ルーカスの元に
「ただいま!」
俺達はラードの町のルーカス邸に帰ってきた。
「サリナ!お帰り。」
ルーカスはサリナを抱きしめ再会を喜んでいた。
「なんと、領地を持つようになったのか。」
ルーカスさんとマーナさんにこれまでの事を説明していた。
「ええ、それで俺はそちらに住むことになるかと、家を作ってもらったのに申し訳ない。」
俺は庭に出来ていた新築の家を見て申し訳ない気持ちになる。
「いや、気にする事はない、それよりワシらもその町に住んでいいか?」
ルーカスは思いがけない事を言う。
「いいですけど、ルーカス商会はどうするのですか?」
「ワシも歳だしな、商会はマスに任せて、これを機に引退するよ。」
「お疲れ様です。それでは家はこちらで用意しますよ、少しお待ちしていただいても良いですか?」
「うむ、ワシも引継ぎもあるしな。」
「俺も町作りもありますし。」
「必要な事があったら言ってくれ、協力するぞ。」
ルーカスは引退の準備をしつつ、ヨシノブの町へ販路を用意する。
あとを引継ぐマスもヨシノブの価値を理解しており、積極的に販路の準備に入る。
そんな中でヨシノブは領地になった町についた。
そこは寂れた町だった。港も小さく、住民も少ないようだった。
「寂れてますね・・・」
サリナは微妙な表情を浮かべる。
この町はラードに近いため、ラードの発展と共に忘れ去られ、今や廃墟に近くなっていた。
「いやぁ、マルドラド王国も何を考えているのだか、ヨシノブ殿をこんな扱いするとは。」
非難しつつも、ルクスはどことなく嬉しそうにしている。
「まあまあ、ルクスさんもサリナも丁度良いじゃん、これだけ人がいなければ好き放題出来そうだしな。」
「「えっ?」」
サリナとルクスの声が被った。
「あの~ヨシノブさん何をするつもりなのですか?」
マイは恐る恐る聞いてくる。
「何、新スキルのお披露目といきますか!」
実は昇進していたのだ、王都の救援が効いたのか少佐になっており、トートさんのサービスが届いていた。
それは基地作成だった。
これにより、港湾設備、飛行場、宿舎、食堂、売店、浴場、医務室、倉庫等が建築出来る事となる。
それとショウと検証した結果、俺のいる時なら使用しても弾薬、燃料の消費が無かったが、
ショウが一人の時に使用すると消耗品は減っていくようだった。
ショウ達、副官だけで運用する時には注意しなければならないと理解出来た。
俺はまずは住民を全員集める、
町と呼んでいるとはいえ百人程しかいなかった。
「えー、新たに領主になったヨシノブと言います。
この町を住みやすく大きく変革させるつもりなのですが、反対の方はいますか?」
「俺達の故郷に何をする気だ!」
「住みやすくしますよ、ただ、一度町を整理しなおします。
皆さんの住居も新たに建築しますので一時的に立ち退きをお願いします。」
立ち退きの言葉に多くから反対の声が上がる。
「反対なされる人がいるのはわかっています。
ですので、反対される方には立ち退き料はお支払します。
ただし、立ち退き料を渡した方は新たな建てた家に住むのに相応の代金をいただきます。」
住民は互いに顔を見合わせる、領主が立ち退きを要求する時にお金を渡す事などほとんど無いのだ。
その上、多くの住民が空き家に勝手に住み着いた者だった。
その為、罪を問われる前に逃げ出そうと八割の住民がお金をもらい立ち去っていった。