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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第六章 ダンジョン

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出立

今回は薀蓄話。本編とかなりかぶってます。上手くダイジェストできたかな。

 王都北の森林公園の入り口から学園の正門までは、馬車の乗り入れ禁止になっている。

 過去、貴族の子弟の馬車が大渋滞を起こし、歩けば十分の所を半日掛かる事態が頻繁に起こったためだ。


 上位貴族が通りかかるたびに下位貴族に馬車を脇に寄せさせたとか、伯爵家同士でどちらが道を譲るかでもめたとか、そりゃあ半日掛かっても仕方ないだろう。


 現在は、全員徒歩。道を譲る譲らないで揉めるのはご法度。

 暗黙の了解で、森林公園入口まで馬車を出して良いのは家の紋章付きの高級馬車を用意できる家だけ。それ以外は乗合馬車か、辻馬車を利用することになっている。


 例外は怪我人や病人、業者の荷車、そして公式に派遣される王家の馬車だ。





 学生寮の玄関まで乗り付けた馬車は、それはもう目立っていた。


 業者の荷馬車は裏門からすぐの物置までしか入らないし、生徒の目に留まることはほぼない。学園の敷地内を堂々と馬車が通るだけで異常事態だ。

 しかも、馬車を囲むように騎馬の近衛騎士が従っている。


 こんな派手な迎えを寄こした誰かに、僕は内心で文句を付けた。

 衆人環視の中で馬車に乗り込んだけど、帰ってきたら、根掘り葉掘り聞かれること確定だ。不機嫌になるくらい、当然だと思う。


 仰々しく見えるけど、実は、近衛騎士の皆様は王都警備隊からの出向組。一般的な近衛騎士のイメージとは完全に別物なんだ。クラスの皆にはそこから説明しなきゃな。


 一般的なイメージの近衛騎士って、公爵家と侯爵家の家督を継がない子弟で、全員が王位継承権を持つ超エリート。

 王族のお傍に(はべ)り、時には護衛対象の代理を務められる方々。

 国王陛下の側近中の側近、なんだけど。


 去年、タムルク王国との戦争が勃発して、多くの近衛騎士の皆様が騎士団に所属を移した。

 近衛騎士は国王陛下の私兵、騎士団は国軍の中枢で、全くの別組織。王族警護の任より国家防衛を取られたわけだ。


 戦時中の判断としておかしなことではない。実際にタムルク王国へ出征中でいらっしゃる。

 安全な後方から前線へ志願されたんだから、誰も表立って非難できたりしない。


 ただ、問題になったのは、近衛騎士の人員不足。


 貴族街の警備を担っていた近衛兵は、本来は各貴族家の自領軍の指揮官、ということになっている。

 戦時になった以上、平時の片手間仕事あつかいの王都旧市街警備を離れ、自領に戻ってしまった。近衛騎士の代理は物理的に不可能。


 近衛兵の代役で貴族街の警備に駆り出された王都警備隊は、元々平民街の警備が仕事だった。

 その近衛兵代理の中から、騎士爵持ちの一代貴族が選別されて、王族警護に駆り出された。名目だけの近衛騎士の出来上がりだ。


「制度上は全く問題ありません。陛下の私兵ですからね。採用基準は陛下の胸三寸、平民でも外国人でも選び放題ですよ」


 穏やかに説明を締めくくったのは、馬車に同乗してくれているグレーン・スミス代官。

 スミス公爵家の長男で家督を継がないからと近衛騎士をしてらしたのに、ランドール伯爵領の代官に成るために、家から独立して騎士爵になった人物。


「私は一時的にですが、騎士爵の身分で近衛騎士を務めましたから。前例がある以上、誰にも文句は言わせません。今後は学園を卒業しさえすれば騎士爵に叙爵されるのですから、平民出身の近衛騎士が誕生するのもそう遠くないでしょう」


 はあ、そうですか。

 近衛騎士の価値が大暴落するのに、抵抗感は無いんですか。


 言葉遣いは穏やかなのに、言ってる内容は全然穏やかじゃない人物。それが僕のグレーン卿評だ。

 政治的思惑やら何やら有るんだろうけど、僕じゃ付いて行けない。

 やっぱり僕には、伯爵は向いてないよ。




 王都から馬車で一日。地方街道沿いのランデア子爵領に行きつく。

 ここは元々のランドール子爵領で、ランドール伯爵家の従属爵位として安堵された時、名称を変更した。

 今は、先代ランドール子爵のお祖父様とお祖母様が暮らしている。


「お帰りなさい、マーク。元気でしたか」






 はい、ただいま、お祖母様。 









 マーク君のお祖母様登場。本編では台詞の有る登場場面が一度しかなかった方です。


 本編の時系列にそって、話を進めていきます。さて、次はツオーネ村かな。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。



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