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2 聖女のスキル

目の前の女神に私は聖女になる資格なんてなく、人違いであると何度か説明しようとした。しかし、無駄だった。


「女神様!!ちょっと話を聞いてください。私は聖女になる資格なんてありません。なぜなら、私は結婚詐・・・」


また、話を遮ってくる。


「女神様なんて呼ばなくていいわ。ガイアよ。これからあなたが転生する世界では、聖母様とか聖母ガイアとか呼ばれているわ。若く見えるかもしれないけど娘だっているのよ。えっと・・・ところで何の話だったっけ?

そうね。いきなり転生とか使命とか言われてもびっくりするわね。それじゃあ、まずは転生特典について話をするわね」


そんな感じで、私の話を聞くこともせずにどんどんと話が進められていく。私はもう説明することを諦めた。


「まずは、これを見て」


聖母ガイアがそう言うと、目の前にタブレットのような物が出現した。そこにはジョブとかスキルとか言う文字が浮かび出ていた。


「今回のあなたのように、神の意志で転生する者にはジョブとスキルを自由に選べるの。ジョブは聖女に決まっているから、それでいいとして、スキルはこの場で選んでね。私の話を聞きながらでいいからスキルを確認して・・・・・」


タブレットを確認するとたくさんのジョブとスキルが表示されている。ジョブを確認すると聖女、剣聖、賢者といった上級職、魔導士、僧侶、戦士といった専門職、村人、貴族といった一般職が存在する。

上級職はかなりのスキル補正がかかり、専門職はどれか一つの能力に秀でている。一般職は特にスキル補正がかからないらしい。


スキルについては、剛力、剣技、水魔法という項目が表示されている。これから判断すると多分、私が転生するのは、剣と魔法の世界のようだ。

聖母ガイアは言う。


「すべてのスキルを選択することはできないから注意してね。今、表示されているポイントを割り振ってもらうようになるからね。ジョブにもポイントを割り振るんだけど、今回は私の力で聖女決定だから、ジョブにポイントを割り振る必要はないわ。

あれ?100ポイントしかないじゃない!!意外に少ないわね・・・・」


つまり私は、この100ポイントを割り振って、スキルを獲得するのだ。

念のため、上級職を確認する。どれも一律500ポイント必要だ。通常では選択できないジョブを選択できるということだろう。

聖女のジョブの説明欄を読むと「回復魔法、治癒魔法に大きな補正がかかる。努力次第で、最高の回復術士となれる」と書かれてあった。


聖女の特性にあったスキルを選択するのが賢いやり方なんだと思った。生前私はゲームマニアで、こういったことには凝るタイプだった。念のため、すべてのスキルを確認する。面白い項目があった。

様々な偽装スキルだ。

「ジョブ偽装」「ステータス改ざん」「幻惑魔法」「魅了」・・・・といったものが表示されている。生前の私にピッタリのスキルだ。異世界で結婚詐欺でもやってやろうか?


そんなことを思いながらスキルを見て見ると「鑑定」というスキルがあった。説明には「人や物を鑑定して、その能力や性能を把握することができる」とある。商人なんかは欲しいスキルだろう。50ポイントと所持ポイントの半分を使ってしまうが、私はまず、このスキルを選択した。

理由は詐欺をするにあたって、相手のステータスが分かればこれ程楽なことはないからだ。そのとき私は、異世界で結婚詐欺でもしてやろと本気で思っていたのかもしれない。


そんなときまた、聖母ガイアが声を掛けてくる。


「ちょっと、ちょっと!!いつまで悩んでるのよ。こっちは時間がないのよ!!聖女なんだからスキルなんて何でもいいのよ。ちょっと貸してみなさい」


聖母ガイアは私からタブレットをひったくると適当にスキルを選び出した。

結局、その時、一時保存していた「ジョブ偽装」「幻惑魔法」「魅了」が選ばれてしまった。ポイントはどれも10ポイントで、あまり有効なスキルとは言えない。


「それと使命についてなんだけど、聖女として私の信者を増やしてほしいの。信仰心の合計が一定数を超えると、これから渡す聖母ガイア像が黄金に光り輝くからね・・・・」


聖母ガイアの説明によると私の使命は聖母が管理する世界において、聖母ガイアの信仰を広めることらしい。信仰心が一定値に達すると、今回の転生イベントのようなことが起こり、そこでまた、具体的な指示をしてくれるとのことだった。そのときに願い事を一つ叶えてくれるという。

もらった聖母ガイア像がその目安になるようだ。


それにしても聖母ガイアは短気で人の話を聞かない。それに話がどんどん脱線する。生前、私の部屋の隣に住んでいたおばちゃんのようだった。


「ちょっと聞いてよ。最近娘がね『ママは私の話なんか何も聞いてくれない!!もうグレて邪神になってやる』とか言うのよ。こっちは真剣に娘の話に耳を傾けてるっていうのに・・・・」


実際話は聞いていないのだろう。娘がグレるのも頷ける。


「また話が脱線しちゃった。そろそろ時間ね。前世の記憶が戻るのは10歳の誕生日に設定しているからね。昔、大魔導士を転生させたときに失敗したことがあってね。0歳から特大魔法を操って、おかしなことになってしまったのよ・・・・それに言語や生活環境がまるで違うから、その辺のトラブルを避けるための措置ね。


よし!!後は私が聖女のジョブを選択して・・・あれ?選択できない。なんで?前世の行いからポイント無しで、聖女を選択できるはずなのに!!」


だ・か・ら!!私は聖女になる資格なんて無いって、ずっと言ってるのに・・・。


「多分、人違いなんじゃないんですか?私は聖女の資格なんてない人生を・・・」


「あああ!!もう!!とりあえず残りのポイントで「回復魔法極小」と「癒し」のスキルを選択して!!聖女が回復魔法が全く使えないんじゃ話にならないわ!!」


聖母ガイアに言われ、仕方なくその二つのスキルを選択する。すぐに私の体はどんどんと透明になっていく。


「あの・・私の話を聞いてください。聖女になるべき人は別にいると思うのですが・・・」


これも無視される。


「聖女よ!!時間です。使命を果たしなさい。そしてあなたの新たなる人生に幸あらんことを!!」



★★★


変な夢?だった。

しかし、枕元には聖母ガイア像が置かれている。

どうやら、本当に転生してしまったらしい。

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