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第六話「もう知らないわ!校外学習楽しむわよ!」

そんな事を考えて私はふと気づく。

「あれ?今日のレッドの服装やけに拘ってるわね」

「え?アリスちゃん遂に触れてくれたの!?」

レッドが顎の位置までの長さのある茶髪のボブヘアーを揺らしながら嬉しそうな顔でこちらを見ている。

その服装はいつものとは違い、童話の赤ずきんを彷彿とさせるような格好で、中央にポッケがありお尻より少し下くらいまである赤いフードの上着を着ていてその下に白いミニスカートを履いている。足には黒タイツを履いており、靴までの長さがある。

そんなお洒落にしてどうしたのかしたら……?

そう思っていたらレッドが答える。

「今日は赤ずきんちゃんコーデにしたんだぁ……そしたらアリスちゃんもアリスコーデにしていて運命を感じたよもう神様ありがとうって感じ」

そう言って涙を流し始めるレッドに私は苦笑をする。

「そ、そうなんだ……良い服装だと思うわ」

少し引き気味で答える私。

レッドはまた嬉しそうに答える。

「本当に!?じゃあ今度からこの服着まくっちゃお!アリスちゃんもその服を着まくってね!」

「え、えぇ……洗濯大変そうだけど良いわよ」

なんかノリで了承してしまったけど物凄い事言ってない?今後どうしようかしら……

「はぁ……五着買っておいてよかったよぉ……」

とんでも無いことを呟くレッドに私はだんまりする。

チャシャは苦笑いしている。

ちなみにチャシャはいつもの学生服の模様ね。

つまらない男だわ!

学生服は黒と青でデザインされてるわね。

まぁ今は冬だから黒のガーディガンを着ているみたいだけどね!

私がチャシャを内心バカにしたのが雰囲気に出ていたのかチャシャがこちらをチラ見した。


その時だった。

突然、救急車特有の不快音が聞こえた。

ロビーの向こう側を見る。

すると、救急車が通り過ぎたのが見えた。

「な、なに!?」

思わず声を上げる私。ロビー内はざわめきだし、様子を見にロビーから出る生徒も居る。

「ちょっと見てくる」

私は二人にそう言ってロビーの自動ドアの前まで歩く。

自動ドアはオープンし、目の前の光景を見るとそこには……

「うわぁ……」

思わず声を出す。

そこにはアスファルトの上で血だらけになった先生の姿があり、横たわっていた。

ドンとヴァンも傷だらけのようだ。

そして、私はそのまま救急車に運ばれる先生を茫然自失と見ていた。

すると後ろからレッドとチャシャの声が聞こえて我に帰る。

「ど、どうした!?」

チャシャが動揺しながら私に聞く。

「先生が血だらけで倒れていたわ……ドンとヴァン達の喧嘩は相当激化したみたいね……」

「そっか……」

そうして何やら気まずい空気になってしまう。

その時、血だらけのヴァンとドンがこちらに振り向き私達の方に近づいてくる。

「……」

そして、そのまま私達をチラ見した後無言でロビーに入って行った。

何よ…………あんな格好で校外学習するつもりなの?

私は心の中でそう呟く。

「血だらけだったね……」

レッドがそう言って若干引いていた。

私はそれに返答する。

「えぇ……」

その後チャシャが答える。

「それより先生が消えたんならこれからどうするんだろうな?仕切る奴居なくね?」

「確かにね……」

レッドが顎に手を当てながらそのチャシャに答える。

その時だった。

私の手が握られる感触になる。

……!!

思わず動揺して振り返る。

そこには黒髪の肩まであるボブヘアーの美人な女の子がいた。

服装は黒と白のヒラヒラしたワンピース。肩から胸までは白色の長袖シャツで、そこから下は黒のスカートになっていて、一見するとドレスの様にも見える。

その美人な女の子は少し鋭い目つきをしたと思うと私の手を思いっきり引っ張ってくる。

「な、なによ!!」

「ちょっと来なさい!!」

そう言って私の手を力一杯引っ張ってくる。

それに抵抗するけど力的には相手の方が上の様でみるみると私の足は動き始める。

それをチャシャが止めに入ってきた。

「ちょっとやめろよお前ら!」

そしてその黒髪の子の手と私の手を引き離してくれる。

助かったわ……

「ふん……!そうやって邪魔するのね……いいわ」

そう言った後、私の耳元に顔を近づけてこう囁いた。

「(後でメトロポリタソミュージアムの4階……404号室に来なさい…‥必ずよ)」

その小さな声を私はハッキリと聞く。

その後くるっと綺麗に回り彼女はロビーに戻って行った。

「なんなのよ……もう」

そう私が辟易して呟くとレッドが何やら怒っている。

「あの女……!アリスちゃんを独り占めするつもりね!今度来たら追い返してやるんだから!!」

「えぇ……レッドそれはちょっと違うんじゃない?」

「ぜっーたいそう!」

レッドは相変わらずで少し私は安心する。

チャシャをふと見ると呆れ顔をしていた。

その次にロビーの方を見ると何やら騒がしい感じで生徒が集まっている。

そろそろ集合かしら?先生運ばれたのに?

そう思ったらレッドが話し出す。

「多分代わりに他の先生が担当するんじゃない?じゃあアリスちゃん!行こっか。ついでにチャシャ君も」

「やっぱりついでなのかよ……」

チャシャが落胆してそう呟く。

私は流石に同情してフォローする。

「まぁ、まぁ良いじゃない。"ついで"でも」

「フォローになってねーぞアリス」

チャシャが涙目でそう私に返す。

あら…‥なんか間違えちゃったかしら?

その後、私達はロビーに向かう。

やはり生徒が集まっていてその生徒達の前に先生が三人立っている。

やはり……1-Aの先生。"ラスト先生"は病院送り状態ね……

あまり名前で呼びたくないのよね。嫌いだし……

「皆さん集まりましたね。えぇ……1-Aクラスのラスト先生ですが、諸事情により病院に搬送されました。ですので……1-Aクラスの帰りは大型バスで1-Bと合同で帰ってもらいます」

1-Cクラスの先生。キーン・パツ先生。

女の先生で、長い金髪の髪型でピンクの髪留めをしている。

服装は白いドクターのような服でポッケによく手を入れる癖がある。

私はキーン先生の事を何となく考えていたら嫌な事を思い出す。

はぁ……っていうか1-Bはヴァンがいるのよね。嫌な予感。

そういえば…‥さっきの私の腕を掴んできた黒髪の子どこ行ったのかしら?

そう思って辺りを見渡す。

そしてキーン先生の後ろにある二階に続く階段を昇るあの子を見つけた。

「いた……!」

思わず驚いて声を出す。

するとその声が思ったより大きかった様で数人の生徒に注視される。

は、恥ずかしい……

「アリスちゃんどうしたの?」

困り顔のレッドが小声で私に聞いてくる。

「いえ……ちょっと…‥蚊が……」

「蚊?」

「そ、そう蚊が居て……ハハハ……」

我ながらなかなか酷い言い訳ね……

そう思いながらも私はレッドを欺いてしまう。

はぁ……心が痛む。でもしょうがないわここでレッドに真実を明かしたら…‥きっとレッドは校外学習が楽しめなくなる。

これは必要悪よ。

「蚊ねぇ〜うざいよねー」

レッドがそんな事を流す様に呟く。事なきを得た感じね。

そしてキーン先生の長ったらしいメトロポリタソミュージアムの説明が終わるといよいよ作品を見るタイムの様で生徒達はバラバラになっていく。

ま、ワンダーランドのことは忘れて楽しむことにするわ!

ちゃんと楽しめるかしら…………

そう思って私は溜息をつく。

そしてそれに反応するレッド。

「どうしたの?やっと作品を見れるのに」

「いや、ちょっと蚊に刺されちゃって!はぁ痒いわね」

そう言ってまた誤魔化してしまう。罪悪感がすごいわね……

「そうなんだ。じゃあコンビニ行って塗り薬でも買おうか?」

レッドは気遣ってくれたのかそう提案した。

「いえ……そこまでは痒くないから大丈夫よ!さ、他の人はもう行っちゃってるし…‥行こうか一階から」

「うん!」

その声を皮切りに私達三人。レッドとチャシャと私は一階から作品を見て回ることになる。

あの四階に行く約束が頭にずっと引っかかりながら。


〜第七話に続く〜


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