子供を拾う
ショウは城の帰りにふと路地裏をみる、其処には浮浪者と化した子供達の姿が多数見られた。
「トーマスさん、彼等は?」
ショウの護衛としてついて来ていた兵士のトーマスに聞いてみる。
「あいつらですか?路地裏に住んでるガキどもですね、スリや盗みをして生計を立ててますから、くれぐれも近付かないようにしてください。」
「彼等に親はいないのですか?」
「だいたい、いませんね。
路地裏の廃墟で寝泊まりしてる奴らがほとんどですな。」
「・・・彼等は何人ぐらいいるのですか?」
「さあ?何百人いるかはわかりませんね。」
「わかりました、それで彼等を雇うにはどうしたらいいのでしょう?」
ショウはふと思う、自分達もヨシノブに拾われなかったら路地裏で生活していたかも知れないと・・・そう考えると他人事ではなかった。
「いやいや、聞いてました?近付かないでくださいよ!」
「それでも、彼等を見捨てる気にはなれません。何か手はありませんか?」
「わかりました、あいつらに顔が利く奴を紹介しますよ。」
トーマスはため息まじりに言う、
翌日、トーマスが紹介するオズという男と会う、その男は大きな大剣を背負い、歴戦の強者の雰囲気があった。
「あんたがガキ達を雇いたいとか言う奇特な人か?」
「はい、正確には僕の雇い主に雇って貰う形になりますけど。」
「そうか・・・それは普通に雇うのか?それとも奴隷としてか?」
オズの眼はショウの眼をとらえていた。
「奴隷!そんな事をしません!あくまでも賃金を支払います!」
「本当かどうかが怪しいが・・・」
「それなら、オズさんも来て下さい。子供達が生活する姿を見てください。」
「わかった、それなら俺も付き合うか・・・だが、裏切るなら・・・」
オズは剣に手を掛ける、
トーマスを含め兵士が盾になろうと立ちはだかる。
だが、ショウは兵士を制止する。
「大丈夫です。信用出来なかったら、斬ってもらって構いません。」
「いい覚悟だな。」
「ええ、奴隷にしませんから、ただ、国外・・・マルドラド王国になりますが宜しいですか?」
「国外なのか?」
「はい、その町には住人が少ないですからね。」
「しかし、ガキだぞ?」
「すぐに大きくなるでしょ?それまでに色々覚えてもらいますから。」
「わかった、ガキ達に話してみるが行く気になった奴だけになるがかまわないか?」
「もちろんです、強制するつもりはありません。」
ショウはオズと話し合い、その結果、百人からなる子供達が来ることとなる。
「かなりの数になるが大丈夫なのか?」
「大丈夫です。オズさんも来るのですよね?」
「もちろんだ、約束を違えたら・・・」
「わかってます。大事な人手ですからね、子供達には期待してますよ。」
ヨシノブとショウは無線で話し合い、基地の従業員として子供達に機械の使い方を教育したあと雇う事にしていた。
子供の方が柔軟に覚えることが出来るだろうという建前と、何より身寄りの無い子供達の救済という面が強かった。




