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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
最終章

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74 帰還

 聖母ガイアの神殿から戻った私は、どうすればいいものかを思案した。聖母ガイアを信じるなら、もう一度このような講和の場にマリアを引きずり出し、そのときに聖母ガイア像を使って、本当の聖母ガイアを召喚すればいいのだからね。

 となると、もう一度講和の場を設けてもらうしかない。


「皆さん、もう一度だけ、講和の場を設けてもらえないでしょうか?得体の知れない相手だとは分かりますが、それでも話せば分かり合えるのではと思っております。今後、戦闘が再開されるとしても、今一度、平和的解決を模索してくれませんでしょうか?」


 当然、相手は邪神で危険な存在とだいうことは分かっているが、講和の場で聖母ガイアに対応してもらうことが一番被害が少ないと思っての判断だ。

 これは多くの人を驚かせた。


「今すぐに攻め込んでやろうと思ったが、聖女殿がそう言われるのなら・・・」

「なんと慈悲深い・・・やはりカレン殿が本当の聖女に違いない・・・」

「カレンお嬢様・・・立派です・・・・」


 結局、私の案は受け入れられることになった。

 だが、問題も山積みだ。まずはルキシア王国が交渉に応じてくれるまでの間、アバウス伯爵領をどうにかしなくてはならない。ここで同行していたデブル枢機卿が驚きの提案をした。


「アバウス伯爵領についてですが、独立させてみればよろしいのでは?侵略国がよくやる手で、一旦侵略しようとしている国から特定の地域を独立させるのです。そして機を見て、独立した地域を併合するのですよ。そうすれば建前上は、独立国を併合しただけですから、相手国からしたら文句を言いにくい」


 教会内で派閥闘争に明け暮れていたデブル枢機卿ならではの発想だ。私たちは侵略国家ではないのだが、それでもこの案にはメリットがある。アバウス伯爵領が独立国となれば、ルキシア王国と国境を接しなくなる。また、オルマン帝国にもメリットがあるようだ。コウジュンがオルマン帝国関係者に説明をする。


「その案であれば、アバウス伯爵領を独立国として、正式にオルマン帝国と国境線を引く際にミスリル鉱山の利権をそちらに譲渡する条約を締結すればいいのではないでしょうか?当然、資金援助などの何かしらの見返りは必要でしょうが・・・」


 これにはヘクター辺境伯が賛成の意を示す。


「それはいい案だ。こちらもできる限り支援をしよう」


 現金なものだ。アバウス伯爵領が発展すれば、ヘクター辺境伯にも利益が入る。元々、ミスリル鉱山の利権を守ることが最優先だったからね。


「流石に私の一存では決められません。一旦、国に帰り、お父様と検討させていただきます」


 ブラックローズ公爵も賛成してくれた。


「聖女殿、我もオルマン帝国も皇帝陛下の許可をいただかなくてはならん。間違いなく、許可は下りるだろうがな」


 それからオルマン帝国関係者と2日ほど協議を行い、私たちは帰国することになった。


 帰りの馬車の中で、従者たちと話し合う。


「しかし、全く想像もしない展開になるとは、このコウジュン、軍師として恥じ入るばかりです」


「気にしなくていいわ。これは誰も思いつかないことだからね」


「そう言っていただければ有難いです・・・」


「それはそうと、どのようにアバウス伯爵領を復興していくかが問題ね。お金もない食料もない・・・」


「そこから奇跡の発展を遂げた国を私は知っております」


 コウジュンの発言にゴードンもエリーナも続く。


「そうですよ!!カレンお嬢様がいれば、なんでもできます」

「また、奇跡を間近で見られると思うと、ワクワクします!!」


 本当に従者たちは、私への評価が高い。

 ただ、嘘とハッタリだけで、ここまでやってきたというのに・・・



 ★★★


 聖都エルサラに帰還して、お父様や各部門の代表者に対して報告を行う。


「アバウス伯爵領の独立については承認しよう。すぐにアバウス伯爵を呼びだせ」



 5日後、お父様の命令で呼び出されたアバウス伯爵がやって来た。


「ど、独立ですか!?なんとも・・・」


「不満か?資金援助はしてやるし、復興の支援もする。オルマン帝国も協力してくれることになっている」


「分かりました。私たちに拒否権はなさそうですしね。何とも・・・前領主である兄が生きていれば大喜びしたでしょうね。私としては不安で押しつぶされそうですがね・・・」


 前アバウス伯爵領の領主は現領主の兄に当たり、法外な通行税を吹っかけて、私たちを含めた西側の領から搾取し続けていた。前領主には思うところはあるが、その地で暮らす領民には何の恨みもない。聖女としてではなく、普通に困っている人は何とかしてあげたいからね。


「とりあえず、カレンを派遣する。当然だが、カレンの身に何かあれば、そのときはそれ相応の報いを受けてもらう」


「この身に代えましても、聖女カレン様はお守りします。何卒、我が民をお救いください」


 まあ久しぶりだし、お父様の判断が間違ってなかったと、みんなに知らしめるために一発やっときますか!!


 私は聖女ガイアの幻影を出現させた。


「皆の者、よくお聞きなさい。私はアバウス伯爵領の民を救うために助力を致します。貴方たちもできる限りの支援をしておあげなさい」


 久しぶりの聖母ガイアの登場で、場は騒然となった。


「奇跡だ!!これで我が民は救われる!!」


 アバウス伯爵は涙を流していたし、なぜかゴードンまで涙を流していた。


 この後私と従者たちが、アバウス伯爵領に現地調査に向かうのだが、こんなことしなきゃよかったと思うくらい、アバウス伯爵領の状況は絶望的だった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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