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叔父さんの来訪

 暑いです。頭が湧きそう(笑) まだ六月なのに。


 次の週末は職場の研修会なので更新お休みします。

 このところ更新ペースが落ちているので心苦しいですが、何とか質だけは維持したいです。

 僕たちは、皇太子殿下の私的な友人として(ぐう)されることに決まった。通されたのは帝城の敷地内の離宮。

 皇太子宮と呼ばれていて、元々はラインハルト君とご両親が暮らしていた場所だそうだ。


 ラインハルト君の父君は、先代皇帝の第一皇子で皇太子だった。別の場所を与えられたりしたら、その方が問題だよね。


「帝城は砦だけど、離宮はちゃんと宮殿になっているのね。時代が違うの」

 ミリアが素朴な疑問という(てい)で口にした。


「そうだよ。初代皇帝は軍人だったけど、当時の各王家からお妃が嫁いできたからね。互いに見栄を張りあって豪華な妃宮を建てたんだ。その時の規模で、公爵になるか侯爵になるかが決まったんだって。財力で競い合ったんだから、武力衝突よりずっと平和だったんだ」


 ラインハルト君の口調がだいぶ砕けてる。ミリアの前で素を出してるのかな。いや、家に帰って来て気を抜いたのか。


「そっかー。建物なら、一目で見比べられるもんね。可視化で勢力争いかー。関ケ原が終わってから築城競争が起きたみたいなものかー」

 ミリアの感嘆の意味は何となく分かるけど、詳しく突っ込んだりはしないからね。




「今現在、貴族の派閥争いはラインハルトの婚約者選定で行われている」

 清々しいほどあっさりと(おっしゃ)ったのは、ラインハルト君の叔父さん。非公式だからそういう扱いにして欲しいって、ご自身で要望されたよ。

 それで良いのか、皇帝陛下。

 威厳どこ行った。


 皇太子宮で腰を落ち着けてしばし。

 形だけの先触れがあって、間を置かずにターレン・エル・ファング・トマーニケ陛下が訪れた。

 ちょっとだけ装飾過多な騎士服をお(めし)で、皇帝というより、高位貴族という方がしっくりくる。それも若くて快活な跡取り息子。

 当主には老練とか古狸ってイメージがあるけど、そんな感じはしないんだ。


「私は元々、側室腹の第三皇子。あくまでラインハルトが即位するまでの中継ぎに過ぎない。実子を持つつもりは無いし、正妃も側妃も愛妾だって拒否してる。そのしわ寄せがラインハルトの嫁取りに行ってしまってな」


 これまでは派閥トップの高位貴族が順繰(じゅんぐ)りに正妃を出してきた。だが、それらの家は軒並み没落。

 ある意味無秩序状態になって水面下での令嬢の鍔迫(つばぜ)り合いが激化しているんだって。


「今正妃を出せば、外戚として権勢を握れる。没落を免れた貴族たちはこの機会を逃すまいと血眼(ちまなこ)になっている。いっそ、国外から嫁を連れて来てくれればとも思うのだが」


 ターレン陛下がチラリとミリアに視線を向けたけど、近衛騎士のゼルム卿とキリー卿が迫力ある笑顔で()ね返した。

 無言の攻防はわずか一秒。ターレン陛下が苦笑で撤退して、それで決着だった。


「今頃、馬無し馬車がデパ国から爆走してきたという情報が帝国中に広まっているだろう。ラインハルトの帰省を掴める者は、さて如何(いか)ほどか。貴族たちの実力を測る良い機会になりそうだ」

 おお、さすが皇帝陛下。抜け目ないんですね。


「数日で帝城に押し掛けて来るだろうな。いちいち相手にするのも面倒。なので、一度だけ社交の場に出ていただきたい。主賓とは言わぬ。ラインハルトの同行者として顔だけ出してくれればよい。その場で、来年度の留学希望者を募ろうと思う」


 はい? それって、来年、トマーニケ帝国からの留学生が大量に来るってことですか。


「さすがに女の身で国外に出る者は少なかろう。家が渋る筈だ。ラインハルトの側近候補を何名か選ぶことになる。その人選に意見を貰えればありがたい」




 いやいやいや、家が渋らなかったら、どうなるんですか。

 むしろ、令嬢が大挙して来そうな気がするんですが。









 ターレン陛下、腐っても皇帝です。ざっくばらんな対応は半分計算づく。半分は素ですけどね。

 ミリアちゃんをどう利用するか、デパ国の逆鱗に触れないラインはどこまでか、近衛騎士相手に探りながら話してます。

 マーク君は雰囲気を感じ取るだけで精一杯。


 まあ、来年留学生が大挙押し寄せても、マーク君は卒業した後になります。気を揉むことになるでしょうね。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。

 

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― 新着の感想 ―
まあ、デパ国の貴族狙う令嬢とか出て来るわな
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