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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第二章 王都へ

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平民街でお買い物

 気を取り直してお目当てのお買い物。なんか閑話っぽくなりました。書いてたらおばさんの勘違いネタが浮かんで来まして(笑)


 個人商店が並ぶ商店街。まだショッピングセンターが登場していない昭和の高度成長期をイメージしてみました。

 ピンと来ない方、年末のアメ横を思い浮かべて下さい。

 平民街の先輩お勧めの雑貨屋は、馬車がすれ違えるかどうかという狭い通りにあった。

 商店街と言って、王都のあちこちにあるらしい。一階が店舗で二階が住居、家族経営の店が通りの両側に並んでいる。

 雑貨屋の隣が八百屋で、その隣に文房具屋、そのまた隣が肉屋と、とりとめがない。


「食堂が並んでいるところや大工道具の店ばかりの通りもありますけど、大抵は一通り日常生活に必要な店が集まってますね。庶民向けの場所です」

「それは良いけど、店の前に停めた馬車が邪魔じゃないですか」

「大丈夫ですよ。近隣住民は徒歩ですからね。わざわざ馬車で乗り付ける客は上客です。歓迎こそすれ、邪険にはされません。さすがに買い物しないで停めっぱなしはルール違反になりますが」


 先輩の言葉に、そりゃそうだろうと納得した。したんだけど。

 どうしたライナー。さっきから一言もしゃべってないぞ。


「あらあら、学園の生徒さん、店は初めてですか」

 雑貨屋で店番していたおばさんが、緊張しているライナーに声を掛けた。

「は、はい」

「今まではどうしていたのかしら」

「あ、あの、馬車が来てくれてました」

 貴族相手でも物おじしないくせに、何緊張してるんだ。


「まあ、お店が近くに無かったんですか」

「そうです」

「じゃあ、今日は初めてのお買い物ね。いっぱい買って欲しいわぁ」

「いや、あの、お金持ってなくて」

 おばさんがニンマリした。


「まぁまぁ、自分でお財布持ち歩かないなんて、お坊ちゃまねぇ。貴族街のお屋敷へお伺いするのは商人の憧れですよ。一度で良いから、馬車で御用聞きしてみたいわ」


 あ、おばさん、勘違いしてる。


 学園の制服は新品で、確かに見た目だけは貴族だけど。

 御用聞きの馬車じゃなくて、行商人の荷馬車だし。店一つ無いのはお屋敷街だからじゃなくて田舎の小さな村だからだし。ライナーには財布を用意してるお付きなんていないからね。

 あー、でも、ここで訂正したら恥かかせることになっちゃうか。気まずくなるな。誤解させたままで良いか。


 ……その方が面白いし。


 先輩とアイコンタクトして、ライナーを持ち上げてみた。

「こちらはいかがでしょう。手に馴染みますし、下品ではありません。お使いいただくには充分かと」

 ノリノリの先輩が侍従っぽく品定めして、ライナーはうんとか、はいとか、答えるだけ。


 おばさんは最後まで勘違いしたまま、それでもスムーズに買い物は終わりましたとさ。




 私服と靴と文房具一式、その他こまごまとした買い物を済ませた時には、ライナーがぐったりしていた。

「マーク、あれ、絶対ワザとだろ」

 えー、何のことかな。

「先輩まで一緒になって。酷いですぅ」

「はは、申し訳ないです。それにしても何に緊張していたんですか」


 帰りの馬車の中で、ライナーがうーんと唸った。

「こうやって窓から外を見てる分には良いんだけどさ。王都の人混みってすごいのな。なんか圧倒されて。ほら、俺、田舎もんだから」

「それなら、学園だって人は多いだろ」

「いや、あそこはみんな学生じゃん。同じ世代なら緊張もくそも無いって。大人は少ないしさ」


 そういうもんかな。貴族だらけでも年が近ければ許容範囲なのか。ライナーの基準がイマイチ分らん。


「まあ良いや。それじゃ次はアルバイト先な。時間の融通効くし、報酬も弾むから、考えてみてくれ。学園優先で構わないし」





 義妹のミリアに頼まれていたアシスタント、ライナーなら務まると思うぞ。

 







 

 

 明日はミリアちゃん登場かな。今回書く予定でしたがずれ込みました。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] この先、平民の同級生や先輩後輩(引っくるめて学友)がマー君にできたとして。 その学友達が将来的に貴族とどの様に付き合っていくのか、付き合っていけるのかを想像す…
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