クラスメイト
これからクラスメイトの名前を考えなきゃいけません。何人分必要になるでしょうか(笑)
担任のジャック先生は、後は自由時間だと言い残して教室を出て行ったけど、僕らはそのまま資料の確認を始めた。
資料には、学園で行われている全ての授業が一覧表で載っていた。
それぞれ、担当教師の名前と場所、受講に必要な資格が箇条書きされている。新入生が無条件で受けられる授業は赤く色づけされていて一目で分かった。
別紙には、曜日ごとの時間割の表が載っていた。同時に開催される授業が縦にずらりと並んでいて、ダブっている物はどれか一つしか選択できない訳だ。
「あ、前にマークが言ってたやつだ。武芸と刺繍と家政総論っての、同じ時間になってる」
ライナーが指差した場所を確認して、ニンマリしてしまう。
「武芸が嫌なら、刺繍するか、ライナー」
「えー、どっちもやりたくねぇ。やらなきゃいけないんか」
「後で単位が足りなくなっても良いなら。余裕作っておかないと、他の授業、絶対単位落せなくなるぞ。初級だけで良いから、武芸取っとけば」
「うー、そうする」
「大変だな、平民は」
思いっきり上から目線で声を掛けて来たのは、さっき先生に反論した生徒だった。
「食堂での話は聞いている。君がマーク・ランドールだろう。見覚えのない伯爵子息は君だけだからな」
ふうん。わざわざ立ち上がって近寄って来たのに、初対面で自己紹介なしか。
卿じゃなくて君呼びってことは、こちらを下に見ているってことだな。
「正解。で、何か用?」
「貴様、無礼だぞ。この方はルシアン伯爵家のご子息。成り上がりの貴様とは違うんだ」
今度は貴様か。名乗りもしない君は、取り巻き一号とでも覚えておこう。
「なんだと、貴様っ」
「ああ、失礼。口に出てたか。で、あんた誰」
ライナーが僕の袖を引っ張ってきた。
「マーク、初日から喧嘩売ってどうすんだ」
始めが肝心だからな。舐められないようにしないと。僕はわざと周りに聞こえる声で返事した。
「喧嘩を売ってるわけじゃないよ。ただのマウントの取り合いさ。だからほら、彼は貴族の挨拶してないだろう。きちんと自己紹介してしまったら身分序列が発動するから、僕には勝てない。だから男子生徒のじゃれ合いやってるんだよ。ですよね、ルシアン伯爵家のご令息」
「なんだと貴様。レナード卿が負けると言うのか」
取り巻き君が喚いたけど、ご子息様はさっと手を伸ばして抑え込んだ。
正直、凄い。手ぶりだけで無言で従わせるって、まだ僕と同い年なのに。
これが高位貴族なんだな。
「失礼した。私はルシアン伯爵家次男、レナード・ルシアン。非礼をお詫びする」
「謝罪を受け入れます。僕はランドール伯爵家長男、マーク・ランドール。よろしく」
「感謝する。できれば、マーク卿を君と呼ぶ許可をいただきたい。先生のおっしゃる通り、私は平民との付き合い方を学ばねばならない。卿のように、彼と友人になれないだろうか」
「な、何をおっしゃるんです。平民なんかと友人などと、有り得ません」
うるさいぞ、取り巻き一号。
「良いよ。僕も君と呼ばせてもらうから。その代わり、高位貴族について教えてもらえるかな。何しろ僕は半年前まで子爵家だったから」
「了承した。では、お互い教え合うと言うことで。これからクラスメイトとしてよろしく頼む」
「よし、決まり。じゃあ、もっと砕けた言葉遣いに慣れようか。自分で話す必要は無いけれど、ライナーの言葉遣いに目くじら立てないようにね。言葉遣いはアレだけど、貴族的な裏は無いから気楽に話せば良いよ」
「ああ、ありがとう」
上から目線だと思ったレナードは、悪意のない真面目男だった。ライナーに友達になってくれとたどたどしく頼む様子は、なんだか微笑ましかった。
取り巻き一号? 最後まで名乗らなかった奴なんぞ、知らん。
僕が一年の身分序列一位って知らなかった時点で、食堂の騒ぎをスルーしてたってことだ。情報は貴族の命なのに、大丈夫か。
レナード、取り巻きは選んだ方が良いぞ。
お冨は極悪人を書きたくないので、ご都合主義的に善い人が出てきます。
良いじゃん、その分、辻褄合わせとこじつけに全力投球するんだから(笑)
今日、キーボードを買ってきました。敢えて有線。デスクトップパソコンだと言ったら、店員さんが勧めてくれました。
無線と違って反応がメッチャ早くて、書き易いです。
お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。