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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第十一章 皇子様の入学

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初めての留学生

 とりとめのない文章になってしまいました。長々と書いてもなーって内容なので、テンポを優先しました。

 文才欲しいです。切実に。


 受付で訊いたら、あの荷物の山は、隣のトマーニケ帝国の皇子殿下のものだった。


「留学生、ですか」

「そう。外国からの入学者です。今まで他国から生徒が来たことはありません。初めてのケースなので、齟齬があったようです。入学式に間に合わせようと急いで、なんとか今朝方着いたようなんですが」


 本人が受付に来なかった。受付しなきゃ、寮の部屋が決まらない。届いた荷物が行き場を失くして山になっちゃったと。


「さすがにこれは、僕らの手に余ります。学園側で対処していただけませんか」

 トラブルがなくたって、一国の皇子の相手を生徒に任せないで欲しい。

 国でも学園でも良いけど、大人の仕事でしょうが。責任者出てこいだよ。 



 学園長室の主は、入学式のため不在だった。

 そりゃそうだ。年に一度の入学式は、学園長の大事な仕事だ。ほっぼり出したらそれこそ責任問題だよ。

 で、だ。本来なら無人であるはずの学園長室に、いかにも地位のありそうな壮年男性が五人、集まっていた。


 ここまで連れて来てくれた事務員さんと学生の僕は、入室した途端、じろりと全員から(にら)まれた。

 あのですね。場違いなのはひしひしと実感してますけど、そもそもオジサンたち、どこの誰?






 部屋に居た五人のうち四人がトマーニケ人で、残る一人は学園の事務長だった。


 皇子殿下のお住まいを完璧に整える必要があるから、事前に学生寮に立ち入らせろと要求している四人。

 私物の搬入は寮の自治会の仕事で、保護者と言えど学園関係者以外は立ち入り禁止と突っぱねている事務長。


 押し問答になっていたところに僕たちが飛び込んだらしい。

 現場の証言を求められたけど、僕は(した)()も下っ端。まだ学生だよ。


「ですから、物理的に不可能です。あれだけの荷物は、寮の部屋に入りきりません。ドアを開けたら床から天井まで荷物の壁で、外まで(あふ)れて雪崩(なだ)れ落ちます」

 

 ちょっと大げさかもと思ったけど、これくらい言わないと納得してくれないだろう。無理な物は無理なんだ。


「では、もっと広い住居を用意してしかるべきではないか。私物は必要最低限と言うが、一国の皇子の生活必需品であるぞ。あれでも削りに削ったというに、まだ多いと言うか。それともデルスパニア王国は、我がトマーニケ帝国なぞ配慮に値せずと態度で示されておるのか」


 うわあ、喧嘩腰。ちょっと、外交問題にする気なのか、このオッサン。


「皇子殿下の行幸となれば、ご使用になる一切合切をご用意するもの。今回はベッドの天蓋も壁を飾るタペストリーも涙を呑んで諦めたというに、まだ足りぬと言うか」


 ・・・・・・いやそれ、旅行に持ち歩くもんなの。


「ここはデルスパニア王国中央高等学園でございます。学園内では、ご身分より生徒としての立場が優先されます。現に、去年卒業されました我が国の第二王子殿下は、学生寮の一室をお使いでした」


 事務長さん、穏やかだけど負けてない。慇懃無礼って感じだけど、なんか慣れてるような。

 それだけ貴族の無茶振りが普段からあるってことかな。


「勿論、代々の王族方も同様に過ごしてこられました。ここはそういう場所です。いかがでしょう、我が国の王太子殿下が住まわれていた部屋を用意いたします。それで矛を収めてはいただけませんでしょうか」


「む。それであれば」

 

 うんうん、我が国の王太子殿下と同等の扱いなら、文句は付けられないよね。外交問題にならなくて良かった。


「後ろの方もよろしいでしょうか」


 残りの人たちが、互いに目を合わせた。


「よろしかろう。王族専用の部屋というなら、調度品も揃っていよう。では、早速搬入を」


 あ、オジサンたち勘違いしてる。


「いえ、学生寮は全て同じ規格です。王族専用という部屋は存在しませんが」


 しれっと答えた事務長さん。激昂(げっこう)するオジサンたち。

 僕は傍観者に徹するしかなくて、学園長が戻って来るまでカオスな空間は続いたんだ。





 ミリア、ごめん。せっかくの入学式だったのに、お兄ちゃん、参加できなかったよ。













 せっかくのミリアちゃんの晴れ舞台、参加しそこなって、ちよっと恨み節のマーク君です。

 次回はトマーニケ帝国の事情かな。さっさと皇子様を登場させたいです。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。


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