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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第二章 聖女、ビジネスに励む

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31 聖女、決断する

三頭のフレイムグリズリーが居た場所は元々は森だったようだ。フレイムグリズリーは全身に炎を纏っているため、それが木々に引火して、森が焼けて焼失している。ゴードン達は戦う気満々みたいだ。


とりあえず鑑定してみた。


名前  なし

種族  フレイムグリズリー

スキル 「ファイアブレス」「突進」「ファイアクロウ」


「ブレス攻撃があるから気を付けて。後は熊型の魔物と同じで突進攻撃と爪で攻撃してくるから」


私のアドバイスが効いたのか、ゴードンが盾となりブレスを受けながら間合いを詰めていく。ゴードンに攻撃が集中したところで、ドロシーの土魔法、エリーナの「マジックブーメラン」などで攻撃をする。マジックブーメランは「キラージャグリング」のスキルを持つエリーナ用にゲディラが開発したブーメランで、魔法が付与されており、どこに投げても手元に戻ってくる使用になっている。

エリーナはマジックブーメランだけでなく、ナイフも投げてダメージを与えている。

フレイムグリズリーがエリーナやドロシーに向かって行くと、ゴードンが上手く間に入って攻撃を受ける。

流石は「大楯の達人」のスキルを持つだけのことはある。


しばらくそんな攻防が続く。途中、シェルドンが「ウォーターキャノン」を放ったが、威力が最大でも消防車の放水程度なので、フレイムグリズリーは嫌そうにしていたけど、ほとんどダメージは与えられなかった。フレイムグリズリーの体に纏った炎と反応して湯気になる位だった。


そこから30分以上は戦っただろうか、何とか3匹を討伐することができた。

私も思ったことをコウジュンが解説してくれる。


「ゴードンの防御力もエリーナの投擲攻撃もドロシーの土魔法も一級品だと思います。しかし、このパーティーでは火力が圧倒的に足りない。高火力のアタッカ―が欲しいですね」


それはそう思う。3匹倒すだけで、ここまで時間がかかるのだから、大群となると私達だけでは太刀打ちできないだろう。それに親玉のヘルフレイムグリズリーともなると・・・・考えただけでもゾッとする。


そんなとき、シャイナさんが叫ぶ。


「みんなあっちを見てください。かなりの大群が迫ってます。それにあのデッカイのは・・・」


シャイナさんは感知能力に優れているようで、私達は目を凝らして見ても、何かの集団がこちらに迫っていることしか分からない。しかし、その中で一際大きい個体がいる。1キロ以上は離れてれているのだが、それから考えても10メートル以上の大きさには見える。多分あれがヘルフレイムグリズリーだ。


とにかくここから離れないといけない。しかし、討伐したフレイムグリズリーの死体は処理したい。多分、討伐したのは本隊とは別の偵察部隊だと思うのだけど・・・・。

コウジュンは言う。


「何とかして死体は持ち帰りたいですね。ゲディラに分析してもらいたいし、自分達の脅威となる相手がいることをまだ知られたくない」


私は考える。何か相手が追って来れない方法を考えないと。

あっ、そうだ!!


「ドロシー、土魔法でバスタブくらいの大きさの穴を地面に数か所掘ってくれる?それができたら、シェルドラに穴に水をためるように指示して」


ドロシーとエリーナは私の指示通りに動く。ドロシーの土魔法とシェルドンの「ウォーターキャノン」で地面の穴に水が満たされていく。


「エリーナ、ミニサラの「バーニングボール」を穴に一つずつ入れていって!!」


エリーナは訳が分からない感じだったが、ミニサラに指示している。コウジュンはもう気付いているようだった。


「つまり、湯気を発生させて、人口の霧を作るんですね。感服しました」


「バーニングボール」はファイアボールくらいの威力しかないが、一つだけ違いがある。魔力の込め方にもよるが、最大で30分くらいは例え水の中でも燃え続ける。これを消そうとすると高火力の氷結魔法が必要なくらいだ。

ミニサラの能力の無さにガッカリしていたエリーナを励ますため、色々と試行錯誤した結果、「バーニングボール」の有用性に気付いたのだ。

エリーナはミニサラとシェルドンを嬉しそうに褒めている。


「じゃあ、みんなで手分けして運ぶわよ」


ゴードンとシェルドンが1匹ずつ、コウジュン、ドロシー、シャイナさん、エリーナで1匹を運ぶことになった。動きは遅いけどシェルドンは力持ちなのだ。

途中、吸血スライムのキューちゃんが血抜きをして、多少は軽くなったようだが、キューちゃん自体は重くなっていない。一体どこに血液が消えたかは謎だ。


私はというとミニサラとキューちゃんを肩に乗せて移動している。私もフレイムグリズリーの搬送を手伝おうとしたところ、止められたので、仕方なくこうすることにした。

二匹を撫でて褒めてあげると、「キュー」と鳴き声を上げて、嬉しそうにしている。



★★★


強行軍で帰還し、ダリア達に状況を伝える。


「もう猶予はない・・・・そういうことですね」


ダリアが悩んでいるところで、ドーン子爵領に送っていた使者が帰還した。使者がはすぐに報告する。


「ドーン子爵からの伝言です。「援軍を準備する。厳しいが耐えて欲しい」とのことでした」


それはそうだろう。領民すべてが逃げてしまったら難民の支援で大変なことになるし、誰も自分の領を戦場にしたくはない。ただ、援軍は出してくれる。そうしないといずれ自分達も被害を受けることは分かりきっているからだ。


「もう戦うしか選択肢はないということですね。分かりました。私も領主です。最期までこの地に残り戦います。女性や子供、各家庭の長男の避難は可能かどうか、隣領に打診してください。

それと聖女カレン様、数々の助言、偵察などの危険な任務で我らを助けていただきありがとうございました。後は我らで戦います。聖女様はどうか、この地をお離れください。聖女様に何かあれば、ルキシア王国にも顔向けできません」


そんなことを言われて、「ハイ、帰ります。みんな頑張ってください」って、言える雰囲気ではなかった。


「ダリアさん、貴方の民を守ろうとする姿勢には感動いたしました。私は危機が去るまでこの地に残り、貴方達とともに最後まで戦います。ここに私達が来たのも聖母ガイア様のお導きでしょう。

聖母ガイア様の祝福があらんことを!!」


私は全く勝算がないわけではない。私がこの地に残って戦うと言えば、早急に援軍が来る、それも大量に。

だって、ただでさえ名誉を重んじるオルマン帝国貴族だし、それにドーン子爵の寄親はオルマン帝国の武を司るブラックローズ公爵家なのだから、「聖女を見捨てたとあっては末代までの恥」というだろう。

なので、どうにかして援軍が来るまで持ちこたえればいいのだ。


それに優秀な従者がいるしね。

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