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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第四章 奨学金の行方

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辺境開拓村のリアル

 短いですが、キリが良いので。


 明日の土曜日は仕事なので、更新無しです。

 トクス村は、カース公爵領内のありふれた農村だった。特徴と言えば、南側が無人の辺境地帯に面していることぐらいだ。

 村の中央を走る幹線道路は東西に延びていて、そこから南に枝分かれする道は、村の端で行き止まりになるか左右へ逸れていく。


 一本だけ南に続く獣道がある。失敗した開拓団の夢の跡だ。

 辺境開拓は、ハイリスクハイリターンだ。成功すれば自領として認められ、世襲貴族に成り上がれる。


 無人の辺境は法律上王領に区分される。貴族は自領として下賜されない限り、開拓の手を伸ばすことはできない。

 平民は自己責任で開拓し放題だが、大規模開拓に手を出せるような金持ちなら、ほかにいくらでも割の良い投資先がある。わざわざ辺境に行ったりしない。


 全財産をつぎ込んで小規模な開拓に(いど)む者は、途中で力尽きる。

 一から農地を作り十分な収穫を得られるようになるまで何年もかかるし、その間の食い扶持は全て持ち出しになる。膨大な初期費用の負担に耐え切れない。


 有望な鉱山があるとか、道さえ作れば交通の要衝になる立地とか、そんな場所ならとっくに開発されている。出資者が大勢集まるだろう。

 そんな有利な条件がないから、辺境のまま残っているのだ。

 

 馬車が通れるほど道幅を広げたこともあるが、数年から長くても十数年で人通りが絶え、元の獣道に戻ってしまう。

 それでも、完全に道が消失してしまう前に新しい開拓計画が持ち上がる。

 トクス村の住人なら、生涯に一度は開拓団の出発式を見ることになる。


 それが、延々と繰り返されてきたトクス村の歴史だった。




「ライナー君は開拓村の生まれ。村ができてからすでに十八年()っているね。現在、最長記録を更新中。開拓成功認定が見えてきたと言って良い。トスク村では、このまま成功するかどうか、賭けが成立していたよ」

「うわあ。そりゃ凄いや。じゃなくて凄いです」


 ライナーが満面の笑みになった。

 そうか。今までは失敗一択だから賭けが成立しなかったってことなんだな。


「開拓村の代表者、便宜的に村長と呼ばせてもらうが、某伯爵家の庶子だった。認知はされているが、身分は平民のまま。伯爵家との関りを口外しないと言う条件で手切れ金を受け取り、全額辺境開拓に()ぎ込んだそうだ。条件遵守して伯爵家の名を出さなかったところは好感が持てる。信用できる人物だと判断したよ」


「村長さんに会いに行ってくれたんですか。村長さん、元気だった?」


 小父さんが大きくうなずいた。あれ、名前聞いてないや。調査員の小父さんで良いか。


「行商の馬車が来ていてね。村長さんが買い出しに来ていたんだよ。ちょうど会えて良かった。ライナー君の奨学金について訊く必要があったから、足を延ばすつもりだったからね」





 それ、本当に偶然ですか。狙って行ったって不思議は無いと思うし。


 偶然を装う為に行商人を用意するぐらい、侯爵家なら簡単ですよね。




 総合評価3600。キリ番(笑)です。ありがとうございました。嬉しいです。


 リアーチェ叔母様、ちょっと長くなりそうなので、独立した中編にしようかと考えてます。タイトルはなろうっぽく『侯爵令嬢の結婚』などいかがでしょう。



 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。



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