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歓迎会は説明会

 明日の土曜日は仕事なので、更新なしです。

 届いた荷物を開けて、チェストに片付ける。細々した日用品と、当座の着替えだ。


「なぁ、変わった箱だけど、それ何だ」

「ああ、これ」


 同室のライナーが、空になった箱を覗き込んできた。

「段ボールって言うんだ。紙でできていて軽くて丈夫。こうすると………」

「あ、壊れた」


 パタンと畳んだ段ボールに、ライナーがびっくりしてる。

 もう一度広げて箱に戻してみせると、スゲーと大興奮して、俺も俺もと手を出してきた。まるっきり新しいおもちゃに夢中の幼児だ。


「すげぇな、これ。なぁ、これ、村でも使えるかな。野菜とか果物とか、これに入れて運べば便利になるよな。木箱より軽いし、畳んどけば場所取らないし、釘使わなくていいから、安上がりになるだろ」


 おっと、幼児じゃなかった。有用性に気付いてすぐ利用法を考えるあたり、さすが奨学生と言うべきかな。


「普及すれば十分安くなるだろうけどね。今はまだバカ高いんだ。これ、試作品だから無料だけど。使い勝手が分かれば、軍需物資の運搬から実用化予定だって。何度も使いまわせるし、大量生産予定だし、そのうち珍しくなくなるって言ってた」

「言ってたって誰が。あ、俺、聞いていい話か。なんか、ヤバい話みたいだけど」


「うん、ヤバい話。ちょっと僕には荷が重いんだよ。一人で抱え込みたくない。この部屋の中だけにするからさ、ぶちまけさせてもらえたら有難いんだけど。君、貴族関係の(しがらみ)無いだろ。探られても知らぬ存ぜぬで通せるから」


 おっと、そんな顔しても逃がさないからね。





 歓迎会は昼食会を兼ねていた。立食パーティー形式で、メニューはサンドイッチやホットドッグ、大皿から取り分けるサラダがメインだ。

 新入生は全員が十五歳男子、それはもう、素晴らしい勢いで料理が減っていく。


「全員、注目」

 会場になっているB棟とC棟の間の中庭の中央で、大声がした。二年生と三年生の生徒が数名、並んで立っている。


「改めて、新入生を歓迎する。私は男子寮自治会会長、ジュリアン・ヒックス。ヒックス公爵家嫡男だ。二年生の身分序列一位の資格で、会長を務めている。去年はアレクサンダー殿下が務めていたし、来年は新入生の中から選ばれることになる。承知してもらいたい」

 ふうん、そうなんだ。


「やっていることは、雑用係と苦情受付係。男子寮内限定でかなりの裁量権があるから、遠慮なく申し出て欲しい。ちなみに今日のメニューは寮の軽食コーナーのものだ。希望があればメニュー変更も可能だが、予算との兼ね合いで食べ放題終了もありえる。ま、そんな感じだ」

 周囲から軽い笑い声が上がった。

 なるほど、庶民的なメニューだと思ったけど、質より量のお年頃ってわけか。


「では、伝達事項だ。面倒だろうけど、聞き逃さないようにしっかり聞いてくれ。知らなかったは通じないと思ってもらいたい」

 フッと空気が引き締まった。さすがに貴族の子弟が多いだけあるな。


「まず、寮の敷地を一歩出たら、制服着用すること。外出する時も、校門を出るまでは制服が義務。王都内では制服推奨だ。学園生の証明になるし、色々と融通を利かせてもらえる。軽犯罪にも巻き込まれにくくなるけど、絶対ではないから油断しないように」


 隣にいたライナーが、こそこそと聞いてきた。

「なぁ、何で制服だと軽犯罪に巻き込まれないんだ」

「貴族だって主張してるようなもんだからな。警備兵に本気で追いかけられるリスクを負ってまで狙う馬鹿はいないだろ」

「なるほどぉ」


「基本的に門限はないが、常識の範囲内で行動すること。早朝や夜中に騒ぎ立てたり、廊下を走り回ったりしない。元気が有り余っているなら、騎士養成コースの鍛錬場で発散してくれ」

 

 その後もいくつか注意事項の伝達があって、パーティーは終了した。

 午後は自由行動で、先輩の案内付きの校内探検ツアーなるものに応募してみた。なかなか興味深かったと言っておこう。


「なんでそんなに余裕なのさ。明日は実力テストだろ」

「今更焦ったって意味無いよ。それより体調整えてベストコンディションで臨むべきだ。一夜漬けで徹夜して頭が回らなかったら、本末転倒だよ」




 ライナーと同じクラスになれたら良いな。






 

 来年、自治会会長が回ってくると、マーク君、気付いているでしょうか(笑)

 会長の雑用の中には、新入生の私物を決まったばかりの寮の部屋へ配達するというものがあります。マーク君たちが控室で説明を受けている間、会長の指揮の下、先輩たち総出で作業してました。


 よし、辻褄合った(笑)


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― 新着の感想 ―
[一言] マーク君は義父オスカーよりエザール叔父さんよりの性格してますね 名前の出てない実父はどんなタイプだったのか
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