通信
ショウはマインズ王国に向けて出航する。
これには色々試験的な要素もあった。
まずは通信が使えるかどうか、まやの通信機と基地に作った通信設備、そして、いずも、それぞれで通信出来るかテストを行っていた。
結果、マインズ王国まで問題なく通信が出来ていた。
そして、まやからもWi-Fiを使用して、日本との交信に成功した。
ただ、基地の通信設備や、艦の通信機から自衛隊基地に連絡をしてみたが、通じなかった。
やはり、トートさんがWi-Fiの意味がわからず見逃している気がしてきた。
やはりあの人は何処か抜けている所がある。
何処かにまだ、抜け道があるそんな気がする・・・
そう考え、抜け道を探す一環として、俺はモミジさんを通して自衛隊にお願いを出した。
自衛隊の装備に携帯電話を登録してもらうのだ。
この方法が成功すれば、今の2台しか無い状況から解放される。
翌週の電話で登録が出来た事を聞き、呼び出して見ると、携帯電話が増えていた。
つまり自衛隊に登録さえして貰えれば、こちらで使える事が判明する。
これで携帯の破損に怯える必要が無くなった。
俺はマイに携帯を渡す。
「携帯電話!呼び出せたのですね!」
「ああ、自衛隊さんが頼みを聞いてくれたよ。これで家族と連絡とるといいよ。」
「はい!・・・あっ、でも、番号がわからないかも・・・」
「次の連絡の時に、モミジさんに聞かないとね。
俺も色々聞きたい人がいるしな。」
「そうですね、でも、楽しみです。」
マイはタケフミと離れてから少し表情が暗かったが、この時は笑顔が戻っていた。
「あの、ヨシノブさん、私もその携帯電話を貰っても宜しいですか?」
サリナも携帯電話を欲しがってきた。
「サリナ?でも、これ、この世界じゃ使えないみたいだよ。」
携帯の基地局が無いためか、電話同士の繋がりが無いようだった、
「いえ、ヨシノブさんの妹のカオリさんと個人的にお話してみたいのです。」
「ああ、それならいいよ、はい。えーと番号は・・・」
俺は実家の番号を教えた。
妹の携帯番号は覚えて無かったのだ。
「あの、カオリさんですか?」
「どちらさまでしょう?」
「ヨシノブさんにお世話になっているサリナと申します。」
「えっ、兄さんということは異世界の方ですか?」
「私としては異世界のつもりは無いのですが、そういう事ですね。」
「兄がいつもお世話になっています。」
「いえ、私の方こそ・・・」
サリナは今まであった事をカオリに説明して、ヨシノブが自分にとって命の恩人であること、そして、自身の恋心を話す。
「兄さんをそこまで思ってくれて・・・ありがとうございます。
鈍感で考え無しな所もありますが、悪い人ではないんです。
どうか、兄を宜しくお願いします。」
「いえ、私こそ、未熟者でヨシノブさんに支えられてばかりですが、思う事を許してください。」
「いえ、ふつつかな兄ですが、どうかお願いします。」
サリナは想いを語り、カオリに認められた。
そして、二人は友人となり、たまに会話をする仲になったのだった。




