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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第七章 聖女ミリア

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特別授業

 本編の聖女様騒動を、学生視点で書いてみました。当事者でなければこんなもんじゃないかな。


 感想、誤字報告、いつもありがとうございます。

 明日日曜日は、デイネルス侯爵令嬢の更新予定です。

「皆も知っていると思うが、国際連携機構が設立されることになった。我が国が中心となって進めたプロジェクトだ。来年から正式にカリキュラムに組み込まれるが、今年は特別授業でカバーするからな」


 毎日の昼休憩後のクラスミーティングで、担任のジャック先生が宣言した。


「場所はここ。明日から放課後に集合すること。全員そろってからきっちり一時間の座学だ。一人でも遅刻すると晩飯が遅くなるから、恨まれたくなかったらさっさと集まれよ。食い物の恨みは恐ろしいぞ」


 先生の軽口に笑いが起きる。

 これでみんな、時間に遅れることは無いだろう。育ち盛りの生徒にとって、食事のお預けは結構つらい。


「何日続くかは、進捗(しんちょく)状況による。ま、お試し授業だな。今年の特別授業を参考に来年からカリキュラムを組むわけだ。何事も初めてってのは試行錯誤が付き物だ。可能な限り余裕を持たせてトラブルに備えるのがコツだぞ。効率化するためには、何が省ける無駄なのか知らなきゃいけない。それには、実際やってみるしかないからな」


 先生の有り難いご教授だけど、真剣に聞いているのはクラスの一割居るかどうか。

 また小難しいこと言ってるよと、大半の生徒は聞き流している。ちょっと勿体ないと思うんだけどな。




 国際連携機構、略して国連。

 そもそもの言い出しっぺは、デルスパニア王国の聖女様、つまり僕の義妹のミリアだ。

 御神託を受けたって公表されてるけど、みんな半信半疑。前代未聞の計画の箔付けじゃないかって思われている。


 そもそも聖女様なんて、今まで聞いたことが無い。御神託って、そんなもの本当にあるんだろうか。王家が神様の子孫って言うのは、おとぎ話じゃなかったっけ。

 庶民の認識はそんなものだった。


 そりゃそうだろう。お披露目パーティーがあったけど、それに参加したのは高位貴族と他国の外交官だけ。一般庶民は直接見聞きしたわけじゃない。

 いきなり信じろと言ったって、無理ってものだ。


「今配った資料が国際連携機構憲章だ。しっかり読んで理解しとけよ。次の試験で出るからな」

「ええ~」

 ジャック先生の言葉に、クラス全員がブーイングの声を挙げた。


「試験範囲が事前予告されるんだ。喜んどけ。国連加盟国の義務、特に相互不可侵条約と通商条約の強制参加を抑えておけば、合格点は取れるぞ。後は参加する国の国名を正確に書けるようにしとけ。略称じゃなくて正式名称な。間違ってもデルスパニア王国をデパ国って書くんじゃないぞ」


「はぁーい」

 生徒のやる気のない合唱で、一回目の授業は終わった。


 寮の部屋へ戻ってから、ライナーに泣きつかれたのは意外だった。


「そりゃ、お貴族様なら知ってて当たり前なんだろうけどさぁ。外国の名前なんて知らなくても平民には関係ないって。卒業試験でも出てこないし。開拓村で読んでた本だって、北の国とか、隣の国とかしか書いてなかったんだ。どうしろって言うのさぁ」


 正式名称以前の問題だった。肝心の国名知らなきゃ、書きようがないか。

 しょうがないから、正式な国名の一覧表を書いて渡しておいた。





 特別授業最終日、先生から国連の設立総会が我が国で開催されると知らされた。


「参加各国から、国家元首が参列することになった。有史以来、初めての快挙だ。そもそも国王や皇帝が自国を出るなんぞ、滅多にないからな。いずれも国賓、きっちり御芳名を抑えとけ。ミドルネームやらなんやら長いお名前が多いが、正確に書けるようにな」


 国名だけなら余裕だったコーカイ、一応高位貴族のレナード、そしてもちろんライナーも。

 そろって泣きつかれた僕は、自主学習に付き合うことになった。

 何故かメンバーが増えて、他のクラスの生徒まで混じって来たのは謎だった。


 別に僕じゃ無くたって、教えてもらう相手はいくらでもいるだろ。何で僕に来るんだ。

 ミリア関係か。聖女様に近づきたいのか。僕にはどうにもできないんだけど。





 そんな風にのんびりしていられたのは、(くだん)の設立総会までだった。








 国際連携機構設立のお披露目、実質的にミリアちゃんが主役を掻っ攫います。そのあたりは本編第八章で書いているので、一般市民から見た大騒動ぶりを補足したいなと思ってます。


 予定通り書けると良いな。また話が斜めに発展しないか、ちょっぴり不安なお冨です。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。


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