6 聖女の領地改革 3
領地の改革は順調に進んでいく。私は13歳になっていた。従者も増えた。
特にコウジュン、ドロシー、ゲディラの活躍は目覚ましい。
軍師のコウジュンは大車輪の活躍だ。食料問題はほぼ解決したといっていいし、念願だったお米の栽培も成功させた。やはり元日本人にとってはお米は嬉しい。昨年から大豆の生産も始まり、今度は味噌と醤油も作る予定だ。
食べ物の話ばかりになったが、それだけではない。冒険者ギルドを呼び込み、放っておいても優秀な人材が集まってくる仕組みを作った。調査した結果、魔獣も多く、貴重な薬草も取れる土地だったので冒険者は順調に増えていく。もちろん収入もだ。
魔導士のドロシーは主に土木作業で貢献してくれた。お米の栽培に欠かせない治水事業も難なくこなしてくれたし、領都だけでなく、辺境の村のインフラ整備にも貢献してくれた。地方での地道な活動がメインなので、派手さはないが、信仰心を集めるのに最も貢献したのは彼女だろう。
ゲディラは、「鍛冶王」のジョブに恥ずかしくない活躍を見せる。様々な物を開発してくれた。特に大ヒットしたのは、揺れない馬車だ。前世の知識を基にサスペンションを搭載した馬車だ。私がアイデアを言っただけなのに「聖母様の啓示は凄いッス」とか言って、すぐに作成してくれた。かなりの売り上げを上げている。お得意様が上級貴族なので、領の財政は潤う。隣国のオルマン帝国からわざわざ買い付けに来る貴族もいるくらいだ。
三人の頑張りもあり、領の収支はプラスに転じていた。
ゴードンはというと最近元気がない。話を聞いてみると三人程活躍できてないのが悔しいようだった。それならばと武力を鍛えようと冒険者達に稽古をつけてもらっていたが、高ランクの冒険者には全く歯が立たないようだった。
まあ、13歳で高ランク冒険者に勝てたら苦労しない。
今日も領主館の庭で素振りをしているが、やはり元気がない。私はゴードンに声を掛ける。
「どうしたの?最近元気ないじゃない」
「お、お嬢様!!俺は駄目な人間です。コウジュン達のように貢献できていません。最近、自分はお嬢様の側にいる資格がないのではと思うようになったのです。努力しても全然報われないし・・・」
「何を言っているの。あなたは私の側にいてくれるだけで十分助かっているわ。それに前にも言ったけど、あなたは結果が出るのに時間が掛かると聖母ガイア様の啓示にもあったでしょ。今は結果が出なくてもコツコツと頑張るあなたを見捨てることなんてあり得ないわ」
「お、お嬢様!!もったいないお言葉ありがとうございます」
何とか元気が出たようで良かった。久しぶりにゴードンを鑑定してみるか。
最近判明したのだが、ジョブやスキルは変更されることが多々あるのだ。特に私のような一般職の者はコロコロと変わる。因みに私のジョブは「偽聖女」だった。「ニセイジョ?」初めて見たときはびっくりした。まあ、バレることはないだろうけど。
名前 ゴードン
年齢 13歳
ジョブ 「重戦士」
スキル 「剛力」「大楯の達人」
健康状態 良好
体力※※、知力※※、気力※※・・・・
「大楯の達人」?
スキルの説明を見ると「大楯を装備するとステータスが上昇し、大楯を使った様々な技が使える」とある。私はゴードンに尋ねる。
「ゴードン、あなたは楯とか使わないの?」
「はい、今のところは。親父と同じ大剣しか使ってません」
「そうなのね・・・」
なぜこのスキルが発現したのかは分からない。まあ、分からなくてもスキルを得られたんだから良しとしよう。後はどうやって、ゴードンに大楯を持つように伝えるかだけなんだけど・・・。
そうだ!!良いことを思いついたわ。
私はお付きのメイドにゲディラを呼んでくるように指示した。しばらくしてゲディラだけでなく、コウジュンとドロシー、それにお父様、お母様、手の空いた従者達がすべて庭に集合した。
「みんなどうしたの?」
お父様が答える。
「最近みんな分かってきたのさ。カレンが聖母様を降臨させるんじゃないかって・・・」
そうだ。私が聖母ガイアを出現させるときはいつもタイミングが良すぎるのだ。なので、みんな私の態度で気付いたのだろう。
よし、こうなったら私もみんなを喜ばせるためにやってやる。
私は聖母ガイアの幻影を出現させた。
今までと違うところは、聖母ガイアが喋るところだ。私の幻惑魔法の能力も上がってきている。ただ、人前でやるのはこれが初めてなので少し緊張する。
そして、聖母ガイアの幻影は話始めた。
「重戦士ゴードンよ!!大楯を持て!!その大楯で聖女を、そして人々を守りなさい。そして鍛冶王ゲディラ!!最高の大楯をゴードンに作りなさい!!」
ゴードンはというと泣き崩れ、ゲディラは「世界一の大楯を作ってやるッス!!」と叫んでいた。
1年後、ゴードンは冒険者ランクがBランクになった。冒険者はA~Fの等級に分けられており、Aランクより上のSランクの冒険者はいるにはいるがごくごく少数で、実質Aランクが最高ランクらしい。それを考えると、この若さでBランクは凄すぎる。
二つ名も着いたようで、「鉄壁のゴードン」とか「カチカチゴードン」とか言われるようになる。個人的には「カチカチゴードン」の方が好きなのだが。
この時思いもしなかったが、後に「聖女の楯ゴードン」という演劇ができるくらいにゴードンは活躍することになる。今回の出来事は、聖母ガイアから啓示を受ける名シーンの元となるのだが、それはまた別の話だ。
★★★
ゴードンも無事立ち直ったし、めでたしめでたし。
不意に枕元の聖母ガイア像を見た。全身が金色に輝いている。あれ?もう信仰心が溜まったの?
私が聖母ガイア像に触ると転移した。
私が初めて聖母ガイアに会ったあの場所だ。今回も本物の聖母ガイアが立っていた。聖母ガイアは言う。
「こんな短期間で成果を出すとは、流石私が見込んだ聖女だわ。少しお話ししましょうか?」
私も話がある。もう人を騙すのは止めたい。
今回はキチンと言おう。
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