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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第三章 聖女の建国記

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60 聖女、王都へ向かう

 王都ルキレシアのジョーンズ伯爵家別邸に来ている。ポールさんのお父さんで前ジョーンズ伯爵に挨拶をする。


「ポールから聞いているよ。本当にいいのかい?」


「はい、覚悟はできてます。でもこのお屋敷が・・・・」


「それは大丈夫さ。実は個人的にギャンブルで借金をしてしまってね。その担保で取られそうなんだ。ポールに言ったら、それも嵌められたんじゃないかって言ってたけどね。まあ、そういうことだから、僕はこれからオルマン帝国の南部に結婚式に行くからね。自由に使っていいよ」


 そう言うと前ジョーンズ伯爵は馬車に乗り、奥様とともに屋敷を後にした。


 ここからは気を抜けない。本当に命懸けだ。

 結局、私たちが出した結論は、王都で襲撃を甘んじて受けることにしたのだ。当然、殺される気なんてない。王都から逃げ延び、それを盾に交渉するのだ。そのために連れて来る従者を厳選した。

 ゴードン、コウジュン、エリーナの三名にファイリス様とジャヒーさんを加えたメンバーだ。ドロシーもアズイーサもゲディラも私と一緒に行きたいと言ってくれたが、安全に王都を離れるにはそうするしかなかった。特にアズイーサなんか武力はあるけど、コントロールが効かないくらいバーサーカー状態になったら、困るからね。


 ここに来る前に王城で手続きは済ませてある。

 ゴードンは護衛、コウジュンは執事、エリーナ、ファイリス様、ジャヒーさんはメイドということにしている。相手から見たら、全く戦力がなく、油断していると思うだろう。

 みんな緊張しているところ、ファイリス様だけは、あまり状況が分かっていないようだ。


「今日は何を食べるのじゃ?王都というくらいだから期待しておるぞ。しかし、なぜわらわがこんな変な服を着ないといけないのじゃ?」


 ファイリス様も一応メイド服を着させている。事情を説明したがイマイチ分かってないようだった。

 その後、ファイリス様のご機嫌を取るためにルキレシアの有名店を回ったが、ファイリス様の口には合わなかったようだ。


「あまりパッとせんな。早くエルサラに帰るぞ」


「もう少し滞在していただかないと・・・」


 そんな感じで、意外にのんびりと過ごせた。そして、ルキレシアに到着して3日目の夜に事件は起きた。

 ジャヒーさんが寝室にやって来た。


「聖女様、来ました。準備はよろしいでしょうか?」


「大丈夫よ。みんなも準備はできているよね?」


「もちろんです」


 いつ襲撃されてもいいように私たちはルキレシアに来てからは、いつでも動けるような恰好で眠っているのだ。ジャヒーさんによると暗殺者は10名、全員が暗殺者ギルドの所属で、中堅辺りの実力だそうだ。貴族令嬢一人を狙うにしては過剰戦力のように思われるが、私たちには勝てないだろうとジャヒーさんが言う。


「暗殺者と言ってもこのクラスであれば、暗殺の技術は高くても個人戦闘力はそこまで高くはありません。ましてや自分たちが不意打ちを喰らってしまっては為すすべもないでしょうね」


「分かりました。でも、油断はしないでくださいね」


 コウジュンが答える。


「手筈は整えています。ゴードンとエリーナはクリス様のお側に配置し、逃走した者を私とジャヒーさんの配下で拘束するようにしてます。お嬢様はこの部屋から決して出ないようにしてください」


 しばらくして、数人の足音が聞こえてきた。明らかに音を消そうとしている歩き方だ。守りは万全だと分かっていても、緊張する。もちろん、従者たちを信頼していないわけではないのだが・・・


 ゴードンが緊張している私に言う。


「お嬢様、このゴードンが死んでもお守り致します」


「それは駄目よ。死なないでよね。みんな無事にエルサラに帰るんだから」


「お嬢様・・・」


 エリーナが言う。


「ゴードン、集中して。もう来るよ」


 ゆっくりと、音を立てないようにドアが開かれた。覆面をした黒装束の集団が入って来る。私は打ち合わせ通りに魔法を唱える。


「ホーリーブライト!!」


 神聖魔法に見せかけた幻影魔法だ。本当に眩い光を出すだけなんだけど、使い勝手はいい。暗闇に目が慣れた状態で、急に眩い光を当てられると視界が奪われる。すかさずエリーナが投げナイフで暗殺者たちを無力化していく。

 とどめはゴードンだ。


「シールドバッシュ!!」


 盾を構えたゴードンは、そのまま突進し、5人一遍に暗殺者を弾き飛ばした。威力は絶大で、失神している暗殺者もいる。5人の暗殺者が逃亡したが、それは無視して床に転がっている5人の暗殺者を拘束していく。


 覆面を剥ぎ取り、尋問を開始するが当然口を割らない。

 結局、アレを出すことにした。幻影魔法で聖母ガイアを出現させて喋らせる。


「なぜ、襲撃が分かったのか、不思議そうですね。それは私がお告げを与えたからです。そして、貴方たちに言います。改心なさい!!こちらの聖女は絶対に貴方たちを見捨てることはありませんよ」


 暗殺者たちは、呆気に取られている。

 そんな中、暗殺者の一人である若い少女が話始めた。


「そ、そんな・・・本物の聖女様だったなんて・・・・依頼では、聖女の名を騙る極悪人だって聞いていたのに・・・」


 別の男が言う。


「おい!!そんなことを言うな!!どんな依頼でも受けたら最後まで仕事をしなくちゃ駄目だ。たとえ聖女様でも・・・」


 ここで、私が諭すように言う。詐欺師のテクニックとして、混乱しているときに畳み掛けるのがセオリーだ。この機会を逃すわけにはいかない。


「つまり、貴方方は騙されたということですね。暗殺が人の道に反することに変わりありません。しかし、いくら暗殺者でも矜持はあるはずです。このまま貴方方だけに罪を擦り付けるのは忍びない・・・貴方方に変わって、私たちが天罰を与えます。もちろん、正直に話してくれた方には、罪を償う機会を与えます」


 すると口々に暗殺者たちが話始めた。


 そして依頼主は教皇派の幹部の一人だと判明した。

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