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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第二章 聖女、ビジネスに励む

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23 聖女、旅に出る

ここまで私が教会関係の権力争いに力を入れている理由は自己防衛のためだ。当初は「親孝行できれば、それでいいか」程度に思っていたが、そうはいかなくなった。

なぜなら、私が力を持ちすぎてしまったからだ。聖女としての影響力は増大し、下手したら暗殺される可能性も出てきた。なので、聖母教会の中でも力を持つ必要が出てきたのだ。


今日もコウジュン、デブル枢機卿、ウサール枢機卿、フローラ枢機卿の代理のヤサク司祭で定例会議をしている。フローラ枢機卿はテティス研究のため、しばらく帰ってこないそうだ。今もウサール枢機卿が発表をしている。


「神官騎士達は日々ダンジョンに挑み、鍛錬を続けています。しかし、最近急に罠が解除できなくなったのです。以前は我が騎士団ナンバー3の女性の神官騎士の血を捧げれば解除できたのですが・・・」


多分、その女性の神官騎士に春が来たのだろう。アレではなくなったということだ。


「それでは、外部から女性の血をもらったらどうでしょうか?獣人の冒険者などいいかもしれません」


「そうですな。そうしてみます。どんな種族も分け隔てなく聖母様の愛が・・・・」


勝手に盛り上がっているので放っておこう。


次にデブルが発表する。


「現在のところ、テティス派がこちらの支持に回ってもらえれば、確実に過半数を取ることができます。私としては、テティス派との協力関係を強化していただきたいと思っております」


ポールさんが派閥の長を務めるテティス派は、私達の傘下ではない。あくまでも協力関係にある派閥だ。視察を兼ねて、一度ポールさんのいるジョーンズ伯爵領に訪問してもいいかもしれない。




★★★


交渉の結果、ジョーンズ伯爵領に訪問することが決まった。まず、連れて行く従者はゴードン、エリーナ、コウジュンだ。教会関係者はデブル枢機卿夫妻だ。デブルの妻スガクールは演劇の関係でポールさんと親交があり、今回も新作の件で直接アドバイスをもらいたいということで、同行することになった。デブルと同じくふくよかな50代の女性だ。

それと、エリーナ率いる龍騎士団からもシェルドンを筆頭に5匹のシェルドラゴンを帯同している。ただ、この騎士団が他と違うところは、自分達だけで移動できないところだ。移動速度がかなり遅いので専用の馬車で移動させている。

今回連れて行くのも大道芸人エリーナの公演のためだ。


ジョーンズ伯爵領に着くとポールさんとアンジェリカさんが迎えてくれた。すぐにポールさんの両親を紹介された。ポールさんの父が現ジョーンズ伯爵家の当主なのだ。

ジョーンズ伯爵は40代だが、かなり若く見え、カッコいい。ポールさんと同じ金髪青目だ。それに気さくだった。


「聖女カレンさん、よく来たね。ゆっくりしていってよ。最近、領の関係はすべて息子夫婦にやってっもらってるんだ。だから、僕達のことはお飾りだと思っていいから・・・・」


「は、はあ・・・」


「僕が口を出すと、また領の財政が傾くからね」


ジョーンズ伯爵が言うには、この領の財政などを立て直したのはポールさんとアンジェリカさんらしい。ジョーンズ伯爵は、オルマン帝国貴族の流れを組む方で、かなりの無駄遣いをしていたらしい。それをポールさん達が立て直したそうだ。

我がクレメンス男爵領の財政関係も取り仕切っているコウジュンはこの話を興味深く聞いていた。コウジュンの勉強にもなって連れてきて良かったと思う。


しばらくして食事会が始まる。

懐かしいあの香りが漂う。ああ・・・これは、まさか・・・。


恋焦がれていたカレーだった。こんなところで、これを食べられるなんて。

本当にごく普通のカレーだった。グレートボアの肉、玉ねぎ、ニンジン、そして我がクレメンス男爵領の特産品であるジャガイモが入ったもので、本当に懐かしい味がする。

私は自分が貴族の娘で聖女設定なのを忘れて、一心不乱にカレーをかきこんでしまった。

アンジェリカさんが言う。


「気に入ってもらって何よりだわ。これも私の故郷の料理でカレーというのよ。クレメンス男爵領のお陰で必要な材料がそろったので作ってみたのよ。おかわりもあるからね」


ゴードンも言う。


「それでは遠慮なく!!以前に頂いたトンカツをこの上に乗せれば美味しいと思うのですよ。これは大発見ではありませんか?」


ゴードン!!そんなドヤ顔で言われても・・・。みんなが考え付くことだから。


「ゴードンさんは分かっているわね。当然用意してるわよ!!」


アンジェリカさんはカツカレーも用意してくれていた。最初にカツカレーを出さなかったのは、カレーの味を中心に味わってほしかったからだという。私も2杯目はカツカレーにした。この世界でこれも食べられるなんて、嬉しすぎる。


更に嬉しいことは続く。


「良かったらこれを持って帰って」


アンジェリカさんが手渡してきたのは、なんとカレー粉だった。


「私クラスになると具材に合わせて、スパイスを調合するんだけど、初めての人にはこれが使いやすいかなと思ってね。実はカレー粉を作るのにフローラさんにも協力してもらったのよ」


有難い。あの研究馬鹿のフローラ枢機卿がこんなところで役に立つとは思わなかった。次の日エリーナと一緒にアンジェリカさんからカレーの作り方を教わることになった。知っているかもしれないが、二日目のカレーも美味しいのだ。

なぜか分からないが私の両親も日本食が大好きだ。領地に帰ったら作ってあげよう。


★★★


食事会が終わった後、私だけ、ポールさんとアンジェリカさんに呼び出された。


「カレンさん、どうしても話しておきたいことがあるのです。信じられないことがあるかもしれませんんが、聞くだけはきいてください。それで、私達と袂を分かつことになっても、それはそれで仕方ないと思っています」


何やら雲行きが怪しい。


そしてこの後、私はこの二人から衝撃の真実を聞かされることになる。

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