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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第一章 聖女誕生

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10 聖女、呪いを解く 3

14歳になった。

領地はますます発展している。まず、大きな変化は交易の相手先を隣国のオルマン帝国をメインにしたことだ。ルキシア王国のアバウス伯爵領の高額な通行料を払うのが馬鹿らしくなったことが大きな要因だ。


クレメンス男爵領は南側をオルマン帝国と接しているが、領の南部の開発は全く進んでいなかったのだ。しかし、エリーナの関係で訪れた南部のレーベ村と良好な関係が築けたことで、南部の開発が進む。そのため、レーベ村は交易の拠点ともなり、クレメンス男爵領の第二の都市と言ってもいいくらいだ。


隣国との交渉は順調に進んだ。隣接するドーン子爵は熱心な聖母ガイアの信仰者でもあり、何度か町でパフォーマンスをしたら、大喜びで交易を認めてくれた。それに街道整備のほとんどの費用を出してくれた。実際の工事はドロシーの土魔法がメインだったけど。


オルマン帝国の商人は気前よく、大量に購入してくれる。聞いたところ、この領の商品は目新しく、オルマン帝国の帝都でも大人気で、3倍、4倍は当たり前で下手したら10倍の値が付くこともあるそうだ。

なので、商品の値段を上げようかという議論があったが、私の提案で上げることはなかった。

その代わり、オルマン帝国の商人を集めて、パフォーマンスをした。

聖母ガイアの幻影を喋らせる。


「オルマン帝国の商人達よ。真っ当な商売をしなさい。そうすれば、この領の商品を適正価格で取引できます。私への寄付などはいりません。ただ、この領民達のためにしっかりとお金を使うのであれば、それを寄付と見做します」


結果的にこれが功を奏した。かなりの額を町に落としてくれるようになった。単純に寄付しろと言われるより、お金を払った分だけ、商品が買えたり、美味しいものが食べられたりするので、そちらの方が断然いい。


近いうちに借金は完済できそうだ。


嬉しいことと言えば、味噌と醤油が完成し、更にコウジュンの働きもあって、サトウダイコンの栽培にも成功した。真っ先に食べたのは、ご飯、みそ汁、肉ジャガだった。初めて食べたときは涙が止まらなかった。エリーナも涙を流していた。前世の記憶は封印されていても、前世が日本人だけあって感動は隠しきれなかったのだろう。

不思議なことにお父様とお母様、ゴードンも同じような反応をしていた。もしかしたら、この人達も前世が日本人なのかもしれない。


肉ジャガはクレメンス領の名物料理になった。この領で必要な材料は手に入り、基本的に肉とジャガイモと玉ねぎを砂糖と醤油を入れて煮るだけだから、すぐに広まった。商人達も材料を買い込んでくれた。砂糖も醤油もジャガイモも保存が効くからだ。

オルマン帝国の大手商会長と会食したとき、こんな話を聞いた。


「肉ジャガで本当に儲けさせてもらってます。材料も安いし、材料を鍋で煮るだけですからね。最初から安く売るつもりはなかったので、金貨1枚と吹っ掛けたら、貴族達がこぞって食べに来たんですよ。それで大儲けです。近々皇帝陛下にも献上されるかもしれません」


これに対し、お父様は言う。


「それでもこちらは、聖母様の啓示もあることだし、値段を上げるつもりはない。だから・・・」


「旦那様心得ております。レーベとエルサラには当商会の支店を出す予定です。住民達を雇用し、待遇も良くしますので・・・」


いい形で話が進む。馬鹿女神は私達を利用する奴らが現れると言ったが、程度の問題だと思う。お互い適度な関係で利用し合えば、それでいい。



★★★


その他の従者の成長も著しい。ゲディラは新商品を開発してくれるし、ゲディラ作の大楯を持ったゴードンはBランク冒険者となった。Aランクとなるには、大規模なギルドで審査を受けなければならないので、実質この領では最高ランクだ。

ということで、ゴードンのBランク昇格祝いをすることになった。まずは盛大に式典を行い、お父様が言葉を掛ける。


「鉄壁のゴードンよ!!これからも領地のために頑張ってくれ」


「有難きお言葉、領地のため、聖女様のため、一生この身を捧げることをここに誓います」


式典はそれで終了し、領民には酒や料理が振舞われた。お祭り騒ぎだ。


式典の後、私が直接スカウトした従者達だけで個人的な食事会を開いた。気心の知れた者しかいないので、つい飲み過ぎてしまった。

最近、ゴードンの反応が面白くて、度々意地悪をしてしまう。

今回もちょっとからかってやろう位に思っていたが、これが大失敗だった。


「私は「鉄壁のゴードン」よりは「カチカチゴードン」の方が親しみやすくていいな。もしかしてアソコの方もカチカチなのかな?」


「お、お嬢様・・・カチカチ・・」


ゴードンは気絶してしまうし、周囲の従者たちはドン引きしていた。

救いと言えば、他に参加者がいなかったことだろうか・・・。


最終的にはお酒に酔っていて記憶にないということにした。




★★★


それとエリーナだが、冒険者ランクがCランクになっていた。

当初は私の専属メイドとして仕事をさせていたのだが、「ジャグリング」のスキルを生かして、大道芸人のようなことをして小遣いを稼いでいた。これはこれで人気を博し、獣人達がクレメンス男爵領では、獣人達を大切に扱ってくれると思うようになり、クレメンス男爵領に多く集まってきた。有能な者も多く、非常に助かっている。


この大道芸人としての活動がエリーナの新たな才能を開花させることになる。

あるとき、ナイフ投げに挑戦したところ、かなりセンスがあることが分かり、必死に練習した。そうしたところ、「ジャグリング」のスキルが「キラージャグリング」に進化していた。これならば、戦闘にも使えるということで、冒険者登録をさせた。


そこからさらにスキルが開花する。

いつも通り、ナイフ投げやジャグリングなどの大道芸をしていたエリーナに何の気なしに「尻尾でナイフを投げたらウケるかもね」と言ったところ、周囲を驚かせることになる。

尻尾で投げたナイフはとんでもない速度で飛んで行き、的を粉砕した。


「キラージャグリング」と「尻尾攻撃特大」のスキルが上手く嚙み合ったのだろう。

馬鹿女神の思惑が外れて、嬉しいかぎりだ。


冒険者としてはゴードンと組むことが多くなった。ゴードンが大楯でしっかりと攻撃を防ぎ、遠距離からエリーナがナイフで攻撃する。二人は従者やメイドをしながらの冒険者活動なので、困難な依頼に挑戦する冒険者パーティーに助っ人として臨時加入することが多くなっていた。

それがランクアップの評価の対象になったみたいだ。


私としては、エリーナにゴードンを取られた気がして、少し複雑な気持ちだ。別に付き合っているわけではないので止める権利は無いんだけど・・・・。


それは置いておいて、エリーナも戦闘に加われるようになり、本当に喜んでいる。


「聖女様、一生着いていきます」


とか言ってくれる。でも、ジョブやスキルのポテンシャルから考えて、もっと凄い活躍ができると思う。




今度、馬鹿女神に会ったら、絶対に文句を言ってやる。

アンタみたいな邪神の嫌がらせには、本当の聖女は絶対屈しないんだから!!


気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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