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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第九章 修学旅行

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デパ王国の街道事情

 修学旅行、始まり始まり~。

 デルスパニア王国の王都デルーアは、巨大な城塞都市だ。

 高く分厚い城壁は戦乱の時代に築かれた。防御に全フリされた構造で、東西南北の(よっ)つの城門からしか出入りできない。

 あまりに不便なので、追加で通用口を造ろうという話は何度も出たが、そのたびに技術と資金の問題で頓挫(とんざ)してきた。


 王城から延びる大通りは、城門を(くぐ)ると名を変える。東城門から延びるのは中央東部街道。そのまま国土を横断し、バルトコル伯爵領を経て東の隣国トマーニケ帝国へと続く。


 東西南北への主要街道から枝分かれするのが地方街道。

 大抵は大貴族の家名が通称として使われる。デイネルス侯爵領を通るなら、デイネルス街道という具合だ。

 地方街道から枝分かれする道は、全て私道扱いになる。

 街道と呼んで良いのは、行政用語で国道と呼ばれる道だけだ。




「へえー、道にも色々あるんだ」

 ガタゴトと揺れる幌馬車の荷台で、ライナーが感心したように言った。


 さすがはサウザンド商会が仕立てたキャラバン、他国との交易にも使われる大型の幌馬車が何台も連なっていて、存在感が凄い。

 足を引っ張る徒歩移動は一人も居ない。護衛の騎馬以外は全員が幌馬車に分乗している。


 街道を通る行商人の荷車を追い抜いたり、身軽な早馬に追い越されたり。

 徒歩の旅人が、見物がてら立ち止まって道を譲ってくれたり。

 そんな中を、一定の速度を(かたく)ななまでに保ちながらキャラバンは進む。

 

 納品のため運搬している高級馬車に乗車しているのは、レナード・ルシアン伯爵令息と、ルイ・バースタイン男爵令息。

 仲間外れのようで悪いが、幌馬車の空きスペースには限りがあるので、そっちに行ってもらった。

 ちなみにコーカイは、研修のため幌馬車オンリーの予定だ。


「何ゆうてんでっか、マークかてお貴族様ですがな。こう、高級馬車で、デーンと構えてたら良いでっしゃろ」

「ええ、それじゃ面白くないよ。せっかくのキャラバンなのに体験しなきゃ損じゃねぇ。それに修学旅行なんだからレポートの種は多い方が良いよ」


 コーカイとライナーがいつもの様にじゃれ合っている。すこぶる平和だった。




 左手に見えていた山の縁を回り込むように私道へ入って、初日の夜を過ごす宿場町へ到着した。

 キャラバンの定宿は心得たもので、専任の馬車係がスムーズに幌馬車を宿の裏手へ案内してく。

 コーカイはキャラバンの責任者にくっついて、宿の主人と顔つなぎしたり、細かな手続きの実地訓練をしたりで忙しそうだ。


「支払い関係はサウザンド商会名でツケが()きまっさかい、楽なんですけどな、人数確認や部屋のランク交渉なんかが面倒ですわ。空きがないゆうて、無駄に高い部屋押し付けられても困りますわ。あ、学生やからって、貴族向けの宿の紹介は断っときましたで。そっちの高級宿行きたいんやったら、旅費が厳しくなりまっせ。自腹厳禁やからなぁ」


 僕は構わないけど、レナードとルイはどう。


「勿論。軍人たるもの、戦地で野営をこなせないようでは務まらないからな。私よりもルイはどうだ」


 さすが脳筋……じゃなくて武門の伯爵家だな。


「レナード卿が宜しければ付き従うのみです。というか、仲間外れは酷いですよ」


 おお、ルイが茶目っ気たっぷりに笑ってる。

 相変わらず腰ぎんちゃく、もとい、取り巻きを止めてはいないけど、普通の友人関係を構築できてるようで良かった良かった。


 宿の一階は大食堂になっていて、キャラバンの小父さんたちとも交流できた。

 今まで関わったことのないタイプの人たちで、ちょっと面食らったりもしたけれど、悪い人たちじゃなかった。

 そりゃそうか、サウザンド商会が雇ってるんだもんな。




 途中の農村で用意されていた追加の仕入れ分を積み込みながら、幌馬車は進む。わざわざ王都まで取り寄せるより、産地で直接仕入れた方が安いし新鮮だ。

 村で待っていた商会の奉公人は、若手の有望株だった。コーカイの知り合いで、商人あるあるを色々と教えてもらった。

 キャラバンの出先仕入れは、自分で全てを采配する初めての仕事で、これが出来て一人前なんだとか。



 五日目にして幌馬車は満杯。幌馬車の馭者席に陣取ったコーカイを除いた四人で高級馬車に乗った。

 さすがの乗り心地で、デイネルス侯爵家の家紋付き馬車と同じくらい静かで揺れが少ない。


 そのままほとんど人通りのない寂れた私道を進んで、ランドール伯爵領に入った。

 さすがは未開の辺境の地、急ごしらえの土を固めただけの道が真っ直ぐ一本あるだけで、見通しだけは良かった。





 日が傾いてきたころ、真新しい宿が一軒だけ、ポツンと建っていた。













 昨日、三月十六日に、北陸新幹線が敦賀まで延伸しました。

 福井駅に程近い三階建てのショッピングセンターの屋上駐車場で、ブルーインパルスのパフォーマンスを見物しました。

 新幹線の線路を見下ろしながら堪能できました。晴天だったものの、花粉で春霞状態。それでも太陽の光を反射する機体は、キラキラ眩しかったです。


 中編リアーチェ・デイネルス侯爵令嬢の結婚を、異世界恋愛にジャンル変更しました。一応、恋愛話ですよね、あれ(笑)


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[一言] 道の駅・・・じゃないな、郊外型ラブホテル?(スットボケ
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