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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第七章 聖女ミリア

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国際連携機構

 遅くなりました。いよいよ次回、ミリアちゃん登場。

 デルスパニア王国王都デルーア。広大な敷地を誇る城塞都市だ。

 戦乱の時代に作られた城壁は巨大にして堅固、東西南北四つの城門以外に通用門はない。あまりに不便だからと新設計画が何度か持ち上がったが、費用と技術的問題でことごとく立ち消えてきた。


 城門を護る王都警備隊は、それぞれ一個中隊五十人。貴族学園のすぐわきを通る北街道の起点の北城門は、北城門中隊が警備している。

 通常勤務は一チーム五人で交代制。時間帯によって三チームになったり、深夜なんかは一チームに減ったりする。

 その日の休暇に振り分けられるのは十人。シフトの組み合わせ次第で長期休暇も可能。ただし、埋め合わせの長期勤務とセットになる。


「ずいぶん詳しいんだな、マーク」

 母上の特訓の成果か、ライナーの訛りが随分取れて来たな。


「まあな。オスカー義父さん、東城門中隊の隊長してたんだ。トマーニケ帝国との戦役が始まる前だけど」

「へえぇ、意外。救国の英雄様はバリバリの軍人だって印象なのに、門の衛兵やってたんか」

 ライナー、また訛ってきたぞ。


「まあね。今回はトマーニケ帝国の皇帝陛下とタムルク王国の国王陛下もいらっしゃるから、騎士団も王都警備に駆り出されているんだ。オスカー義父さん、その責任者だそうだよ。騎士団と王都警備隊の両方に顔が利くからって」

 治安維持の警備隊と純粋な戦闘集団の騎士団。同じ国軍所属だとは思えないほど性格が違うから、間を取り持つのが大変だって、オスカー義父さんがニーナ義母さんに愚痴ってた。


「なんか緊張感すごそうだな」


 そうなんだよ。どちらも元敵国、タムルク王国に至っては終戦からまだ一年経ってない相手だ。

 そりゃあ、先日までの敵が目の前に居るんだ。お互い内心は複雑だろう。どの国も護衛としてそれなりの人数の軍人を帯同しているし、神経を使わざるを得ない。


「騎士団が国境で出迎えて護衛に当たるんだけど、多すぎても少なすぎてもいけないんだ。相手は捕虜じゃなくてあくまで国賓だからな。多すぎると護衛じゃなくて護送になってしまう。少な過ぎたら相手を軽んじることになって非礼だし。前例が無いから本当にさじ加減が難しいって言ってたよ」

「ふうん。そうなんだ」


 ライナーと二人、こそこそ話しているけれど、周囲の喧騒にまぎれて誰かに聞かれる心配はない。みんな目の前を通る馬車列に釘付けだ。

 ここは北城門。東のトマーニケ帝国と西のタムルク王国が使うことはまずない。突発的な揉め事を心配せずに見物できて、気が楽だ。


「北方諸国って、小さい国ばかりだから、合同で王都入場してパレードの(かさ)増ししてるらしいよ。国の並びをどうするかで揉めたけど、我が国はノータッチだってさ。結局、くじを引いたって」


「国同士の意地の張り合いって、なんか子供の喧嘩じみてねぇ。なんで大人の対応ってやつ、できねぇのかな」

 全く同感。それよりライナー、言葉遣いが崩れてるよ。


 


 北城門で華やかなパレードを見物してから十日。王宮から正式発表があった。

 無事に国際連携機構が発足し、これを祝して三日間の祭りが開かれると。王宮の前庭が開放され、今回(つど)った賓客のお披露目が挙行されると。


 前代未聞の行事に、王都は沸き立った。

 他国の元首が参加されるなんて、それだけで特別な祭り確定だ。戦争も終わったし、盛り上げなくてどうする。

 街には様々な露店が並び、花飾りと振る舞い酒があふれ、誰かのかき鳴らす楽の音が流れた。新年の祭り以上の賑わいが広がった。


 他国から訪れた者たちは、貴賤関係なく王都デルーアの規模と豊かさに圧倒されていた。

 それでも祭り最終日の驚愕に比べれば、何ほどのことも無かったと思い知ることになる。


 何しろ、王都の住人たちでさえ、驚愕から逃れられなかったのだから。










 繋ぎの話です。ちょっと薀蓄が止まりませんでした(笑)

 次話で本編の一周年記念話に繋がります。ミリアちゃん、頑張れ~。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] この星の人類生存域ってデパ国中心にした一帯だけかな 惑星のサイズ的に星全土に広がってると文明進行度を方舟なしでコントロールできないだろうし [一言] 文字通り世界が変わる瞬間だからね
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