コーカイ君の一人語り
コーカイ君が不機嫌になっていた心情を考察してみました。
これで合ってるかな。
わし、コーカイ言いますねん。デルスパニア王国でも指折りの老舗、サウザンド商会の跡取りなんですわ。
わしの訛りは、遠に滅びた商業国家由来ですねん。嘘かホンマか、そこの王家の末裔っちゅうことになってま。
十中八九、ハッタリですけどな。
わしの母親が一人娘で、女だてらに商会長になったんやけど、やっぱなぁ、女いうだけで舐められましてん。
サウザンド商会は老舗やし代々堅実に商いしてたけど、天辺にはちぃと届いてなかったんですわ。デパ国の王都を牛耳ってる大商会から縁談来たら断り辛いやないですか。
婿に納まって乗っ取ったろ言う奴が現れる前にと、白羽の矢が立ったんがわしの親父。
エバンス商会は祖父様が立ち上げた、トマーニケ帝国の新興商会や。親父はエバンス商会の次男やった。
祖父様は行商人からの成り上がりや。地方の小さな商会には似合わん勢いが有ったんや。
他国なら余計な柵は付いてない。歴史の無い商会なら老舗のこちらが優位に立てる。何よりトマーニケ帝国との交易が有利になる。
商売の提携込みの政略結婚は無事に成立しましたん。
そやけどな、その後がいかんかった。
トマーニケ帝国とデルスパニア王国が戦争になってしまいましたんや。
交易はストップ、親父は穀潰し扱いされてあわや離縁の危機ですわ。
酷かったでぇ。
わしはデパ国生れのデパ国育ちやのに、帝国人扱いや。まともに相手してくれたんは、母親だけやった。
それかて、仕事の合間を縫うてや。ただでさえ忙しい商会長が、戦時中にプライベート構ってられる筈ないでっしゃろ。
まあ、しゃあないわ。戦争やしな。
そやけどな。戦争終わった後の手のひら返しは、もっと酷かった。
エバンス商会をカール伯父さんが継いでからは、トマーニケ帝国との商売に口利きしてやと、有象無象が押し寄せてきましたわ。人間不信になるには充分でしたなぁ。
わしかて商人の端くれですわ。キツネとタヌキの化かし合いや。お貴族様と違うて商売のためなら無駄なプライドは持ちませんわ。
腹芸ぐらい、いくらでもして見せましょ。
ええ、ええ、トマーニケ帝国がお国のためにエバンス商会を切る言わはるんなら、わしに止められるわけあらしません。
どん底やった第三皇子が皇帝に即位したんや。番狂わせも良いところでっしゃろ。商会が邪魔になることかてありますよなぁ。
そやけどな、笑って許せるほど、わし、心広うないんですわ。不機嫌になるくらい、赦してんか。
サウザンド商会
デルスパニア国を飛び出しグローバル企業の先駆けとなった。
商会長コーカイが学生時代にトマーニケ帝国の皇太子と友誼を結んだことで有名。
先週は寝込んでしまい、更新できませんでした。体調はぼちぼちです。短くて済みません。
来週こそは、新章に突入したいです。
お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。