さらば帝国
なんとか週末更新間に合いました。ふう。
帝国での聖女様の知名度、爆揚がりしました。その陰でマーク君はモブのまま。ラインハルト君のお付き扱いでスルーされてました。
大丈夫か、帝国貴族。心配になります。
皇太子宮での非公式ガーデンパーティーの翌日から、慌ただしい日々が続いた。
義妹のミリアに面会申し込みが殺到したり、茶会や晩餐会の招待状が山積みになったり。
何を勘違いしたのか縁談の釣書まで届きだして、近衛騎士の皆さんが目の笑ってない笑顔になっちゃって、迫力有り過ぎで怖かった。
ミリアは、非公式の学生旅行を盾にして、社交を全て謝絶してた。
そもそもあのガーデンパーティーは、一度だけ顔見世して欲しいと皇帝陛下に要請されて催したんだ。義理は果たしてるはずだよね。
来年から学園へ大量の留学生が来るのは決定事項だそうだ。
物理的にキャパオーバーになるんじゃないかと心配したけど、いつの間にやら分校設立計画が始動してた。国境近くの王領に校舎を建築中だそうだ。全然知らなかったよ。
留学の準備用として、ミリアの監修した学習漫画が、トマーニケ帝国へ輸出される話がまとまってたのには驚いた。
「やっぱり事前情報は必要だと思うのよね。この話は、私が一番最初に描いた漫画だし、元々学園のことを広く知ってもらう為だったし。平民をターゲットに奨学金とか特待生制度の説明するのが目的だったから、解り易いと思うの」
そう言って見本を出してきたんだけど。
何でそんなものがキャンピングカーモドキに載せられてたんだろう。準備が良すぎじゃないか。
ラインハルト君の学園生活を皇帝陛下に説明する補助のため………と言うよりミリアの暇つぶし用の方が可能性高いかも。
「それでしたら、我が家が展開している全国チェーンの書店をトマーニケ帝国まで広げましょう。外国進出一号店になりましょう」
そう提案したのは、近衛騎士のゼルム卿。
ゼルム卿の実家カース公爵家は、漫画の出版事業を担っている。ある意味、ミリアの後ろ盾だ。
これを機に帝国にまで漫画文化が広がりそうで、ちょっと怖いんだけど、僕にはどうしようもない。大人に任せておくしかないよ。
ま、成るように成るでしょう。はぁ。
僕らを残して皇帝陛下と共にあちこち飛び回ってたラインハルト君だけど、学園が始まる二週間前には戻って来た。
そろそろ帰国しないと間に合わないからね。
もちろん、使うのはキャンピングカーモドキ。
学園のタイムリミットがあるからって理由で、同行者は全て断ったんだって。
さもないと、帝国貴族の馬車の列が、長々と街道を占拠する事態になりかねないらしい。
「同行を諦めさせただけで、馬車自体は後を追いかけてきそうだ。お土産という名の賄賂を満載にしてな。陸路を来るなら、三ヶ月は掛かろうな。見栄を張って貴族仕様の馬車を使うなら、もっとだ。半年は要るだろう」
ラインハルト君の言葉に、そんなに掛かるかなって思ったけど、キリー卿が解説してくれた。
「我が国とトマーニケ帝国との国境地帯は、山間部の街道を通る必要があります。貴族の馬車、それも見栄を張るなら二頭立て以上になりましょうな。荷馬車を牽く馬とは違い、見栄えのするスマートな馬は、山道には向きません。頻繁に休憩を入れる必要があります。体力の無さを数で補うならば、飼葉や飲み水の必要量が増えて、ますます動きは遅くなるでしょう」
そう言えばオスカー義父さん、水の補給で苦労したって愚痴ってたっけ。
山間部の水場じゃ馬の必要量を確保できないから、水樽専用の荷車押して行かなきゃいけなかったって。
「帝国の貴族って、そこまで考え無しなんですか。それこそ、商会を上手く使って物資だけ先に届けさせるとか、色々できるでしょう」
「馬鹿ではない。馬鹿ではないが、地に足が付いてないと言うか、現場を知らぬのだ。私も大きなことは言えぬが、留学してかなりマシになったと自覚している」
十五歳のラインハルト君にそこまで言わせるなんて。
帝国貴族、本当に大丈夫か。
シリーズの本編が注目度ランキングに入ったと、通知が来ました。
注目度ランキング、そんなものがあったんですね。初めて知りました。閲覧数とブックマーク数の比率で決まるそうです。
そっか、それでか。それで本編連載開始ひと月でいきなり総合ランキングに載ったのか。
長年の謎が解けました(;^_^A
PV31だったんですよ。それが一週間でPV34000カウントするって、どんな奇跡が起きたのかと不思議に思ってました。
読んで下さった皆様、ありがとうございます。
お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。