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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第九章 修学旅行

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修学旅行はダンジョンへ

 久しぶりに更新再開します。

 『リアーチェ・デイネルス侯爵令嬢の結婚』と、正月特番の短編の筈が中編になってしまった『公爵令嬢と王太子殿下と聖女様 見守る私は侍女でございます』の二編。完結しました。

 タイトル上のシリーズ表示から行けますので、覗いてみて下さい。

 

 二年生になると、学園で定められたイベントがある。

 その名も修学旅行。生徒自身が旅行の企画を立て運営を経験するとともに、王都外へ出かけて見聞を広めるためのものだ。


「まあ、色々理屈を付けてはいるが、パーッと羽目外して青春の思い出作って来いってことだ。ただし、旅費は学園から出る予算内で遣り繰りすること。自腹を切るのは原則禁止。それから旅のテーマにそった活動内容をレポートにまとめて提出すること。一応、修学だからな。過去には近場で宿を取ってどんちゃん騒ぎで旅費を使い切ったやつもいたが、どんな成績が付いたか、知りたいか」


 ジャック先生が教室をぐるりと見まわした。

 Aクラスの生徒はだいぶ顔触れが入れ替わっているけど、教師は、そのまま二年のAクラス担任に持ち上がっている。

 このままAクラスに残留できれば、三年になってもジャック先生が担任になるのかな。


「その時のテーマは、観光地振興の可能性。出された宴会料理について、事細かにレポート作成してな、原材料の調達コストから流通経路、調理人の技能向上の施策案、客層に合わせた価格設定案。そりゃもう、すぐに実現できるレベルで、最高評価を叩き出した」


 へぇ、そりゃ意外。


「要はテーマ選びと、内容のあるレポートを出せるかだ。旅程の作成と手配も加点対象になる。言っとくが、二番煎じは通用しないぞ。次の年にどんちゃん騒ぎやらかしたやつは、ろくなレポートを出せなくて最低評価で終わったからな。今から費用請求用紙を配るから、メンバーを決めたら事務所に提出、予算を受け取って来い。取ってる授業の兼ね合いもあるから、うまいこと予定を合わせろよ。以上だ」




「で、どこに行きますねん」

 大商会の跡取り息子のコーカイが訊いてきた。他はレナード・ルシアン伯爵令息とそのお供のルイ・バースタイン男爵令息。それにライナーも。

 なんだかんだで、いつもつるんでいるメンバーだ。


「その前に予定のすり合わせだろ。まとまった時間となると、やっぱり長期休暇中かな」

「あー、すんまへん。わし、長期休暇は家の手伝いゆうか、家業の研修ありますねん。マークんとこのランドール伯爵領の支店まで行かなあかんのですわ」


 さすがは大商会。開拓がはじまったばかりの伯爵領にもう進出してるのか。

「じゃあ、ランドール伯爵領へ行かないか。デパ地下ダンジョンっていう他所にはない施設があるから、そこをレポートすればいい」


「デパ地下、とは何だ」

 去年より筋肉がついて一回り大きくなったレナードが、不思議そうに言った。


「デルスパニア王国、ランドール伯爵領、地下ダンジョン。略してデパ地下。まあ、行けば分かるよ。国から引き渡しが終わって、今、開発中なんだ。発見されたばかりだから、まだ誰もテーマに取り上げてない。間違いなく僕らが一番乗りだ」


 これなら何を書いたって二番煎じにはならない。全く世間に知られていない今なら、壁の色や天井の高さなんてどうでもいいデータでも貴重な情報になる、はず。

 だよね、そうだよね。


「面白そうやおまへんか。んで、足は何使うんでっか。わしは商会の馬車に便乗するつもりやったけど、それって自腹になるんやおまへんか。修学旅行は自腹禁止でっしゃろ」

「予算から運賃払えば良いんじゃないか。というか、タダ乗りするのは自腹になるのか。自分の財布から払う訳じゃないだろ」


 うーんと考えこんだら、ライナーがあっけらかんと言った。


「分かんなかったら先生に聞けばいいんじゃね。それか事務員さんに聞くか。どっちみち予算申請しなきゃだから、事務所行かねぇ」


 それもそうだ。予算額が分からないと、いくら使っていいかも分からないしな。




「無料乗車は自腹にはなりません。伝手や交渉力を使用するのも立派な経験ですからね。全然アリです。工夫して素敵な旅を」


 にっこり笑った事務のオバサ……お姉さんが手続きしてくれた予算は、一律金貨五枚の人数分。

 もちろん、本物の硬貨をジャラジャラ言わせたりしない。学生証を兼ねたカードにチャージしてくれた。

 かさばらなくて便利だけど、使用履歴がバッチリ残るから誤魔化しは一切効かない。明朗会計と言う奴だ。


「ええ~、これ、貴族相手の高級店でしか使えないやつじゃないか。旅先では使いにくいだろ」

 ルイが文句をつけた。

 バースタイン家は地方の男爵だから、感覚は平民寄りだ。僕の家もついこの間までそうだったし、ニーナ義母さんの実家なんてもろに平民生活してるから、良く分かる。


「大丈夫。商業ギルドに行けば、現金で引き出せるから。それも履歴に残るし、常識的な範囲で使ってくれよ。ケチケチする必要はないけど、無駄遣いはナシだよ」


「そやったら、わしが会計係しましょか。五人分まとめて管理しまっせ。帳簿は任せてくんなはれ」

 コーカイが言い出して、それじゃあと任せることになった。



 いいけどさ。まだ目的地と人数しか決まってないんだけど。

 先ずは日程だけでも決めよう。

 みんな、予定のない日を突き合わせようか。














 本編では、国際連携機構の設立式典の一週間後にバルトコル伯爵家からの呼び出しがありますが、タイムスケジュール的に厳しいので、マーク君の話では年単位でずらしました。

 タイトルごとの設定アレンジですので、スルーしてくださいませ。


 他にもこまごまとしたアレンジがあります。ただし、単なるお冨のポカミスの可能性大ですので、突っ込みは歓迎いたします(笑)


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] コネを使うのがアリならマー君ちに泊まるのもOKとなるのかな。レポートは 「ダンジョンを管理している領主様がご不在であったが代理であるご令息との関わりを得る事が…
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