表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第三章 Aクラス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/131

ヒロインまたはあの女

 今日から当分、猛暑日が続くそうです。梅雨明け十日と言うけれど、暑すぎませんか。

「マーク様ぁ、お探ししましたわ」

 遠慮のかけらもない大声が、食堂に響き渡った。

 マナー違反もいいところだ。周囲から集まる視線は、またかと呆れたものが多かった。


 王立中央高等学園三年生、特待生マリア。

 悪い意味で学園一の有名人だ。


 カタンと小さな音がして、第二王子殿下の右隣に座っていた先輩が立ち上がった。

 多分、護衛を兼ねた側近なんだろう。見事に鍛えられた体格で、そこに居るだけで威圧感がある。


 騎士科の高位貴族なんだろうな。

 将来は近衛騎士かな。

 益体(やくたい)もないことを考えていたら、殿下が口を開かれた。


「危険はないよ、座って。本人が出向いてくれたなら好都合だ。このまま話してしまおう」

「よろしいのですか」

 ここまで案内してくれた側近の方が確認する間に、立ち上がっていた先輩が座りなおした。視線だけはあの女を睨んだままだ。


「ここは学生食堂。今は身分序列適応外だ。私に突撃してくるなら問題だけど、彼女の目当てはマーク卿のようだし」


 あらためて言葉にされると、ダメージが。

 なんであの女は僕に狙いを付けたんだ。誓って言うが、見ず知らずの他人だぞ。


「マーク様、やっとお会いできましたわ。寂しかったですぅ~」


 実に分かりやすい媚びた声に、なぜここまでバレバレの演技をするのだろうと疑問に思った。

 これで僕の気を引けると本気で思っているんだろうか。確かに存在を認識させられたけど、思いっきりマイナス方向だ。わざと嫌われたがっているとしか思えない。


「三年生とお見受けしますが、一方的に名を呼ばれるのは不愉快です。それに、今僕は会食中です。邪魔はしないでいただきたいのですが」

「まあ、わたくしの名前を知りたいと仰るのね。感激です。わたくし、マリアと言います~」

 なぜそうなる。


「マリア嬢、マーク卿は私たちが先客でね。話をしていたところだよ。割り込むのは感心しないな」

 第二王子殿下、そんな言い方では撃退は無理かと。


「では、同席させていただきますわ。マーク様とお話したいですもの」


 ちーがーうー。殿下はあっち行けっておっしゃったんだよっ。こいつ、心臓に毛が生えているのか。


「まあ、良いでしょう。ちょうど貴女(あなた)のお話をしようと思っていたところですから。本人が居た方が好都合かな」


 にっこり笑った殿下の顔が、リアーチェ叔母様とかぶった。

 これ、女傑様モードの笑顔だ。王族仕様だからそれ以上の攻撃力がありそうな。

 できれば避難したいけど、この女を押し付ける訳には行かないし。

 いや、僕が席を立てば殿下から引き離せるか。


 逡巡(しゅんじゅん)している間に、女が図々しくも座ってきた。おいっ、僕の隣に並んで座るんじゃないっ。


「わたくし、マーク様とお話したいですの。どなたか知りませんけど、邪魔しないでいただけます」

 殿下に向かって何て口の利き方を。


「心配しなくても、この場で名乗るつもりは無いよ。不敬罪に問うことは無いから、安心するが良い」


 女が間抜けな顔をした。

 おい、まさかと思うけど、第二王子殿下の顔を知らなかったと言うんじゃないだろうな。お前、三年生だろ。


「わ、わたくし、特待生ですのよ。ここに居る権利が有りますの」


 側近方の殺気に近い威圧と不敬罪と言う言葉に、女も思うところがあったんだろう。僕から目を離して、正面を向いた。


「確かに、君は特待生だ。勉学の権利を絶対的に保障されている。だけどね。勉強する権利であって、必ず卒業できると言う権利ではないんだよ。君、三年生にもなって、ほとんど単位を取得してないじゃないか」


 そうなのか。壊滅的成績だって聞いたけど、さすがにそれは無いだろう。


「このままだと卒業不可。後一年で学業不振による退学扱いになる。それでは特待生にした意味がない。国から支給した学費と生活費を返済してもらうことになるけど、君、返せる? せっかくの学園を卒業できませんでしたじゃ、ろくな就職先は見込めないし、結婚相手だって見つからないだろうね」


 女がワナワナと震えだした。ちょっとは現実が見えたんだろうか。


「マーク様、お助け下さいまし。わたくし、マーク様のことを癒して差し上げられますわっ」





 だからなぜ僕に振るんだ。



 


 ざまぁに挑戦してみようかと。お花畑勘違い女に現実を見せるって楽しいですよね。

 ただ、お冨が書くと現実の中身が……。


 マーク君にウザ絡みする描写の前に、経済問題を突きつける殿下の図が来ました。どこかなろうのざまぁとはずれている自覚が有るんですけど、普通のざまあって何だっけ(笑)


 お星さまとブックマーク、お願いします。次の週末は二日更新に戻ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほぼ他人でも、懐にスルッと飛び込む占師のような話術&コミュお化けなら成功するんでしょうね
[一言] ウザい女に早く退場願いたい! 登場シーンになると読む気力がなくなる・・・。 王子がサクッと印藤渡してくれないかな?
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 良いですねぇ、理詰めで追い込んでいくのは。 貴方はルールを守れていません。だから全ては貴方の責任です、って。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ