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このゲームは神ゲーでござる

ガチャッ!!

ピシッ!

「愛花!今日は一緒に学校行くわよっ……てなによこれっ!!!」

勢いよくドアを開け、やたらと馴れ馴れしそうに入ってきてすぐ、机の上に置いてあったくまさんパンツを見つけて騒いでいるのは幼なじみヒロイン、黒咲(くろさき)みつきだ。

容姿端麗、文武両道、世話焼きという、ヤンチャな唐崎にピッタリの幼なじみである。

(みつき様イベントでござるか。

眼福でござる……ヘト……。

とはイカナイッッ!!!

ここは選択肢があるところッッッッダッ!!!

ここの選択肢で、これからの唐崎とみつき様の関係が決まってしまうかもしれない、とても大事な選択肢ダッ!!


ふん、まずこのシーンで憑依できるものはというと、

1ドア

2ネコ

3忍者

この中で憑依されて1番まずいのはズバリ、忍者!!

この世界はあくまでもゲーム。

そして、ゲームにはお決まりの、周回プレイ用選択肢というものが存在する。

そう、恋愛フラグを立たせなくするという選択肢が!!!

それが忍者告白イベント!!

このイベントは、何処からともなく現れた忍者が、唐崎に告白するというものがだ。

このイベントが起きたみつき様は、これから起こる好感度イベントの度に、

「でもアイツ忍者に告白されてたし……」

といって、全く好感度が上がらないのです!!!

それはワタクシ、コマリマス!!!

ワタクシみつき様も大好きでござる。

というかこのゲームのヒロイン()()全員好きでござるよ。

(早口モード)

いやまぁしかしぃ、ワタクシの一番はキラリ様ゆえ、今回の周ではキラリ様結婚イベントまで行きたいでござるからして!好感度をあげすぎず、下げすぎずという位置が理想でありますから、えぇまぁだからこそ困ると言いますか、このまま好感度ストップがかかってしまえば、それはそれはこまりますゆえ、是非とも忍者さんには来てほしくない次第であります!!)

スタッ!!

何処からともなく忍者が現れる。

(イヤァァァァァァァッッッッ!!!!!

みつき様ーーーーーー!!!!!!

ニゲテェェェェエエーーーーーーー!!!!!)

唐崎もみつきもゲームクオリティで、忍者の存在に気づいていない。

忍者は動く。

いつの間にか立っていた唐崎に近づき唐崎の前で屈む。

(おやおや、もしやこれは……)

ズルッ

バオ~~~~ン!!

忍者は唐崎の下半身を露出させ、颯爽とどこかへ消える。

「あ。」

唐崎は気の抜けた声を出す。

寝起きということもあり、パオ~ンというよりもバオ~~~~ンという感じのそれがみつきの前で反り勃つ。

「ちょっとッ!なにしてんのよッ!!!!!」

そう言って、手に持っていたくまさんパンツを唐崎の方へと投げ、逃げ去る。

「何で脱げんだよ!!」

「おばさん行ってきますっ!!」

「はーい、いってらっしゃーーい?」

ガチャッ!!

ゆるっと。

「キターーーーーーー!!!!!!

神イベキターーーーーーー!!!!!!

これはまさしく朝勃ち露出イベントでござる!!!!

なんか色々無理矢理なところが多いのは、このゲームの良いとこでござるよ!!

あとどんなに無理矢理だとしても、あのシーンがあるのならオールオッケーでござる!!

みつき様はこの後通学路で一人、考えるのです。」

(昔より大きくなってたなぁ……)

思い出すと顔と耳が赤く熱くなる。

(違うっ!!そ、そんなんじゃないからっ!!

別に幼なじみなんだし!あんなの見てもなんとも思わないからっ!!)

「これは好感度爆上がりイベントでござる。

流石のワタクシもるんるんでござる……

ヌァァァァァァアアアアッッッッシュッ!!!

好感度爆上がりしてしまったでござる……

ワタクシの完璧な好感度計算によれば、後一回好感度上昇イベントが来てしまうと、恋愛フラグが立ってしまうでござる!!

(早口モード)

このことについて、みつき様の恋愛フラグ速くない?ちょろすぎ、なんて言う低能なやからを、レビューなどでちらほら見かけますが、これは至極当然のことでござる。

そもそもみつき様は幼なじみ、元の好感度が高いわけでござる、それなのにまだ恋愛フラグが立っていないのは、異性としての意識が甘いから!!幼なじみゆえに!!!

だからこそこのイベントはみつき様の唐崎に対する目を変え、異性として認識させてしまうという、しかもあんなものを見てしまってはもう、あれやこれやを考えないわけには、いかないでござるよ!!

余り深く考えずに物を言う低能アンチはさっさとだまるるるるるる……。」

透明な壁に押される。

「イベント強制力が……ワタクシの愛を邪魔するでござる!!

あぁ服が勝手に変わった!

あぁさっきまであそこに落ちていたホープベアが鞄の中に!!

世界に速く進めと言われているでござる!!!

しかしワタクシはまだ!愛を!!愛を!!!アンチどもの低能を証明し!!このゲームがいかに素晴らしいかを伝えなくては……。」

この調子で通学路イベントまで進む。

ピシッ。

「何で脱げたんだ……まぁ良いか昔一緒に風呂とか入ってたしなぁ。

それより今はパンツだ、今からじゃ間に合わねぇし、休み時間に返し行くか。」

ゆるっと。

「はい!ここまでがみつき様イベントでござる!神イベでしたね~!!

次のイベントは!!皆さんお楽しみパンツお返しイベントでござるよ!!

ワタクシ楽しみでござる!!」

キーンコーンカーンコーン。

一時間目の授業が終わる。

ピシッ。

「探してみるか……」

ゆるっと。

(ふぅーーーー楽しみでござるぅ。

でもだがしかし!!あの男を思い出すだけでムカつくでござる。

ワタクシと唐崎のキラリ様にあんな態度を。

本当にムカつく!!)

ピシッ。

1年教室の廊下を1人、歩きながらピンク色の髪の毛を探す。

流石、派手にヤンチャをしているだけはあり、ただ歩いているだけなのに周りはざわついている。

「おっいた!!誰かと話してんな……まぁいいか。」

キラリはチャラそうな金髪男子生徒と話をしている。

(くぁ~ムカつくぅ。)

「ねぇねぇキラリちゃ~ん、今日二人で遊び行かな~い?」

「遊びですか!なにして遊ぶんですか!?」

「それはその時のお楽しみだよ~。」

「お楽しみですか!とても楽しそうです!!」

「おい。」

会話へ割り込むようにキラリの肩をポンッと叩く。

「ハッ!!あなたは!昨日の!!何しに来たんですか!!!」

シュパッ

と身構える。

「そんな身構えなくたっていいだろ。

昨日のは間違いなくお前の自爆じゃねぇか。」

「あぁ……確かに……それはそうかもしれないデス……。」

そんな話をしている頃、金髪の男は、ゆっくりその場を去ろうとしている。

「おいお前、あんまダセェことすんなよ。」

「ハイッ!!すいませんっ!!!」

(ヨッシ!!ナイス唐崎!!

金髪!!お前なんて禿げてしまえ!!カス!!!ばか!!!)

キラリは、何で怒られているんだろう見たいな顔のまま問う。

「ところでなにかようですか?」

「あぁ昨日のあれ返しに来たんだ。」

「えぇ!!本当ですか!それはそれはありがとうございます。」

とても深々と頭を下げる。

「お、おう、そこまでのことじゃないと思うが……まぁとりあえずここで返すもあれだし、鞄持って着いてこいよ。」

たかだかパンツを返しに来ただけなのにあまりに深く感謝されて少し戸惑う。

「お供します!!」

ゆるっと。

(ここに来て!来る!!自由時間!!!!!

フゥゥゥーーーーーー!!!!

どうするでござる!!どうするでござる!!)

「どこに行くんですか?」

伸長差があるせいで、普通の問いが上目使いに変換されてござるの元へ来る。

(ウオーーーーーーーーー!!!!

理性なんて吹っ飛んでしまえば良いでござるーーーーー!!!!!)

「人気の無い場所でござる!!」

「ござる?」

(ええええええぇぇぇぇぇぇ、なんで!?イベントキョウセイリョーーーーーーク!!!!!

どうして伝わってしまうのぉぉぉーーーーマーーーイゴッッッシュ!!!)

唐崎がいきなりござるという言葉を使うわけが無いはずなのに、イベント強制力に阻まれない。

今後のイベントに影響しないと考えられたのだろうか。

とかそんなことを考える余裕もなく、ござる超焦る。

「ワ、ワ、ワタクシはあ、あ、あ、あれです!あの……あれ……ふ、二つ目の人格でござる!!」

咄嗟に誤魔化そうと、あながち間違いでもない言い訳をする。

「人格?」

「あのですね!人格というのはえぇと、その、えと、ああ、とにかくその、1人の人間に2人の人が入っているということでござる!!」

「なるほど!!それはすごい!!!なんだか不思議ですごいね!!!!」

「そうでござる、そうでござる、不思議ですごいでござる!!

そう!これは凄いことなので!ワタクシのことは内緒にしてほしいでござる!!」

「わかったよ内緒にする!!」

「そうでござるか!!キラリ様は偉いでござる!!」

「何でお名前を知ってるの?」

「ギクゥゥゥゥ!!!

そ、そ、そ、それはその、ワタクシはあれ、その、えぇと、全知全能というとてもすごい頭を持っているのです!!」

「えぇぇぇぇなんだかわかんないけどすごそう!!!!」

「そうでござる、そうでござる、キラリ様のことなら何でもわかるでござるよ~~!!」

「えぇえぇじゃあキラリの好きな食べ物はな~んだ?」

「フフーン!!簡単でござるなぁ……ズバリお母様の作ったハンバーグでござる!!!」

「すご~いほんとにわかるんだ~!!」

「わかりますとも!!」

(悦悦悦悦悦悦。

しかし、まずいでござるそろそろイベントが始まるでござる。)

「ねぇねぇじゃあ次は~」

「キラリ様ワタクシは全知全能を使った反動でほんの少し寝なくてはなりません!!」

「えぇ!ねちゃうの……。」

「申し訳ありません……しかし直ぐに戻るでござる!!!あともう一度言いますが、ワタクシのことは誰にも話さないよう、約束して貰えるでござるか。」

「わかった!!キラリ約束する!!!」

「ありがとうでござる!!」

深々と礼をする。

「うわーーー!!どういたしまして!!!」

(アァァァァァァ……

感服の極み…………まさかキラリ様とばなぜるどぎがぐぅるどわぁ……がんるい……ワダグジ……感涙でござるッ!!!!感無量感無量感無量。やはりキラリ様は尊きお方……。ありがとうございます……ありがとうございます……。)

ピシッ。

イベントが始まる。

「ここなら誰もいないだろ。

ほらこれ。」

そう言って鞄からパンツを取り出し渡す。

「わぁ!ありがとうございます!!」

また深々と礼をする。

「いやそんな頭下げるほどのことでもないだろこれ。」

「いえ感謝することは大事だとお母さんが言ってました!!

そしてキラリの感謝はすごく上手だとも言っていました!!

なのでキラリは感謝をします!!」

「そうか……偉いな。」

あまりに真っ直ぐな彼女に少し動揺してしまう。

「はい!キラリは偉いです!!」

「お前キラリっていうのか。」

「はい!キラリは七星キラリというお名前です!!

あなたはなんてお名前ですか!?」

「俺は唐崎だ。」

「下のお名前は?」

「秘密だ。」

「えぇ!どうしてですか!!」

「言いたくねぇからだ!」

「言いたくないのなら仕方がないです……唐崎さんと呼ぶことにします。」

「おう、それで頼む……

てか、そんなことよりお前!」

「なんでしょうか?」

「ああいう男には着いていっちゃダメだ!!」

「ああいう男とは誰のことでしょう?」

「さっきお前に話しかけてた金髪のやつだ!」

「えぇ!どうしてですか!!

せっかく遊ぼうって誘ってくれたのに、お楽しみだって用意してくれたのに!!」

「ばかやろう!あいつの遊ぼうはそういう意味の遊ぼうじゃなくてだな……。」

「遊ぼうに他の意味があるんですか!!」

「いや、それは……あれだ……」

「なにだ?」

「お母さんにでも聞け!!」

「何でいきなりお母さんがでてくるの!」

「それもお母さんに聞け!

俺からは言いたくない!!」

「言いたくないのなら仕方がないです。

お母さんに聞くことにします。」

(なんだよコイツ……ほんとに高校生かよ……

危なっかしいやつ……。)

キーンコーンカーンコーン

「あぁ!まずいです次の授業が始まってしまいました!!」

「いやすまん話しすぎた、走るぞ。」

「いやダメです!廊下は走ってはいけないと小学生の時に習いました。」

「あぁ、そんなこと気にしなくて良い。

俺が隣にいれば悪いことなんてし放題だ。」

そう言ってキラリの小さい手を握り走り出す。

「どうしてですか!!」

「ふん!何を隠そう、俺はこの学校じゃ問題児だ!俺がとなりにいれば全部俺のせいになる!だからなにしたって良いんだ!!」

「それはダメじゃん!!」

キキッーーーッ!!

手を繋いで走っている時に、キラリが急に立ち止まったので、唐崎は盛大に転ける。

ドテンッ!!

「お、お前以外と力あんのな……。」

「歩いて戻りましょう唐崎さん!!」

「わかったよ……。」

ゆるっと。

(……………………愛。

愛。

愛。

世界を満たすほどの愛。

愛だ……

この愛を前にワタクシは、果ててしまいそうです……天に果て……この青く広い空の一部へとなるのです……)

「唐崎さん!」

「ごめんなさい、今はワタクシでござる……。」

ついつい果ててしまいそうモードで反応してしまう。

「もう1人の!!

えぇとえぇと、そうだ!あなたはなんというお名前なのですか?」

「ワタクシのお名前ですか……そうですねワタクシは……ござる、ござると言います。」

「それは下のお名前ですか?」

「お名前はござるだけです。

下も上もないでござる。」

「ござるさんですか!珍しいお名前ですね!!」

「キラリ様のお名前も珍しいでござるよ。」

「確かに!!そうかもしれない!!」

とびっきりの笑顔をみせる。

「あぁ……かわいいでござる……」

「えぇ!!!」

ふとでたぼやきに、キラリは顔を真っ赤にする。

「あぁ、ごめんなさい。そのあまりにあれだったもので。」

(やってしまった……やってしまった……やってしまった……反省だ……深く反省しなくては。

これは間違いなくかわいいイベント。

ということは、唐崎に起こるはずのイベントをもしかすると、とってしまったのかもしれない。

あぁあまりの尊さに、意識がとびかけていたあまりに、気を遣うことを忘れていた……深く反省だ。)

「アリガトウゴザイマス……」

か細い声でお礼を言いながら深く頭を下げる。

(少しでも空気を戻さなくては……)

「キラリ様!!もうすぐ教室ですぞ!!

気合いをいれましょう!!

ワタクシはまた寝るでこざる!!」

「えぇ!!そうですか……では、おやすみなさいござるさん!!」

(オォォ……イェェェェェ…………世界はまるで()んでいた…………そう気づかないだけで……気づけないだけで……世界は綺麗だったのです。

そしてあなたは世界、世界はあなた

あなたはとても美しい……ラブ……おやすみなさいにラブ。)

ピシッ。

教室の前に着くと、キラリはいきなりガラガラガラっとドアを開ける。そこに躊躇はない。

「遅れました!ごめんなさい!!!」

またまたまたまた深々と頭を下げ、黒板の前に立つおばさん先生に謝る。

「すいません!俺が引き留めてしまって!!」

キラリに続き唐崎も深々と頭を下げる。

おばさん先生の頭の中

(まぁ唐崎くんがあんなに頭を下げるなんて……

ふふ!

キラリさんにあてられてかしら!!

もう青春じゃないッ!!)

「少し遅れたくらい気にしませんよ。

キラリさんは早く席について、唐崎くんは真っ直ぐ教室に戻ってくださいね。」

「はい!」

2人して返事をする。

(あらやだ!青春じゃない!!)

1人で教室に戻りながら。

「久々にあんな頭下げたな……あいつに影響されてか……なんか変なやつだったなぁ……あいつといると調子狂うな。」

ゆるっと。

「ワタクシは今から愛を語ろうと思います。

(早口モード)

まさかのまさかのまさかの!なんとキラリ様と喋るということが!ワタクシの人生にあるとは……これはきっと愛の力!!!愛ゆえに!!!

そして生キラリ様とのお喋りは格別!!

至福、至高、至超、至極!!

やはり喋り方がとても素敵でござる。

低能共は台詞ミスあるとか、キモイだとか言いやがりますが、あの喋り方こそキラリ様であると、キラリ様だからと、そう体現するような喋り方なのです。

敬語、時にため口、しかしそれはアンバランスに。素晴らしい!!素晴らしすぎる!!まさにキラリ様でござる!!

はぁ!そしてなんたるは、あの性格。

圧倒的幼稚!!幼稚!!

この場合の幼稚とは褒め言葉なのでござる!!高校1年という歳であの純粋さ、まさに危なさと儚さを兼ね備えた究極の萌え。天秤がこの先どちらに傾いても萌え、しかし傾かないのも萌え。そう究極の萌えでござる。

そんな彼女におやすみなさいと言われてしまったワタクシはもう、萌えに燃やされ焼死笑止(しょうししょうし)、ドッキュンッドッキュンッのメラッメラッでござる。

このゲームをばかにするアンチ共には、今すぐワタクシの気持ちを共有してあげたいでござる。

はぁ!尊きかな人生!!尊きかなキラリ様!!」

こうしてパンツイベントは幕を閉じた。


これはちなみにだが、このゲームの評価は、大手ゲーム評価サイトで3.2/5という超微妙な評価を受けている。

ござるが時々アンチに敵対しているのは

日課で行っていた、批判的評価レビューへの、レスバによるものである。


おまけ。

『名前しか知らない唐崎さん』



「お母さん!!」

料理中の女性に後ろから声をかけるキラリ。

「どうしたの~?」

「実はキラリ学校で遊びに誘われました!」

「へーよかったね~!」

「その人はなんと!お楽しみも用意してくれました!!」

「いい人だね~!」

「しかし唐崎さんはあんな男に着いていってはダメだと言いました!」

「どうして~?」

「唐崎さんがいうには、「その人の遊ぼうは違う意味の遊ぼうだ」などと言っていました!!」

(…………名前しか知らない唐崎さんありがとうございますっ……!!)

「お母さん?」

「はい!聞いてるよ~!」

「キラリは違う意味の遊ぼうが気になってどんな遊びなのかを聞きました!」

(…………名前しか知らない唐崎さんごめんなさいぃ……)

「お母さん?」

「聞いてますよ~!」

「そしたら唐崎さんは「言いたくないからお母さんに聞け」などというのです!!」

(……良いのです……それで良いのです……ありがとうございます……名前しか知らない唐崎さん……)

「ということで今、お母さんに聞きます!!

違う遊びとはなんなんだ!!」

「そうね~………………」


「お母さん?」

(何て言ったら良いのかしらッ!!!!

どうしましょう!どうしましょう!全くいい言葉が思い付きません!!)

「お母さ~ん?」

「はい!違う遊びですね!!

そうですね、違う遊びはキラリには少し早いかもしれません!!」

「だから!違う遊びとはなんなんだ!!」

ジュ~~~~~

料理の手が止まる。


静寂を切り裂くように女は言う。


「チューの向こう側です!!!」


「チュー?向こう側?んん?ふぁ~……よくわからないデス……。」

プシューーー

ふらぁっと倒れる。

「パピあとは頼みます!!

キラリを頼みます!!

私は料理をします!!

あとは頼みます!!」

「ま、任せろ!!」

男がキラリを抱え台所から立ち去る。

「チューの向こう側……チューの向こう側……チューの向こう側……あと、名前しか知らない唐崎ありがとう……」

そうぼやきながら。

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