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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第十章 古き血脈

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協議再開

 何と言う事でしょう。PVが爆上がりしてランキングに載ったら、ポイント増えてPV増えて……。

 ヒューマンドラマ日間十位を付けた時点で、日間総合ランキング286位になってました。

 ありがとうございます。皆様のお陰です。


 お冨が総合ランキングに顔を出したのは、本当に久々です。

 ちなみに今までの最高記録は、本編の日間総合ランキング11位。今思うと、本当に奇跡でした(笑)


 これからも楽しんでいただければ幸いです。


 

 仕切り直しの相続協議は、デアモント公爵家とバルトコル伯爵家で結ばれた契約についてだった。


 バルトコル伯爵家が消滅する前に清算しなければ、契約不履行になってペナルティが発生してしまう。それを避けるため契約完了したいと言われれば、そうですねと同意するしかない。

 ただ、その契約というのが、とても同意できない内容だっただけで。




 そもそも、デアモント公爵家の三男がバルトコル伯爵家に婿入りしたのが発端だった。亡くなられたリリアーヌ・バルトコル女伯爵の祖父にあたる人物だ。


 公爵家と伯爵家、階級違いの婚姻ということで、厳しい制約があった。両家の当主、貴族院、そして王家。その全ての許可を必要としたんだ。


 今更だけど、エザール叔父さんを子爵家から侯爵家へ婿入りさせたリアーチェ叔母様、王家に直談判したって言う武勇伝は凄いことだったんだなぁ。


「バルトコル家は伯爵家筆頭と言って良い家格であるし、契約結婚にすることで許可が下りた。その契約の中身だが、婿入りした当家の三男の血筋を公爵家へ戻すというものだった。この婚姻により生まれたのが先代のバルトコル伯爵。残念ながら一人っ子だったため、契約の履行は次代以降に持ち越された」


 先代のバルトコル伯爵の子供は、亡くなられたリリアーヌ女伯爵と、平民との間に生まれた庶子が一人。

 リリアーヌ様の系譜はテムニー侯爵夫人のアリス伯母様と、僕の従兄弟にあたるサミュエル兄さん。


「テムニー侯爵夫人のご子息はテムニー侯爵家唯一の後継者。無理は言えぬ」


 そして庶子の系譜が僕とキャサリン母上だ。トマーニケ帝国で広がった血筋は、既にデルスパニア王国政府によって相続の権利を抹消されている。

 同級生で従兄弟のコーカイ、世が世ならバルトコル伯爵になってたのか。

 うーん、似合わない。


「ランドール伯爵家にはご長女とご次男が健在。キャサリン夫人のご子息マーク卿を、我がデアモント公爵家の後継としてもらい受けたい」


 いやいやいや、それは無いでしょう。

 バルトコル伯爵家の後継を断ったのに、それ以上に縁の遠いデアモント公爵家なんて、論外だよ。


「お言葉ですが」

 キャサリン母上が声を挙げた。

「わたくしの母は先代バルトコル伯爵の庶子でございます。さらに言えば、祖母は平民。公爵閣下であれば、わたくしの父についてもご存じでありましょう。我が息子マークは血が薄すぎます」


「その点は問題ない」

 デアモント公爵が自信満々で示した根拠は、義妹のミリアだった。


「マーク卿は恐れ多くも聖女様の従兄弟であり義兄。天津神の子孫とは言え血が薄まり過ぎて只人(ただびと)となった我らより、よほど天津神に近しい。マーク卿が当主となれば、我がデアモント公爵家の(ほまれ)である」


 天津神って、子供の御伽噺じゃないですか。

 そりゃ、高位貴族のご先祖さまって伝承有るけど、そんな大真面目に言う事じゃ無いし。

 根拠としては弱いのに持ち出してくるのは、他に材料が無いってことかな。


「それにな、血の濃さに拘り過ぎた弊害が出ておるのは、この場の皆が承知であろう」

 公爵閣下の口調が柔らかくなった。


「子が生まれず、生まれても病弱。血統は先細りするばかり。バルトコル伯爵家が途絶えるも、公爵家と王家の血を入れたが(ゆえ)よ」


 うわあ。ぶっちゃけた。公爵閣下だから許されるんだろうけど、下々の者が言ったら不敬罪待った無しじゃないか。


「平民の血、大いに結構。侯爵家以上の家は是非縁を結びたいと歓迎するであろうし、伯爵家以下が血の薄さを馬鹿にしてくるなら、それこそ公爵家の権威で蹴散らすまでのこと。権力の使いどころ、実地訓練には丁度よかろう」


 口調は柔らかいままなのに、迫力マシマシ。さすがは公爵閣下、なんだろうね。


「伯爵家が無くなるなら、契約も無効にすることはできないのですか」

 オスカー義父さんが一縷(いちる)の望みを言葉にした。

 契約結婚は重い。法的強制力は伊達ではない。それでも、契約相手が消滅するのなら。


「反古にはできる。ただし、契約違反という事実が残る。その罰則として、結婚自体が無効になってしまう」

 

 デアモント公爵の返事は、淡々と事実を述べたものだった。


「その上、先代伯爵は私生児扱いになる。庶子は婚外子として認められるが、私生児は父親不明だから庶子以下よ。王弟殿下の姫君の降嫁も、(さかのぼ)って無効になるな。先代伯爵の血を引く子孫はどこまで行っても正嫡には成れぬ。正嫡でなければ、家督は継げぬ」


「それは……、亡くなられた女伯爵が家督を継いでいなかったと言うことになるのですか」


「その通り。遡って爵位剥奪になる。まあ、あくまで書類上の話でしかないがな。それより問題はだ。テムニー侯爵夫人のご子息も、ランドール伯爵家のマーク卿も、正嫡と認められず家督相続できなくなると言う点だ」


 誰かの息をのむ音がした。

 オスカー義父さんが助けを求めるように、貴族院の事務長を見た。僕らの視線も、後を追う。


「公爵閣下のお言葉通りでございます」

 事務長のダメ押しが、死刑宣告のように響いた。


 僕だけの話なら、それでも良い。そう思った。

 元々ランドール伯爵は義弟のカークが相応しいと思ってる。ランデア子爵になれないのは、亡くなった父に悪いと思うけど。


 だけど、サミュエル兄さんは別だ。テムニー侯爵家を継げなくなるのは大問題だ。それだけは避けなくちゃいけない。


 重苦しい空気を掻き混ぜたのは、デイネルス侯爵だった。


「あきらめろ。オスカー。マークを差し出すしか道は無い。それこそ書類上だけでもマーク・デアモントを誕生させるんだ。なに、その後でランドール家と養子縁組して、マーク・ランドールに戻せば良いだけの話だ。なんなら、バルトコル家を再興させて、マーク・バルトコルを名乗らせても良い。どうにでもなるぞ」




 エザール叔父さん、それで良いんですか。

 なんだか脱力してしまった。

 一瞬で空気を換えるなんて、第三宰相、恐るべしだ。










 

 今回は、本編からのコピペが多かったので、その分、長くなりました。


 本編ではオスカー君視点だったのをマーク君視点に変えたので、ちょっとばかしニュアンスが違って来てます。

 デアモント公爵のセリフはほとんど変更なしですけどね。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[一言] げんじんしんw(現人神)ミリア様のいとこにして戦略神(ガチ)オスカー様の甥とかいうサラブレッドでありつつよくわからん庶民の血を持つマーク氏 公爵家の権威とやらを使うまでもなくとんでもない争…
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