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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第九章 修学旅行

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古代遺跡はお宝の山

 ゴールデンウイーク後半、晴天に恵まれました。恵まれすぎて暑いくらい。子供神輿が町内を練り歩いています。平和ですね。

 デルスパニア王国ランドール伯爵領地下ダンジョン、略してデパ地下は、入り口の有る階層を基準として地図が作られている。

 現在作成されているのは、地上、と言っても厳密には全てが山の内部なので地中になるのだが、便宜的に地上二十階までになっている。


 最上階の天井部分が山頂に露出していると確認できたが、そこからの出入りは困難らしい。そこまで登山するには断崖絶壁や深い谷を越えなければならない。

 そもそも標高が高すぎて人跡未踏の地、わざわざ登山道を整備する意味も必要もないと判断された。


 地下はというと、まだまだ終わりが見えない。ただ、階層を移動する階段が整備されていることから、人工物に間違いなく、いずれ最下層に到達するだろう。


「ここまでが、騎士団で確認できた情報です。なにしろ一階だけでも広大で、()てが見えません。まだ平面図を完成できていない有様です。垂直方向より水平方向の探索に力を入れるべきと判断されましてね。潮時ということで国軍が手を引いて、代わりに探索者ギルドが発足した訳です」


 先導するディックさんの説明を聞きながら、僕らはテクテクと歩き回った。

 壁や天井がうっすら発光している通路は、地上の様に明るい。どういった仕組みなのか、解明、再現できれば、一大産業になるだろう。

 そう言って算盤(そろばん)をはじいたのは、大商会の跡取りコーカイ。


「ただの通路でこれでっせ。どんなお宝が眠ってんのか、ワクワクせな嘘でっしゃろ。サウザンド商会はランドール伯爵家のご用商人狙ってますのや。ここで食い込まんかったら阿呆でっせ」


 そんなこと言ってるけど、サウザンド商会ならとっくに動いているし、みんなも分かってる。ただの軽口だけど、半分は本気なんだろうなぁ。 


「ははっ、考えることは一緒ですねぇ。この壁、()がせないんですよ。正確に言うと、通路を破壊して瓦礫にするしかないんです。で、瓦礫になるともう光らないんです。何度も実証済みですから。なんとか技術を手に入れて再現できればいいんですが」

 ディックさんはひょいと肩をすくめた。




 通路の先には都市があった。元は無人の遺跡だけど、現在は大勢の人が働いている。


「地中にあったからでしょうかねぇ。驚くほど保存状態が良くて、普通に住めます。どの家も天井が通路と同じ光源になっていて、常に昼状態なのがネックでしょうか。暗く出来ないんですよ」

 夜が無いから、就寝用に遮光性の高いテントが必需品だそうだ。


「上下水道完備、作り付けの家具は半分が使用方法不明。この(あた)りの家は全て同じ規格で、例の坑道の労働者向け住宅と推測されています。坑道まで直通の通路が発見されたんですよ。交通手段も一緒に。さて、一つ入ってみましょうか」


 案内されたのは、未使用の一軒。平屋で、三部屋あった。王都の平民街のアパートと同じくらいの広さだ。

 そうコーカイが教えてくれた。


「なんだかんだ言うて、王都は土地が限られますからな。この広さやったら、家族五人住まいでっしゃろか」


 ふうん。そんなものか。元のランドール子爵領なら一人暮らし用の広さだけど。

 田舎と比べちゃ駄目か。


 わずかな家具しかない家は、空き家特有の生活感のなさが印象的だった。

 屋外の様に明るい部屋。なるほど、これじゃ安眠対策は必須だろう。なかなか眠くならないんじゃないかな。


「全然埃っぽくないですね。掃除したんですか」

 材質不明の滑らかな床をこすりながら、ルイが訊いた。


「いえ、これで素の状態です。不思議なんですが、ダンジョンだからでみんな納得するしかないんですよ。そういうもんだって」


「そういうものですか」


 言いながら立ち上がったルイが、軽く壁に手をついた。本当に軽く。そしたら。


 フッと薄暗くなった。天井の光量が落ちたんだ。同時に壁の一部がめくれて、横倒しになった。

 床と水平の状態で静止。丁度人一人(ひとり)が横になれる寝台サイズで。

 

 全員唖然とした。一言もない。

 理解が追い付いて再起動したら、今度は大はしゃぎだ。一番興奮してたのは、ディックさんだった。


 色々検証して、たまたまルイが手をついた場所がスイッチだと判明した。壁に収納式のベッドで、上着を乗せた状態でそのまま出し入れできた。寝具を乗せたままでも、多分行けるだろう。

 照明が連動していて、ベッドを出すと薄暗く、寝転ぶと暗くなった。


「ありがとうございます。これで睡眠の質が大幅に向上します。精神的にも肉体的にも、すごく楽になりますよ」


 ディックさんの大絶賛を受けて、僕らの修学旅行のレポートは早々に完成してしまった。




 まだダンジョンに入ったばかりなんですけど。

 見学、続けて良いですよね。






 

 ダンジョン、入ってすぐに功績立てちゃいました。

 お宝の山はまだまだこれから。デパ地下ダンジョンを抱えたランドール伯爵家の未来は明るいです(笑)


 一応ダンジョンの冒険譚なんですけど、お冨仕様だとこうなります(;'∀')


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 最初に発見した人は、あちらこちら迂闊には触っていないでしょうしね。 二番目以降の人も「変な所に触って天井や床が崩れたら嫌だなぁ…」って思ったら、そりゃ放ってお…
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