いってらっしゃい
短いですが、キリが良いので投稿します。
ゴールデンウィークは地区の祭りに駆り出されるので、どの程度更新できるか未知数です。
今年は当番区なんですよ。子供会と婦人部改め女性部の動員が………。
デルスパニア王国は大国だ。そりゃもう、大きい。人口だって、国際連携機構に参加した他の国全部合わせたより多いくらいだ。
西のタムルク王国、東のトマーニケ帝国、それに北方の小国群。
そのさらに外側には、明確な国を持たない少数民族の部落が点在している。
いったい、いくつの民族が存在するのか、勢力範囲はどれほどか、詳細は全て不明。
ほとんどが戦乱の時代に亡国の憂き目にあった難民の末裔と言われているけれど、本当に多種多様な文化があるらしい。
ちなみに、コーカイの所のサウザンド商会も亡国の王家の末裔だそうだ。あの独特な話し方はそこから来てるとか。
「デパ国の南には現在の北方諸国と同様の状態が広がっていた。それを全て侵略し、大国にのし上がったと聞いている」
馬車に揺られながら、ラインハルト君が言った。
さすがは近衛騎士の皆さんが用意してくれた馬車、会話に支障のない程度の揺れしかない。
「ふうん、トマーニケ帝国ではそうなってるんだ」
「デパ国では違うのか」
「難民を大量に受け入れてたら、人口流失が大きすぎて潰れた国が出てきちゃったんだってさ。結果的に併合するしかなくなって、後始末が大変だったって。笑い話なんだけどさ、無条件降伏して面倒見てもらうために、形だけの宣戦布告してきた国があったって」
さすがにそれは作り話だろうけどね。
「そうよね。どこの国も自分に都合の良い歴史に書き換えちゃうものよね。勝てば官軍、プロパガンダは立派な戦略。事実は一つでも真実は人の数だけあるものよ」
あー、ミリア、勝てばカングンって、どういう意味の神代古語なんだい。
「もしやデパ国がタムルク王国を併合しなかったのは、その後始末とやらを嫌ったからなのだろうか」
おお、大正解。オスカー義父さんがポロリとこぼしてたよ。
「君の前で断言できないよ。国の方針なんて、一学生の僕が口にするわけには、ねぇ」
わざと意味ありげに言ったら、ラインハルト君は苦笑して追及を控えてくれた。
際どい言葉遊びができるのもあと少し。もうすぐ王宮に到着するよ。
「聖女様のお心のままに」
言った。
言っちゃったよ、国王陛下が。
それで良いの。聖女様が帝国へ行くって言ってるんですよ。
「ただし、護衛を付けさせていただきます。護衛を最低でも十人。キャンピングカーモドキの警備の人員は必須。何か外交問題が起きようと、近衛騎士ならば国王代理の権限で対処できます故」
「うーん、そこは妥協するしか無いかな。友人の里帰りに便乗するだけだから、あんまり大袈裟にしたくないけど」
大袈裟にしたくないって、ミリア、お前が言うの。
「トマーニケ帝国皇太子殿。デルスパニア国王として要請いたす。聖女様との旅を有意義にしていただきたい。マーク卿には、同行を命ず。勅命である」
畏まって承るしかないと分かってるけど。
僕は一学生です。なんで勅命なんてことになるんですか。大袈裟にしないで下さいよぉ。
帝国を舞台にして、ちょっくら遊んでみます(笑)
コーカイ君を同行させるか否か。エバンス商会まで出すと収集付かなくなるかなぁ。
お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。
追記
感想の方で指摘されたのですが、文中の「部落」は、被差別部落の略ではありません。田舎の集落と言う意味です。
村には届かないけれど、そこそこの数の家がある場所を指します。
地元では今でも使っている言葉です。市町村合併で町の一地区になったはずなのに、あそこの部落で通じます。
これって方言になるんでしょうかね。