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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第六章 ダンジョン

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義弟よ

 ちょっと、リアーチェ叔母様の話を進めようかと思ってます。タイトルは『リアーチェ・デイネルス侯爵令嬢の結婚』

 大体の粗筋は本編に準拠しますけど、設定やエピソードに手を加えて、独立した中編にする予定。

  

 そちらと同時連載になるので、マーク君のお話の更新が無いときは、侯爵令嬢の結婚話を覗いてみて下さい。


 あ、あと、土曜日仕事の時は、どちらも更新無しになります。お含みおきください。

 僕が生まれ育ったランドール子爵邸。今はランデア子爵邸と名前を変えたけど、他は昔のままで、すごく安心できる。お祖父様とお祖母様も、お変わりなくて良かったです。


「お帰りなさい、マーク坊ちゃま。今夜は坊ちゃまの大好きなシチューですよ」

 笑顔が大好きだよ、マーサ。でも、坊ちゃまはそろそろ止めてくれないかな。


「背、伸びたなぁ。元気そうで何よりでさぁ」

 タンガ、頭を掻き回すのは勘弁して。髪がグシャグシャになるから。


 やっぱりここが僕の居場所だよ。頑張って子爵家当主を目指さないと。


 ランデア子爵邸で一泊して、翌日にはツオーネ男爵領へ向けて出発した。

 お祖母様はもっとゆっくりして行けば良いのにって言ってくれたけど、そうそう学園を休んでいられないから。

 次の長期休暇で里帰りするから、楽しみに待っててね。




 王家の馬車には不釣り合いな田舎道を、遠くに見える山地へむかって走ること半日。

 脇道へ曲がるたびに細くなっていく道は、僕の記憶にあるよりずっと整備されていた。綺麗に(なら)されて、(わだち)や乾いた水溜まりの跡が消えている。


 山の(ふもと)の高台まで登ると、そこがツオーネ男爵領。

 王都からわずか一日半の距離なのに辺境扱いだったのは、この山のせい。村から先はどんどん標高が高くなって、そのまま険しい山脈につながっていく。


 村のある高台はどうしたって水の便が悪いし、ほとんどが丘陵地帯で平地に乏しい。放牧は盛んだけど麦は申し訳程度にしか作れなくて、人口が増えない。

 ツオーネ家初代は何とか人口五千人の壁を突破して辺境開拓成功、男爵に叙爵したけど、後は鳴かず飛ばず。


 普通、領地持ちの男爵は領都の町と複数の村を持っていて、それぞれに町長と村長を任命して、その上に立ってご領主様と呼ばれるものなんだ。

 だけどツオーネ男爵領の村は最初の一つのまま。実態はツオーネ村の村長さんが、男爵の肩書を持ってるだけだったりする。


 丘の間を縫うように一本道が続く。馬車の窓からは、のんびり草を食べている牛や山羊、羊なんかがまばらに見える。

 ごくごくたまに村人を見かけると、馬車に気付いて手を振ってくれる。


 騎馬の近衛騎士の一人が先行して、先触れをしてくれた。年季の入った小さな家が並ぶ村に入ると、家に残っていた人たちが総出で出迎えてくれた。みんな笑顔だ。


 村の奥のちょっと大きめの家。村には一軒も宿屋が無いから、来客用の部屋数だけは揃っている村長宅。

 門も庭園も無くて家庭菜園が広がっているから、パッと見は農家その物。


 ここがニーナ義母さんの実家。ミリアやカークと一緒にしょっちゅう遊びに来てた。僕と義妹義弟にとって、田舎の祖父ちゃんと祖母ちゃん()だ。

 今はランドール伯爵領調査隊の後方基地になっている。ここから先は小型の荷車しか通れないので、ここで馬車を下りて馬に乗り換えるんだ。


「マーク兄ちゃん、いらっしゃい」

 義弟のカークが飛びついて来た。


 ミリアはニーナ義母さん似だけど、カークはオスカー義父さんにそっくり。

 カークが生まれた時はトマーニケ帝国との戦争の真っ最中で、オスカー義父さんは出征中だった。本当に義父さんの子かと下世話な噂が流れかけたそうだけど、カークが父親似で良かったよ。


 ちなみに、噂を流そうとした(やから)は、しっかりリアーチェ叔母様に目を付けられたそうだ。オスカー義父さんの出世に嫉妬するような小者のあぶり出しの囮に使うとか何とか。

 なんか怒るより、憐憫(れんびん)の情ってやつが湧いて来てしまった。


「兄ちゃん、ずっと居るの。いっぱい遊べる?」

「ごめんな、兄ちゃん、これからお仕事なんだ」




 残念だけど、今回は顔を見せるだけ。このままデパ地下ダンジョンに向かわないと。









 高台の丘陵地帯。放牧地が広がる田舎。アニメアルプスの少女ハイジの舞台をイメージしてます(笑)


 次話でようやく領境の山の中。岩塩採掘の開拓村から、どれくらい離れているかな。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] ブランコで遊ぶ少女の姿が目に浮かびました。
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