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5 聖女の領地改革 2

1年が経ち、私は11歳になった。

軍師のコウジュンと魔導士のドロシーを加えた私は、更に優秀な人材を確保しようと地方の村にも視察を開始した。

変わったこといえば、コウジュンとドロシーが視察に同行するようになったのと、お父様が視察用の馬車を用意してくれるようになったことだ。


これはコウジュンのおかげで多少食糧問題が解決したことによる。ジャガイモを生産するようになったのだ。輪作障害に注意すれば、荒地でも栽培可能で小麦に比べて面積当たりの収穫量も多い。最初は敬遠していた領民達も、私がまたまた聖母ガイアを降臨させて「神の意志で作られた尊い食べ物」といったことで、大きく広まった。そのお陰で、この冬の餓死者はでなかった。

因みにフライドポテトとジャーマンポテトのレシピを料理人に教えた。これも「夢で啓示があった」と言えば一発だった。これはクレメンス男爵領の名物となった。どちらも単純な料理だけど、奥が深いからね。


そんなことを思いながら、私は馬車に揺られている。

隣ではゴードンとコウジュンが言い争いをしている。いつものことだ。


「俺はお前達姉妹が視察に同行するのに反対だ。今でも初対面のときの態度は許してないんだからな」


「それは何度も謝罪したはずですよ。それに忠誠心ということであれば私とドロシーの右に出る者はいません」


「それじゃあ、どれだけお嬢様に忠誠を誓っているか証明して見せろ!!まず俺が忠誠心を示してやる。お嬢様は綺麗で、美しくて、優しくて、気高く・・・それから・・えっと・・・綺麗で可愛いんだ」


「綺麗を2回言いましたよね。それなら私がお嬢様を称えましょう。聖母ガイアの祝福を受けた聡明なお嬢様は、領地改革に乗り出し・・・・貧民にも分け隔てなく接する姿はまさに聖女の中の聖女・・・」


コウジュン!!もうやめて、恥ずかしいから。それにゴードンも重戦士が軍師に口喧嘩で勝てるわけないのに・・・・。


「薄っぺらな言葉を並べ立てても駄目だ。言葉じゃないんだ!!」


これは敗北宣言にも等しい。


「兄さんもゴードンももうやめてよ!!もうすぐ視察する村に着くんだから!!絶対に領民の前で喧嘩しないでよね。恥ずかしい思いをするのはお嬢様なんだから・・・」


ナイス!!ドロシー。



視察する村に着くといつも通り、情報収集と鑑定、「癒し」スキルなどを使って領民と交流していく。ゴードンは私にべったりだが、コウジュンとドロシーは食糧事情やインフラ関係を重点的に視察していた。

そんなとき、村長と村人の会話が耳に入る。


「おい!!ゲディラには家から一歩も出るなとちゃんと言ったんだろうな?」

「もちろんですよ。腕はいいんですが、変り者で半端者ですからね」

「ハーフドワーフか・・・ドワーフでも人間でもない半端者は聖女様に合わせられるわけないんだよ」

「でも結構いい体してるんですよ」


会話を聞く限り、ゲディラというハーフドワーフは女性で、腕のいい鍛冶師のようだ。そう言われると会いたくなるのが人間のさがだ。私は村長たちが止めるのも聞かずにゲディラの家を訪ねた。戸を叩くとボサボサの髪で、小柄だがグラマラスな女性が現れた。


「あんた誰ッスか?」


「申し遅れました私はカレン・クレメンス。領主である父の名代としてこの村に視察に来たのです」


「ああ!!噂の聖女様ッスね」


ここで私はさりげなく鑑定を行う。


名前  ゲディラ・ヒラガ 

年齢  30歳

ジョブ 「鍛冶王」

スキル 「鍛冶」「開発」「改造」

健康状態 良好

体力※※、知力※※、気力※※・・・・


「鍛冶王」だって!!上級職じゃないの。これは勧誘するしかない。


「あなたを召し抱えるように聖母ガイアのお告げがありました。私と一緒に来てもらえませんか?」


「いいッスよ。聖女様が帰るのに合わせて一緒に行きましょうか?」


今回はすんなりいった。それにすぐに連れて帰れそうだし。

そう思っていたら、熱い視線を感じた。コウジュンとドロシーだ。多分、「あの感動をもう一度」的に期待しているんだ。

はいはい、分かりましたよ、やればいいんでしょ。


私は「幻惑魔法」で聖母ガイアの幻影を出現させる。


「聖母ガイア様のお言葉です。『あなたの鍛冶師としての才能を世のため人の為に生かしなさい』」


「よく分かんないんスけど、作りたいものを作ればいいんスよね?」


「あっ、ハイ。そんな感じで・・・」


ゲディラには感動の場面とはならなかったが、コウジュンとドロシーそれにゴードン、その他の村人にとっては感動的で人生で忘れられない場面となっていた。



その日はその村で一泊した。豪華なもてなしはいらないと言ったが、村長以下村人は譲らず、宴を開いてくれた。私は聖女として、村人達が群がってくる。気分のよくなった私は、回復魔法や「癒し」のスキルを使ってあげた。それにお手製のジャーマンポテトを振舞う。ジャガイモと玉ねぎ、ベーコンを炒めるだけだから特殊なスキルはいらない。

常時発動している「魅了」のスキルもあり、更に私の人気は高まったみたいだ。


そんな感じで夜も更けてきたところで、ゲディラが声を掛けてきた。初対面のときとは違い、少し神妙な顔をしている。


「聖女様、本当にいいんですか?ウチみたいな半端者を従者にして」


この世界ではそうかもしれないが、前世の考えではハーフなんて憧れる。中にはいじめられる人もいるみたいだが。


「聖母ガイア様の前では種族の優劣はありません。すべて平等です。この世界にハーフに対する差別があるのは認めます。もしそんな世界の不条理をなんとかしたいなら、私の元で力を振ってみたらいかがでしょうか?」


ゲディラは一瞬固まった後、涙を流す。


「分かったッス!!一生聖女様に付いて行くッス」


この様子を見ていた従者や村人たちも感動している。

村人達も口々に言う。


「ゲディラ。今まで冷たくして悪かった」

「そうだ聖母様の前ではすべて平等だ」

「私は村長として、聖母様と聖女様の教えを守っていきます」




視察が終わり領主館に帰還した。お父様とお母様にゲディラを紹介した後、自室に戻り、聖母ガイア像を確認する。胸のあたりまで、黄金色になっていた。


結構、信仰を集めるのって、案外チョロいのかもしれない。

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