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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第三章 聖女の建国記

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59 聖女、火龍ビジネスを始める 2

話しは遡る。


ブラックローズ公爵は、アズイーサの廃嫡を取り消そうと考えていた。神聖騎士団をまとめ上げ、「神聖魔法」と「上級回復魔法」を習得したのだから、功績は十分だ。表向きは、私の元に修行に出したことになっているが、本人はトルド男爵領の出来事を気にして、実家には全く帰っていなかったのだ。


「だったら、過去の出来事が吹っ飛ぶくらいの演出を私達がプロデュースしますから!!」


そう言って啖呵を切った私が考えたのが、今回のファイリス様を使ったパフォーマンスだ。いくら帝国の上位貴族だからって、ドラゴンなんて見たことがないだろうし、しかもそれに乗って登場するなんて思いもよらないだろう。


これだけでも凄いことなのだが、今回は更に演出を加える。

ファイリス様が鱗をブラックローズ公爵に手渡した。


「アズイーサには世話になっておる。これは礼じゃ。受け取るがよいぞ」


「これはご丁寧に・・・礼を言う」


これだけで、ブラックローズ公爵の権威は爆上がりだ。だって、傍目には孫がドラゴンを従えているように見えるからね。


しばらくして、ブラックローズ公爵とアズイーサは歓談を始める。


ファイリス様はというと、その場から飛び去り、近くの森で美少女の姿になって、再び会場に戻って来た。そして、アンジェリカさんが寿司を提供するために作ったブースのカウンターで、寿司を一心不乱に食べている。


「これで、こんな寿司が食べ放題なんて、止められんのじゃ。アンジェリカよ、どんどん握ってくれ」


「はい!!じゃあ、マグツナの希少部位を続けて握りますね」


「うむ、それは楽しみじゃ」


ファイリス様は美少女なだけに、多くの殿方に熱い視線を送られているが、誰も声を掛けようとはしない。鬼気迫るファイリス様の食べっぷりに圧倒されているからだ。


しばらくして、壇上にブラックローズ公爵とアズイーサが上がる。


「我はここに宣言する。我が孫アズイーサを正式に後継者候補として認める」


これには会場がどよめく。

アズイーサが後継者候補となたったことで、貴族たちの勢力図は変わってしまう。今は後継者候補だが、仮にアズイーサが本当に後継者となった場合、アズイーサを冷遇したり、嘲笑していた者たちは排除され、逆にドルト男爵やドーン伯爵のような普段から懇意にしている者たちは優遇されることは、誰の目にも明らかだ。


厚顔無恥な貴族は、早速アズイーサにおべっかを言いに行く。

流石のアズイーサも困惑気味だ。


そんなアズイーサに声を掛ける。


「アズイーサ、貴方の頑張りが聖母様に認められたのだと思います。もう私の元に居る必要はありません。ブラックローズ公爵家に戻るなり、オルマン帝国軍に仕官するなり、好きに生きて構いませんよ。短い間でしたが、ありがとうございました」


これにアズイーサは驚きの返答をする。


「聖女様、何を言っておられるのですか?我が貴方の側を離れることなどありません。ブラックローズ家の当主となるよりも、我は聖女様にお仕えすることを選びます。ですから、お祖父様、この話は・・・」


言いかけたところで、ブラックローズ公爵が遮る。


「アズイーサ!!すぐに決めずともよい。お前はまだ若い。しっかり聖女殿の側で経験を積むがよい。それからでも遅くはないぞ。聖女殿、これからもアズイーサを頼みます」


「そ、そうですね・・・はい」


まあ、断れるはずもないのだけど。


それからもパーティーは続き、そのままブラックローズ公爵邸で一泊した後、クレメンス子爵領に帰還することとなった。


今回の収益だけで、ファイリス様を3年は養える。

でも、なるべく出費を抑えたいので、低コストで量があり、更に美味しい料理をアンジェリカさんに開発を依頼している。もし開発が成功すれば、ファイリス様だけでなく、多くの領民が喜ぶことになるからね。



★★★


半年に一度でも、ファイリス様を使ったパーティー商法ができればかなり収益が上がることが分かった。これで、予算的な関係で当面は頭を悩ますことは無くなるだろう。

しかし、一難去ってまた一難というように、私が王都に行く日が近付いている。その準備もしないといけない。


そんなときにジャヒーさんが訪ねて来た。ジャヒーさんは魔族の女性で、ジョーンズ伯爵領の諜報部隊兼アルボラの幹部もしている。


「実は王都で不穏な動きがあります。聖女様の暗殺計画です。ジョーンズ伯爵家別邸に暗殺者を仕向けるようなのです」


従者たちは唖然となる。

ゴードンなんかは、かなり狼狽えている。


「もう王都行きはなしにしましょう。そうしましょう」


ただ、そうもいかない。王国側にクレメンス子爵領を攻める口実を与えてしまう。それは避けたい。


「暗殺部隊来ると分かっていれば、何とか対処法があるわ。それにその情報だけで王都に行かないというのはあり得ない。それと、このことはお父様やお母様には内緒にしてください。絶対に反対するから・・・」


こんな情報を知ってしまったら、お父様が代わりに行くとか言うだろう。しかし、そんなことはさせたくない。だって前世で私は両親を失っているから・・・・


ここでコウジュンが言う。


「詳しい相手の戦力、そしてこちらの防護策、それに王都からの逃走経路などを検討し、カレン様の安全が確保できるのなら、王都行きには賛成します。まだ、王都行きまでに時間があるので、それまでに対策を練りましょう」


「そうしてください。連れて行く従者も厳選します」


これがきっかけで、私たちは王国や教会と全面的に衝突することになるのだった。

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