門前町
先週は投稿できず済みませんでした。ちょいと野暮用が(;^_^A
読んでいただきありがとうございます。見捨てないで下さいね。
追記 参照文献 シリーズ本編第九章 閑話デパ地下ダンジョンの探索者 (笑)
港町マイヅルからダンジョンまでは、既に街道が通っていた。
私道じゃなくて街道。国の大動脈の主要街道から枝分かれした地方道と言う奴だ。
行政用語でいうと国道になる。
敷設費用は国持ちで、維持費はその地を代表する高位貴族持ち。通称として貴族家の名前で呼ばれることが多い。デイネルス侯爵領を通るデイネルス街道という具合。
でもね、なんでランドール街道が出来てるのかな。普通、こう言うのは侯爵領か公爵領の話でしょ。ランドール家は伯爵なんだけど。
「まあまあ、それだけランドール領が特別ってことでっしゃろ。王家肝入りは伊達やないっちゅうことでんな」
「いや、特別なのはダンジョンではないか。デルスパニア王国ランドール伯爵領地下ダンジョン。今のところここしか確認されていないのだろう」
「うっわ、真面目ですなぁ。デパ地下ダンジョンで良いやないか。フルで言うたら長ったらしくてかなわんわ」
コーカイとレナード、相変わらず仲良いね。平民の商人とバリバリの武門の貴族の二人で馬が合うなんて、正直思ってなかったんだけどね。
ルイも初めの内は無礼だなんだと文句付けてたけど、 最近じゃ、呆れ顔で見てるよ。
整備された街道と高級馬車の組み合わせは最高で、ほとんど揺れのない快適な走行が続いた。
ひたすら続く無人地帯に、宿場町、というか宿営地かな。とりあえず宿屋だけは完備してる集落がほぼ等間隔で置かれていた。
将来的には人口が増えて、地方都市になっていくんだろうな。
なると良いな。
せめて村にはなって欲しいな。
二時間ほど馬車を走らせれば、次の場所にたどり着く。休憩も宿泊も一切不自由なし。
「なんか、有り得ないんですけど。ちゃんとしたトイレで用を足せるって、街中だけの贅沢じゃなかったっけ。ここ本当に辺境なんか」
うん、ライナー。言いたいことは分かるけど、ちょっと下品だからな。学園ではそんなこと口にしない方が良いぞ。
三日目の昼。ダンジョンのある山の中腹が見えてきた。
前に一度来たこと有るんだけど、すっかり様変わりしててびっくり。
入り口があったはずの場所には大きな門が出来てるし、山の麓にはちょっとした町が出来ていた。
麓の町は、デパ地下門前町という、解り易い名前だった。
単純すぎると言うか、それって普通名詞じゃないの。他にダンジョンが見つかったら、絶対追加で固有名詞が必要になる奴だよね。
「でしょうね。ですが、今は仮称でも付いてるだけマシですよ。ランドール伯爵領は雨後の筍みたいに集落が新設されてますから、どこも番号で呼ばれてます。まあちゃんとした名前がついても、誰も知らないんじゃあ意味ありませんから」
教えてくれたのはキャラバンの責任者さん、今は馭者をしてくれているジョンさんだ。
「そろそろ町に着きます。探索者ギルドの本部から迎えが来ている筈です」
ジョンさんの言葉通り、町の入り口でこちらに手を振っている人たちが見えてきた。
「ようこそ。お待ちしていました。歓迎しますよ」
マイヅルのサウザンド商会支店でも、同じような挨拶された気がする。
「ひとまず、ギルド本部へご案内します。ギルドマスターのテイラムもお迎えに伺いたがっていましたが、本部の方で待たせています」
そう言って馬車に同乗してきたのは、前回訪問した時にお世話になったディックさん。他の人たちは、ゆっくり進む馬車の隣を歩いてる。
さすがに新設された町だけあって、道は真っ直ぐ、幅も広い。
「元々国軍の調査隊に参加していたんですが、探索者ギルドが立ち上げられることなって、そちらに移籍したんですよ。騎士団よりダンジョンの仕事が面白そうだし、テイラムさんに誘われましてね」
ふうん。そうなんだ。あのテイラムさんが選んだんなら、優秀な人なんだな。
「全く、お出迎えを口実に仕事をさぼろうとするくらいなら目をつむってあげるんですが。何も前日から町の外に出なくて良いでしょうに。それも朝からですよ」
あー、テイラムさんらしいと言えばらしいけど。
「なあなあ、マーク。テイラムさんって知りあいか」
「ああ、子供の時から可愛がってもらってるよ。オスカー義父さんの副官で親友。自他共に認める相棒。僕もライナーとそうなれたら良いなって思う関係の人」
「そうなんか。何か照れるな。マークにそう言われると」
周囲の視線が微笑ましくなった気がするけど、おい、コーカイ、ニヤニヤ笑いするなよな。
おおう。街には着いたけど、ギルドまで辿り着けませんでした。次回こそ、ダンジョンに潜りたい(笑)
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