恐怖の毒電波
ある企業が経営危機に陥っていた。
安全電波を体に送信し
病気を防ぐという目玉商品が売れなくなってしまったのだ。
その企業は政府に賄賂を渡し、
業績の向上を図った。
世界はパニックに陥っていた。
3日前、ある船から発生した毒電波が
脳から脳へと移り、命を落とす人まで現れたからだ。
政府は毒電波の広がりを防ぐため、
国民へ外出の自粛を要請した。
恐怖に怯えた国民は外出を控え、産業をほったらかしにした。
毒電波など存在しないと訴え、外出した人は大バッシングを受けた。
その後、たくさんの人が毒電波を受信した。
毒電波など存在しないと発信する人、
毒電波に恐怖し、引きこもる人、
毒電波を防ぐためにヘルメットをかぶる人など
世界は大混乱に陥った。
やがて政府は毒電波を予防する、安全電波を発表した。
国民は大喜びで安全電波を受信した。
何度も受信した。
安全電波を発信する企業は大儲けした。
やがて産業を復旧させ、人々は外出するようになった。
毒電波を受信する人は、自粛前とさほど変わらなかった。
いつまでもヘルメットはかぶられることとなった。