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異世界民宿 物見遊山  作者: 有栖多于佳
20/31

魔法の塔と創生神話 こっちの世界とあっちの世界

食べ物の話しはしばらく出てきません。

良子とアンナが居る部屋へ王太子が迎えに来た。


王と教皇の待つ間へ行くというので、その後に続いて王宮の奥に進む。


部屋を出る時に『アンナも一緒でいいのかな?』と思ったのだけれど、

「アンナさんも共に」

と言ってくれたので、一緒に後ろをついていく。


王宮の奥へ奥へと進み、外へ出るとまた進む。

暫く進むと急に塔が現れた。


「え?え?さっきまでこんな建物ぜんぜん見えなかったけど。」

アンナが驚いていう。

確かに突然目の前に現れた高い高い塔だった。


「ここには認識阻害の魔法がかけられている、魔法の塔です。」

「え?ここが!?」


噂に聞く小鳥の囀りを集めている、魔法の塔に驚いて上を見上げると、塔の頂上は雲に隠れて下からは見えない。どんだけ高い塔なのだろう。


「これ、上まで昇って行くのかね、えらいこった。」

アンナが私をみて首を振りながら言ってきた。

確かに、昇っていけるかしら?


「大丈夫ですよ、この戸の中へ入って下さい。」

王太子に言われるまま戸を開けて、中に入るとギュイイイインと一気に転移で最上階の部屋へと移動した。


そこには、石でできた丸いテーブルにつく王と教皇が座っていた。


*********************


「さて、この度は王家として大変申し訳なかった。」

サルアール王国の王が謝罪した。


「それ、さっきも教皇様にも言いましたけど、理由を聞かなきゃヨシコだって受け入れられませんよ。」

アンナが不敬にも王に言い返す。


「アンナ、抑えて。不敬になっちゃうから。」

私は腕を引き、耳元で囁くけれど、アンナは聞かずに憮然とした表情を崩さない。


王と王太子に目線で合図して教皇が話し始めた。

「そうだな、では先ず我の方から話させてもらおうか。」


****************************


それは、長い長い創生の夫婦神のお話から始まった。


むかしむかし 世界を創る神が二柱


青い女神と白い男神がいた


二柱は二つの世界を創生した


青い世界と白い世界


二柱から生まれたその世界は双子のそれ


または海と空のそれのよう

または太陽と月のそれのよう

または光と影のそれのよう

または鏡の中と外のそれのよう

またはこの世とあの世のそれのよう


青い女神は青い世界の青い子に 女神の智恵の祝福を

白い男神は白い世界の白い子に 男神の力の祝福を


そうして双子のその子らは 互い助けて 長く平和に過ごしていたが


長い月日を経たある頃に  青い子の子孫は 青い子の中で 分かれ争い 醜く戦い

青い女神を失望させたのです


「ああ、あの子達は私の祝福の意味を忘れてしまった」


嘆き悲しんだ青い女神は 深い深い深淵の底に閉じ籠ってしまいました


白い男神もまた 青い女神が横に居ない悲しみに 打ちひしがれれて  雲の切れ間にお隠れになってしまいました


すると 青い世界も白い世界も 神の加護が弱くなり 混沌の世界になってしまったのです


青い世界は智恵を絞り 長い時間をかけて ゆっくりと時計の針を進めました

白い世界は力を使い 今と同じように物事が出来るようにと 早急に時計の針を進めたのです


最期の白い神の祝福を受けた教皇は 自身の魔力と命を使って 

百年に一度 神との対話ができるよう  魔方陣を形成しました


白い神は 自身の子が対話を望むならと その願いを聞き入れました


それからの白い世界は 問題が起これば百年に一度 

その強力な魔方陣で神の神託を得て 過ごす事になりました


しかし 魔方陣を呼び起こすほどの強力な魔力の祝福の力は もうありません

そこで 次の教皇は 智恵の祝福を受けた青い子の力を用いて 魔方陣を形成することにしました


白い世界での魔力は白い神の残滓 青い世界での智恵は青い神の残滓

その青い神の残滓が 白い神の眠りを一時覚ますことに 気づいたのです


それから 青い世界から青い子を召喚し それを贄として 白い男神の神託を受けて 

白い世界の秩序は保たれていたのです 青い子の犠牲の上に


今から百五十年前 第百七十五代の教皇が 青い子の召喚を行いました

その青い子はちょうど百人目の贄でした


*******************************


「それって・・・渡り人ってことだよね、百五十年前ってこの国の王妃様じゃ?」

アンナが教皇の話を遮って言葉をかけた。 


「そうです、私たちの先祖、私のひいひいひいひいおばあ様ということですね。」

王太子が答えた。


「青い世界って私がいた世界のことですよね!?」

私は教皇に尋ねると彼はコクンと首肯した。


「だったら、サルアール王家は青い世界の者の血が入っているのですか?」


「いいえ、それはありません。当時の王は、王妃様とは別のこの国の公爵家のご令嬢を側妃として子を為し今に至ります。」


「それは、ひ、ひどい。王妃の称号だけ与えて、結局生け贄にして、自分等は側妃と子を為すなんて!」

「ほんとだね、よくもしゃーしゃーと言って退けたもんだよ。」

私とアンナは半眼で冷たい視線を王と王太子に向ける。


「ちがう、そうじゃない。早合点しないで下さい。」

「そうだ、当時の王は王妃を蔑ろにした訳じゃない。第一、王妃は未だ生きておられる!」

王と王太子は口々に泡を飛ばして言った。


「「は、はあぁぁ?」」

私とアンナは顔を見合わせて大きな叫び声をあげた。




お読みくださいましてありがとうございました。


誤字誤謬があるかもしれません。


わかり次第訂正いたします。


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