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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第八章 叔父さんの訪問

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遠くの親戚

 遅くなってすみません。なんとか更新。


 誤字報告有難うございます。

 キャサリン母上とバルトコル伯爵家との関係は、いささか複雑だ。

 いや、いささかなんてもんじゃない、ものっすごく複雑なんだ。

 高位貴族の色々があって、ずっと絶縁状態だったバルトコル伯爵家が接触してきたのは一昨年(おととし)のこと。まだ二年しか経ってないのが不思議なほど昔に感じるけど。


「ご存じの通り、バルトコル伯爵家はデルスパニア王国でも指折りの大貴族です。その内情の全てをお話するわけには行きません。どうしてもというなら、説明することもやぶさかではありませんが、知らない方が良いと思いますよ。主に身の安全という意味で」


 オスカー義父さんがさらりと言った。

 お客様の三人、エバンス商会のカールさん、サウザンド商会のキースさん、その息子のコーカイがそろって息を呑む。


「あ、別に脅してるわけじゃありません。ただ、余計な気苦労を背負(しょ)い込むことは無いと思うので。私としては、これから交易のパートナーとして親密にお付き合い願いたいだけですから。説明できることは説明しますし」


 義父さん、お客様が戸惑ってますよ。威厳とまでは言わないけど、もうちょっと軍人らしさがあった方が良いんじゃないかな。貴族らしさでも良いけど。

 

「ああ、やっぱり、バルトコル伯爵家の事情についてはエバンス商会の先代に確認してください。私の口から説明するより、ご本人から聞かれた方が良いでしょう。ただ、誰が悪いわけでもありません。事実、エバンス商会は伯爵家から優遇されていたでしょう」

「それは、まあ、確かに。ですが、伯爵夫人がわたくし(ども)の姉というのは、(まこと)でしょうか。正直、信じがたく」


「本当ですわ」

 母上が答えた。


「わたくしは母を知りません。物心ついたときには、もういらっしゃいませんでしたから。母は伯爵家第三夫人、そして平民出身でした。わたくしの姉たちは、侯爵家と伯爵家へ嫁ぎましたけど、わたくしの嫁ぎ先はランドール子爵家。そう言う事ですの」


 一見、あからさまな姉妹格差に見えるけど、いろいろ事情があってのことだと分かってる。それも一昨年の騒動の一端だ。

 ただ、その事情を公にするのは(はばか)られるわけで。


 なんとも気まずい空気が流れたけれど、それを断ち切ったのは、ニーナ義母さんだった。


「昔の事は昔の事よ。いきなり姉弟だって言われても戸惑って当たり前よ。今まで全然つきあい無かったんだし、でも血のつながりはちゃんとあるんだから、これから親戚づきあいしていきましょうで良いじゃない。ほら、キャサリン義姉さん、お二人と並んでみて。特に弟さんのキースさんと目元がそっくりよ。良く似てるじゃないの」

「あ、ほんとだ。言われてみるとほんとそっくり」


 ミリアが大声出してはしゃいだ。

 それに乗っかって、ライナーも「そっくりですね」とコーカイに呼び掛けた。

 空気を読んだコーカイが、「ほんまやなぁ」とのんびり応えて、ようやく空気が弛緩した。




 その日は、バルトコル伯爵家からの紹介状をカールさんとキースさんに直接読んでもらって、お開きになった。

 内容はオスカー義父さんが口にしたことまでで、それ以上踏み込んだことは書かれていなかった。

 書かれていたのは、エバンス商会に便宜を図って欲しいという依頼と、商会は信頼できると言う保証の言葉。


 立派な推薦状を受けて、ランドール伯爵家として問題なく交易許可を出せるそうだ。


 カールさんとキースさん、二人の叔父さんはまだどこか呆然としてたけど、次に会うときはしっかり商人の顔になってるだろう。

 元々、今日は顔合わせだけの予定だったし、これから具体的な交易の話になるからね。




 ここから先は大人の話。コーカイは父親のキースさんに教えてもらってくれ。


 ライナーとルシカ先輩は僕担当だな。二人とも、僕のぶちまけ要員なんだから、しっかり聞いてね。









 次回、詳しい説明回です。


 オスカー君、どこまで説明して良いものか悩んでました。ニーナ義母さん強い。国王陛下相手にも開き直ってみせた前科がありますから(笑)


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] お二人は 「王様の耳はロバの耳」 をぶち撒ける穴の代わりですか。
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