を減らすことのできることも。
だが、ジャミングに弱い。
だが、地形に弱い。
有線ドローンという選択肢もあるが、長距離攻撃には向かない。
その点攻撃ヘリはすばらしい。
地形に強く、ECM攻撃に対しても一定以上の抗堪性を持ち、そして有線ドローンの何倍もの距離を巡航できる。
[グッキル、敵部隊の壊滅を確認。再攻撃不要]
[了解した。ついでに言うが対空黄警報だ。敵航空戦力が確認された]
「空軍も出張ってきたか。まあどうせ例のトリケラトプスだろ?アパッチならハエ叩き位はできるだろ」
「日本の分析では、どレだけ航空力学の資料が流出していようと、まともな航空機の作成は不可能という見解です。問題ないでしょうね」
そう言いながら窓から外を覗いている。
どうやら敵は居ないらしい。
どちらにせよ、我々は陸自の完全撤収後に来るヘリで帰宅だ。
しばらくはここでのんびりするとしよう。
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撤退は順調に進んでいた。
重傷者はヘリで病院船機能のある艦艇へ移送。
第七艦隊第十一水陸両用戦隊のLHAとLPA3隻、そしていずもの合計8床の手術室ではフル回転で治療が行われている。
病床は確実に足りないため、定数を満たしていないほうしょうの格納庫に野戦病院を展開して黄タグ以下の治療を行っている。
戦車や車両もそれはそれでひどい状況であった。
整備不足による故障、雀の涙しか入っていない燃料。
車両格納庫内のど真ん中でエンストして筋肉自慢が数十人で強引に押し込んで調整する始末だ。
戦車も装甲車もギリギリ押し込めば前後進位はさせられる。
補給用に燃料は持ってきてはいたが、給油なんてしてる暇あったら押し込んだほうが早いという脳筋思考となった。
コンテナ船にも、戦車や装甲車をヘリのスリング輸送で輸送している。
余剰分の乗らない砲弾薬は海上で爆破処理により投棄する予定だ。
既に小型舟艇に乗せて海上に輸送している。
爆破処理時には護衛艦の砲撃で爆破する。
生憎、陸自やヴァクマーら協定国に我々の最新兵器を渡してやる余裕はない。
指揮は揚陸指揮艦ブルーリッジ。
同艦に陸自指揮班とForce Reconの指揮班が搭乗し撤収作戦の指揮を行っている。
海自の護衛部隊の指揮はほうしょうに搭乗している。
「撤収まであとどれくらいだ?」
「間もなく完了します。陸自側の死者が少ないのは我々からすれば幸いですね…………対して負傷者は少ない様ですが……」
「練度が低い部隊に対して練度が高い部隊の死者は少ないので、練度がモロに出たようですね」
艦橋から外を見れば、撤収用のLCACや負傷者・車両移送用のオスプレイが我が物顔で外を飛行しているのが見える。
「米軍ならここから部隊を流し込んで突貫しそうなものですけどねぇ」
「バカ言え。海自に流し込んだ増援と既存部隊の補給を支えられるほどの隻数は無いぞ。小型艦が自爆特攻して来ようもんなら大惨事だ」
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26年 8/24 10:00:ヴ第二共和国:方面指揮所
「戦闘団長。戦力の再集結、完了いたしました。協定連合軍及びヴァクマー軍将校より、作戦立案のため会合を開きたいと、伝言を受け取っております」
「そうか………さて、多国籍軍による連合作戦なんていうことが、この世界でまともにできるのかね………」
指揮所の扉を開ける。
指揮所設備はヴァクマー陸軍基地の基地司令部の隣に大型天幕を展開し設置している。
エルファスターとグランシェカ主力の多国籍部隊も同じような状況だ。
多国籍部隊の方は陸自に比べて相当に見劣りするが………。
全体の会議は基本、ヴァクマーの作戦指揮所で行う事となっている。
元々ヴァクマーの仮想敵はグランシェカとダルア・ルレラだ。
そのことから、ヴァクマーにはダルア国境部からルレラ国境部までの地形を詳細に調査した地形図がある。
国内の地形図は小さな小川から丘までほぼ全てが記されている。
それこそ、衛星写真と見劣りしないレベルのものが。
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「現状、ここソンバトヘイから100〜80km地点まで接近していると思われます。
上陸地点からの進軍は阻止及び包囲部隊の救出はできましたが、前者は押し返すことはまだ出来ておらず、救助した部隊も損耗が激しく前線に行ける状況ではありません」
「まず、この部隊を押し返すことが先決でしょう、前線の短縮になる。同時に両翼から突貫して上陸部隊を包囲するべきです」
「まずは前線を突破するべきだ!敵前線を突破し後方を撹乱、一気呵成にダルアまで流れ込む!」
「まずは防衛に徹し、敵戦力を漸減するべきです。敵の第二挺団が控えている可能性もある」
案の定、会議室は混迷を極めていた。
まあ、そもそもどの国もドクトリンが大きく違うのだ。
考えつく作戦も十人十色と言ったところだろう。
「まぁまぁ、落ち着いたらどうだ」
「…………お見苦しいところをお見せした様ですな」
「まずは前線を安定させるべきです。重要地点の目の前に敵がいるというのは些かよろしくない。
ヴァクマーの戦車部隊で敵上陸地点を包囲しましょう。幸い、海自は制海権を完全に掌握しています。後方補給路さえ遮断してしまえば、ただの鉄の棺桶です。
十一師・二師の残存で敵に移動妨害をかけつつ七師が北から迂回、突出部後方に対して包囲機動を仕掛けます。
包囲が完成次第、傷口からそのまま浸透し北上、前線に圧を掛けつつ敵に撤退を促し、同時に空自による敵縦深への爆撃を敢行します」
「しかし、こちらも補給体制が盤石とは言えません。明らかに戦車部隊を投入して突貫できるとは…………」
「輸送隊によるピストン搬送、航空隊による空中投下、ヘリ補給等々を統合運用すれば、ギリギリですが補給は間に合う計算です。
兵数の少なく、戦域展開の厳しいサンコの部隊は纏めて補給に回しましょう。
投入する部隊も最低限、それ以外は前線の維持と後詰に回しましょう」
サンコ以外の将校が渋い顔をしているが、仕方あるまい。
そもそもグランシェカもエルファスターも相応の部隊を送ってきてはいるが、主力となれるほどの数はいない。
戦果が欲しいのはわかるがそれで撹乱するのだけは勘弁だ。
サンコはそもそも兵数が少なく、支援に回るのが大前提だと聞いている。
「ここまで派手に後方を荒らせば、よっぽどの愚将でなければ前線を大幅に下げて防御線を再構築するでしょう。
そのタイミングで全戦線で追撃を開始、そのまま敵の防御線まで押し切ります。
その後こちらの補給・インフラが整い次第縦深への爆撃の後国境まで突破・包囲を行います。」




