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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第二章 聖女、ビジネスに励む

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32 聖女、魔物を騙す

私の「残って最後まで戦う」発言で、従者たちはおろか、ダリアを含めドルト男爵領の重鎮達も感動している。まあ、士気をあげるのは得意分野だ。後は従者達に任せればいい。


「コウジュン、策はあるの?」


コウジュンは「軍師」なだけあって、もう色々と策を練ってくれている。


「まず、基本戦略として防衛戦は変わりありません。では、どこに防衛ラインを敷くか?ということになります。先日、聖女様より大きなヒントを頂きました。そこで、この辺りに防衛ラインを敷いてはどうでしょうか?」


コウジュンは地図を示す。

ダリアも他の側近達も険しい表情になる。


「こ、これでは農地の半分が使いものにならなくなる。今後のことを考えると・・・・」


それは分かるけど、今はそれどころじゃないし。それに火山地帯でも育つ植物は結構あるし、痩せた土地で他の領と同じような作物を作るよりも、ここでしか作れない物を生産したほうが、絶対にいい。

まあ、すべてはこの問題を解決しなければ終わりなんだけど。

私は言う。


「まずは今後のことよりも今です。たとえ食糧難となっても、ドーン子爵が見捨てるとは思えません。当然私達も支援します」


「分かりました。それで行きましょう。領民達は私が説得します」


「それでは、作戦を言いますね」


コウジュンの説明を聞く。

なるほど、私の役割も分かった。



★★★


コウジュンの作戦は、3重の防衛戦を敷くことにあった。まずは防壁を3重に作る。こちらはドロシーの独壇場だ。次々と防壁を土魔法で作っていく。


「私に取ったら通常業務ですね。それに補強やなんかはこっちの人がやってくれるので楽なもんですよ」


防壁の前には、私が発案した小さな池をたくさん作り、そこに「バーニングボール」を入れて湯気が発生するようにして、相手が混乱しているところを弓で狙い撃ちにする作戦だ。

ここの地域は狩人が多く、弓の名手も多い。ダリアもジョブは「狩人」で「強弓」のスキルを持っていた。当然、フレイムグリズリーに弓は効かないと思うかもしれないが、そこはゲディラ特製の爆発する魔石を鏃に取り付けているので、かなり効果があるだろう。実験では、至近距離で確実にヒットすれば、吹っ飛ばすことができるみたいだった。


ゴードンは近接戦闘部隊の訓練指導、エリーナはこちらもゲディラ特製の小型投石機の運用を指導していた。

ダリアが言う。


「その辺の石ころと同じような扱いをしていたクズ魔石にこんな扱い方があったなんて・・・これならこの領の名産品になります。これもすべて聖女様のおかげです」


この地域は火山地帯だけあって、爆発する魔石が大量に取れる。私に感謝されても・・・・見付けて、活用できるようにしたのはゲディラだし。

みんなそれぞれ活躍している。


そんなとき、コウジュンが懸念点を言ってきた。


「後はフレイムグリズリーに棲み処を奪われた魔物がこちらにやって来て、フレイムグリズリーと戦闘をする前に無駄に消耗するかもしれません。何とか追い払うような方法があればいいのですが・・・」


「ちょっと私がやってみるよ。成功するかどうかは分からないけど」



★★★


私はエリーナに頼んで、ミニサラ達ミニサラマンダーを1箇所に集めてもらった。私はミニサラマンダー達に向かって「幻影魔法」を繰り出す。


「どう?似てる?」


「うーんもちょっと、大きいそうです。それと顔がもう少しシュッとしているみたいですね」


私は、ミニサラマンダー達の守護者だった火龍を「幻影魔法」で再現していたのだ。なぜかというと、その幻影を見せれば、魔物達は恐れて逃げるのではと考えたからだ。


エリーナには「幻影魔法」とは言わず、異界から召喚したと誤魔化している。私が「幻影魔法」の使い手と分かると今までの聖母ガイアの奇跡すべてが大嘘だと気付かれてしまう。普通に考えれば怪しむところだが、エリーナは純粋で、しかも私のことを信頼しきっているので、何とかなりそうだった。


まあ、ある程度似ていればいいんだけどね。


「次は鳴き声ね。こんな感じでどう?」


「結構似ているそうですよ」


「じゃあ、こんな感じで。次はブレスね」


こんな感じで詳細を詰めていく。最後のほうはミニサラマンダー達も納得の出来栄えで、幻影に懐いてくるミニサラマンダーもいたくらいだ。


「エリーナ、このことは私達二人だけの秘密ね」


「それはもちろんですが、こんな素晴らしい能力があるのになぜ秘密にしてるのでしょうか?」


「それはね、いくつか理由があるの」


これは騙しのテクニックでもあるのだが、理由をいくつか設定する。そうすれば一つの理由がつぶれても、なんとか誤魔化しがきく。


「まずは、今のところ、姿形や声ぐらいしか召喚できないのよ。まあ、不完全な状態ね。それと、この術はかなり負担が激しいのよ。できればあまり使いたくないの。でも今は非常事態だから、多くの人達の命がかかっているから・・・・」


エリーナは涙を浮かべている。

騙しやすくていいのだが、罪悪感を覚えてしまう。


「それでね、一番の理由はこの術が危険すぎるからよ。私がドラゴンをポンポン召喚できると分かればどうなる?軍事目的で利用されることは目に見えてるわ。下手したら戦況が一変するくらい。分かるでしょ?エリーナ」


「十分理解しました。このことは絶対に口外しません。それと、絶対に無理はしないでくださいね」



★★★


実際に森で魔物に対してやってみた。幻影のドラゴンを出現させ、雄たけびを上げるだけで多くの魔物が逃げていった。それでも逃げない魔物には幻影のドラゴンにファイアブレスを吐かせ、そのブレスに合わせてミニサラ達に「バーニングボール」を撃ってもらう。

これは効果抜群で、強そうな魔物も一発で逃げていった。


私とエリーナはこの方法で、魔物を追い払い続けた。数日後、コウジュンがやり方を教えてほしいと言ってきたが、エリーナが私に変わって断ってくれた。


「カレン様は身を削って対処されています。それも誰にも言えないような方法で・・・これ以上は・・・察してください」


コウジュンは私が悪魔か何かを召喚しているとても思ったかもしれない。でも、エリーナの真剣な態度にこれ以上追及してくることはなかった。


しばらくは、それでなんとか持っていたが、とうとうフレイムグリズリーの群れがやって来た。

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