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ライナー君頑張れ

 入道雲がもくもく。まだまだ暑いですね。

 ライナーの奨学金問題は、新たに新設された納期延期制度を利用することで解決した。まあ、学費の借入先が孤児院から学園になっただけだ。


 リアーチェ叔母様、ありがとうございます。まさかライナーのために学園改革してくれるとは思っていませんでした。

 ついでだからと笑ってらしたけど、ライナーがついでなんですよね。下級貴族の爵位制度改革がついでなんて言いませんよね。ですよねぇぇえ。


 学費は寮費と学食の利用も込みだから、生活に不安はない。

 ただ、なぁ。

 奨学生じゃないから、王都までの乗合馬車の年間無料パスは利用できないし、私服や遊興費、その他諸々の雑費は(まかな)えない。出身地へ現状報告の手紙一つ出せないんだ。


 今の僕ならライナーにいくらでも金銭援助できてしまう。だけど、それをしたら対等な友人関係は諦めなきゃいけないだろう。

 ただでさえ身分の壁があるのに、それだけは絶対嫌だ。

 だからライナー、義妹のミリアのとこのアルバイト、頑張ってくれよ。




 デイネルス侯爵邸を出て、ランドール伯爵邸へ向かう。


 引っ越してまだ半年経ってないし、使用人は高位貴族出身者ばかりで、正直まだよそよそしい。

 僕はこれから寮生活だし、我が家に馴染んで心からくつろげる日は来るんだろうか。


 玄関にずらりと並んだ上級使用人のお出迎え。人数は変わってないみたいだけど、顔ぶれがすっかり入れ替わっていて面食らった。知らない顔ばかりだ。


「お帰りなさいませ、マーク様」

 家令のリカルド・オーエンさんが、一分の隙も無い立礼をして来た。

 さすが国王陛下の元侍従長。さん付けで呼ぶとめっちゃ怒られるけど、心の中でだけにしとくから許してください。

 

「本日から交代要員が参ります。公爵十四家、侯爵百二十七家、全ての家の(えにし)の者が一巡するまで、半年ほど見ていただければ。その(のち)わたくしが責任もって選抜いたします。ご希望の者がいましたら、お申し付けくださいませ。その者を優先いたしますので」


 あ、はい。おまかせします。




「すげえな、マーク。侯爵家とか、そんないっぱいあるんだな」

 前に来た時と同じ談話室で一息ついて、ライナーが話し出した。


「ああ、ライナーも家名だけは暗記した方が良いぞ。歴史の授業で出てくるし」

「そっかぁ。村じゃお貴族様はみんな偉いって一括(ひとくく)りだったけど、色々違うんだな。えーと、長い塀のお屋敷だけ覚えとけば良いの。貴族街の伯爵家は流石に全部覚える自信ねぇけど」


 うん、僕でも無理。


「公爵家と侯爵家だけは暗記した方がよろしいですよ。貴族の常識です。十四家と百二十七家、合わせて百四十一。王家と共に建国以来途切れず続いていて、長い塀のお屋敷と王位継承権を持つ家です」

「なるほどぉ」

 ルシカ先輩の補足に、ライナーが大きく頷いた。


 閉めてない扉の外から、メイドさんが声を掛けてきた。


「失礼いたします。奥様とミリア様がいらっしゃいます」

「はい分かりまし……分かった」


 危ない、危ない。メイド相手の敬語は厳禁だった。

 ランドール子爵家なら子供の時から知ってる人ばかりで気安く喋れるけど、ここじゃあな。

 意識しないと敬語になってしまうんだ。うう、気が休まらない。


 そもそも、家の中で先触れなんて要るか。母上に教わった貴族の礼儀作法には、そんな話無かったのに。


 てててっと軽い足音がした。まだドアの所に居たメイドさんが振り返って慌ててる。


「ニーナ様もいらっしゃいます」

 早口でそう告げて、簡易版のカーテシーをする。優雅さが崩れないのは流石だ。


「お帰りなさい、マーク」

「マーク兄様、お帰りなさい」

「お帰り、待ってたわよ。何で家まで来たのに顔見せずに帰っちゃったの」





「ただいま帰りました。母上、ミリア、ニーナ義母さん」







 繋ぎの話になりました。ランドール家の女性陣そろい踏みです(笑)

 キャサリン義姉さん登場。

 貴族の教育が行き届いているので、使用人は奥様、ニーナ様と呼び分けています。


 とと、あれ、こっちの話ではキャサリン義姉さんの立場、まだ書いてなかったっけ。次話に説明入れないと(笑)


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 船長閣下のご実家に勤務するのは公爵・侯爵家全部の関係者が順番でか… 王族の侍従だってそんなことにはならんだろうに ガチで女神様扱いだな
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] メイドさんも多分というか間違いなく公侯爵家の令嬢とか、そんなんばっかりなんだろうなぁ。
[一言] ミリアちゃんのおてつだい・・・ ライナー君の人生えらいことになる予感しかしねぇ
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