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解決策

 二週間ぶりの更新です。年末に向けて繁忙期に入りました。不定期更新が続きますが、エタることはありません。頑張ります。

 学園長が戻ってきて、息巻いたのはトマーニケ帝国のオジサン達。

 ようやく出てきた責任者に噛みついたわけだ。いままで相対していた事務長をほっぼり出して。


 良いけどさ。何で僕が同席しなきゃいけないの。さっさと退出させてよ。口を出せないから黙って見てるしか無いんだけど。


「お話は分かりました。トマーニケ帝国皇太子としての格式を保つための荷物を収める場所が必要と言う事ですな。では、離宮を解放いたしましょう」


 はて、離宮? それって地方にある王家の別荘だよね。王都の周りには無かったはず。


「元々、森林公園の前身はこの地にあった王宮の庭園でしてな。学園は森林公園の一部を敷地として利用しております。今の王城が作られる前の話ですから、歴史と伝統が詰まっておりますぞ。まあ、戦でほとんど破壊されて、ごく一部が離宮として残っているだけですがな」


 へえ、そうなんだ。知らなかった。

 でもそれって、廃墟一歩手前と言うか、人が住める状態なんだろうか。現役なら、聞いた事ぐらいあるはずだし。


 同じことを懸念したらしいオジサンたちが確認したら、答えたのは事務局長だった。


「今は無人ですが、倉庫としてなら十分機能するでしょう。維持管理は(とどこお)りなく行われております」

「では、人が住めるのですな」

「もちろん、可能です」


 それならと、オジサン達はその離宮に皇太子殿下を住まわせろと要求してきた。

「事は我が帝国の威信に関わる。皇子のお住まいは品格維持の範囲。我らとしても、ここで引くわけには行きませぬ」


 うわー、国の面子かー。トマーニケ帝国は我が国に敗戦してるし、(こだわ)るんだろうなー。

 もう、とっとと退室したい。こっそり抜け出しちゃ駄目かな。


「それはお勧めできませんな。通園は徒歩が基本。授業に間に合う為には、毎朝三時には起きねばなりますまい。帰りも深夜になりますな。文字通り寝る間がなくなりますぞ。それ(ゆえ)に、我が国の王族方も学園内の寮をお使いなのですぞ」


 渋々、ほんとうに渋々とオジサンたちが寮生活を許容した。でも、学園長の説明という名の追加攻撃は終わらなかった。


「学園内は部外者立ち入り禁止ですからな。侍従を付けることは出来ませぬ。ご了承いただきますぞ。どうしてもというなら、入学試験を受けて正式に生徒となっていただかねばなりませぬ。さいわい、入学資格から年齢制限が無くなりましたのでな。皆様方も、挑戦なさいますかな。次の試験は来年になりますが」


 いや、無理でしょう。

 確かに成人した平民が入学してきているけど、せいぜい二十代後半までだよ。オジサンたち、どう見ても五十代に手が届くじゃん。

 今更学園に通うの。十代に混じって。それに来年の入試まで待てるの。


「そもそも、今回の話が急すぎたのです。本来なら、何人か先行させて学園内の実態を調査するくらいの事前準備が必要だったのでは。少なくとも側近候補となる学友たちを同時に留学させるべきでした」


 事務長の淡々とした突っ込みに、オジサン達が黙り込んだ。

 なんか事情がありそうだけど、聞きたくないよ。もうお腹いっぱい。


「まあまあ。初めての留学生ですからな。特別扱いが前例になっても困りますし、一生徒として扱うことに違いはありませぬが、非公式になら便宜を図ることも(やぶさ)かではございませぬぞ」


 事務長が鞭なら学園長は飴だね。


「ここに()るマーク・ランドールは、今現在、生徒の身分序列一位の者。この者を学園内の案内役に付けましょう。来年には卒業ですがな、一年あれば馴染めるでしょう。さよう、来年こそ追加の留学生を用意されてはいかがかな」




 あの、僕って特大の飴ですか。最初っからそのつもりだったんですか、学園長。







 森林公園の離宮、シリーズの『リアーチェ・デイネルス侯爵令嬢の結婚』に出たあそこです(笑)


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
「伯爵家の者ならば案内役として身分に不足はないでしょう。それでもご不満でしたら、まぁやむを得ませんな。全てをお一人でなさって頂く他に手はありませぬ」 ってなものか。 強(したた)かと言うか、なかなかに…
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