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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第二章 王都へ

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ランドール伯爵邸へようこそ

 すみません。またもや薀蓄に脱線してしまいました。

 侯爵家から借りた馬車は、貴族街に戻ってきた。

 伯爵家が並ぶ高級住宅街を奥へ進んで、すぐ隣がお屋敷街の長い塀という場所に、ランドール伯爵邸はある。


「本当は学園入り口で辻馬車拾って、こっちに来るつもりだったんだ。侯爵邸へは伯爵家の馬車で行くはずだったんだよな」

「私としてはラッキーでしたよ。こうして縁を繋げて就職先を獲得できたんですから」

 僕の側近候補になった先輩、ルシカ・マクレーン子爵家次男がニコニコと言った。


「そのことですけど、就職は学園卒業してからなんですよね。じゃあ、学園内では先輩後輩ということでお願いします」

(うけたまわ)りました。学園内では(わきま)えさせていただきます。学園内限定ですが」

 ニコニコニコ。


「どうしたんすか、先輩。なんかすっげー笑顔がうさん臭いんですけど」

「あああああ、ライナー、それはやめろって。貴族同士の話に口を突っ込まない。ちゃんと貴族との付き合い方学ばないと、身の破滅だぞ」

「えー、どゆこと」




「まず大前提。侯爵家のお達しで、寄り子は許可なく僕との接触が禁じられた訳だ。学園内、それも身分序列上の接触がね」

「うん、知ってる」

「で、だ、先輩は許可なく僕に接触した。あの女から逃げるための緊急避難処置だし、場所はギリギリ学園外。セーフって言えばセーフだけど、完全に白かって言われると微妙な立場なんだ」


 乗合馬車乗り場は学園の施設じゃないけど、実質的に付属物だからな。貴族的ないちゃもん付けようと思えば、出来てしまうんだよ。


「そうなんすか、先輩」

「ええ、残念ながら。でも、そのおかげでマーク卿の側近候補になれたのですから、怪我の功名です。御当主様直々のご指名ですよ。父はでかしたと大喜びでした」


 寄り子の子弟への就職斡旋は通常業務。就職先のリストと紹介状を事務方から渡されてそれで終わり。後は自力で就職活動をすることになる。


「紹介状は確かに寄り子だと証明するだけ。普通に不採用が有り得ます。推薦状は侯爵家のお墨付き。頂ければかなり有利になります。御当主様のお声掛りとなればそれ以上。推薦状が採用依頼なら、お声掛りは採用命令ですね」

「へえぇえ。(すご)いんだ」


 凄いで済むなら良いんだけどね。


「先輩はその凄いことをやってしまったわけだ。接触禁止の僕に近づくことで。これが表ざたになれば、先輩は非難囂々(ひなんごうごう)。僕にはお近付きになりたい自称取り巻きが群がって来る。食堂で話した従属爵位家の四人だって、良い顔はしないだろうね」


 爵位講義と接触禁止を宣言してくれたグラン先輩の顔を潰すことになるし。頼りになる先輩の機嫌を損ねるのは悪手だ。


「そんな諸々(もろもろ)を込めて、学園では公表しないでおきましょうって話していたんだよ。ちなみに今は学園外だからな。ライナーは貴族同士の話に無礼にも口を突っ込んだ平民、無礼打ちだって有る立場なんだ。僕らだから良いけど、よそでは本当に危ないぞ」

「分かった。先輩やマークがうさん臭い顔したら、黙ることにする」


 その判断基準はどうなんだ。それはそれで良いのか。



 

 ランドール伯爵邸に門番はいない。門前に停めた馬車から馭者が降りて、呼び鈴を鳴らした。すぐに従僕が現れて、門を開けてくれる。

 侯爵邸が王宮なみなら、伯爵邸は大商会なみの規模だ。敷地内に(うまや)が併設してあると言えば分かるだろうか。


「今日は家に義妹が居るから紹介するよ。先輩もご一緒にどうぞ。馬車はこのまま侯爵邸に返すから、忘れ物が無いように確認して」

「うん、分かった」


 ライナーがパンパンの買い物袋を両手に持って、馬車を下りようと立ち上がった。




 ミリアちゃん、また顔を見せられなかった(´・ω・`)

 次話こそはミリアちゃんを紹介します。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] こういう蘊蓄というか答え合わせみたいなの、私は大好物ですね。
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